2018全国模擬授業大会 in 名古屋
教育の力2018
「チョーク一本で教育改革を」を合言葉に日本一の教師を決めるイベントが10月28日(日)に行われた。
「全国模擬授業大会 in 名古屋 教育の力2018」だ。
名古屋大会は2011年から(株)野田塾主催で毎年秋に開催され、今年で8回目を迎える。会場は学校法人名古屋学院 名古屋中学校・高等学校。今回、参加したのは55団体、出場者は83名。全国の塾の代表をはじめとする審査委員を前に、約15分の模擬授業でプロ教師としての指導技術を競い合った。
生徒が満足できる授業を今まで以上に追求するために
「わかりやすい」「ためになる」「おもしろい」「やる気が出る」…。こうした観点で優れたプロの教育指導者を選び、日本の教育の発展に寄与することが大会の目的だ。名古屋中学校・高等学校のチャペルで行われた開会式で、主催者である野田塾取締役会長の小川英範氏は次のように挨拶した。
「個別指導が盛んになろうと、私たちが進めている集団指導の意義は変わらないはずです。ただし、集団指導を続けていくには、生徒を呼べる授業、生徒が満足して家に帰れる授業を今まで以上に追求していかねばならないと思うのです。そのために今日、塾の先生方にベストを尽くした模擬授業をじっくりと見ていただきたいと思っています」
開会式終了後、会場を校舎に移して部門別予選へ。英語・数学・国語・理科・社会・ルーキー(新人)の部門ごとに教室に分かれて、模擬授業が行われた。この授業を審査員が採点し、部門別チャンピオン決定戦に出場する教師を決めるのだ。
食事休憩を挟んで、部門別チャンピオン決定戦へ。審査によって各部門から選出された3名の講師がグランドチャンピオン獲得をめざして熱戦を繰り広げた。
各部門の優勝者5名が予選以上に力を込めた授業を
午後2時からグランドチャンピオン決定戦がスタート。各部門のチャンピオンが発表され、受賞者5名が予選で行った模擬授業をさらに力を込めて発表した。
国語部門の野田塾・山本綾子先生は「ものの数え方」(小5)。細長いものは「本」を、人や物を載せるものや機械は「台」を、平たいものは「枚」で数えるというように序数詞の使い方を説明した。
英語部門の練成会グループ・渡邊早記先生は「助動詞 will」(中2)。流暢な英語で生徒に呼びかけつつ、未来や意思を表すwillの使い方を生徒が楽しく参加できる授業で教えた。
社会部門の野田塾・安藤利菜先生は「朝鮮戦争」(中3)。背景にあったアメリカとソ連の冷戦を説明しながら戦争の悲惨さ、そして未来は変えられることを力強く訴えた。
理科部門は野田塾・齋場尚樹先生の「日本の気象(風)」(中2)。上昇気流と風、地球の自転の関係について、暗記ではなく、仕組みを考えて理解する授業を展開した。
数学部門は中萬学院・間島崇先生の「空間図形」(中1)。立方体を3つの点で切った時にどんな切り口が出てくるのか、ポイントを抑えることで答えが導き出せることを教えた。
審査を待つ間、ルーキー部門のチャンピオンである野田塾・山岡元先生が「承久の乱」(中1)の模擬授業を発表。北条政子の呼びかけが大勢の武士たちの心を動かしたというドラマチックなエピソードを盛り込んで、歴史の醍醐味を伝えた。
素晴らしい先生方の授業を自分の授業の参考にしてほしい
いよいよ、団体賞とグランドチャンピオンの発表へ。団体優勝は野田塾。2017年秋の大会、2018年春の大会に続き、3大会連覇を果たした。グランドチャンピオンの栄光を手にしたのは、英語部門の練成会グループ・渡邊早記先生だ。
表彰式に続く閉会式で愛知県私塾協同組合理事長の山田真司氏は「今日の授業はすばらしかった」と総評。
各部門のチャンピオン一人ひとりの授業への賛辞を述べた。グランドチャンピオンの渡邊先生に対しては「4技能が重要視されるこれからの英語教育に十分対応できる力を持っていました。引き込まれる授業でした」と語った。
最後に野田塾取締役会長の小川英範氏がこのように述べた。
「素晴らしい先生方の授業を、自分の授業の参考にしてみてください。その積み重ねによって、いつか自分もあのグランドチャンピオン決定戦のステージに立てるのではないかという気持ちで、毎日、子どもさんたちと向き合っていただきたいと思っています」
2018全国模擬授業大会 in 名古屋 (主催・野田塾)
各賞受賞者(敬称略)
■個人賞
⃝グランドチャンピオン
練成会グループ 渡邊早記(英語)
⃝準グランドチャンピオン
中萬学院 間島崇( 数学)
⃝部門別チャンピオン
野田塾 山本綾子 (国語)
野田塾 安藤利菜(社会)
野田塾 齋場尚樹(理科)
中萬学院 間島崇(数学)
⃝ルーキー部門チャンピオン
野田塾 山岡元(社会)
■団体賞
1位 野田塾(愛知県)
2位 中萬学院(神奈川)
3位 練成会グループ(北海道)