第50回 青木経営フォーラム in 東京
講演&セミナー&開塾記念祝賀会
10月22日(月)帝国ホテル 東京において、エース教育総合研究所主催「第50回 青木経営フォーラム in 東京」が開催され、全国から塾関係者などが108名集まった。
第1部は、太田明弘氏((株)成学社・代表取締役会長、(学)偕星学園 大阪偕星学園高等学校・理事長)による「原則倒産時代の塾経営『塾マーケットのこれからと環境適応』、青木清氏(エース教育総合研究所・理事長)による「わが人生の思い出と『経営の成功・失敗を語る』」という2つの講演が行われ、その後、5名の方が体験談発表として「青木経営フォーラムに参加して学んだこと」を語った。
第2部は、第50回記念&開塾記念祝賀会。名刺交換会などのほか、マジックショーも披露され、50回記念にふさわしい盛大かつ実のあるフォーラムとなった。
原則倒産時代の塾経営「塾マーケットのこれからと環境適応」
太田明弘氏は、加速度的に進む少子化の実態をデータで示しながら「学習塾経営は、いよいよ命をかけて行う時代だ」と述べる。
「学習塾業界は死の谷を迎えます。これからの5年間が大変で、もはや大学進学率の上昇でカバーできるという期待はできません。上場企業の寡占化が進み、中堅企業は減少し、個人経営の塾は生き残るという両極化になるでしょう」
しかも、この36年間で集団指導のマーケットはおよそ4分の1にまで縮小し、逆に個別指導は拡大しているという。成学社も個別指導学院フリーステップを1990年末に開始し、さらに2001年にはそのフランチャイズ事業を始めているが、いまや成学社は個別指導で実績をあげている。
「なぜ個別指導でここまでやって来れたのかというと、合格実績トップの塾ではなかったからです。勉強が好きでない子を粘り強く教えるという社風が、皮肉なことに個別指導で開花しました」
塾業界の難局を乗り越えるためにも、公益社団法人全国学習塾協会の会員になり、「安心塾バイト認証」「プライバシーマーク」を取得することを太田氏は薦める。かつて情報漏洩やアルバイト講師の賃金の問題等で大打撃を受けた塾が、再びマーケットで信頼を得ていくことがいかに大変であるかを知っているからだ。
「民間教育の自由を確保するためには、権利ばかりでなく社会に対する義務の意識が希薄であってはなりません。塾業界で何か不祥事があると、すべて公益社団法人の全国学習塾協会がお叱りを受けています。塾業界全体を守るためにも、我々は全国学習塾協会とともに歩んでいく必要があると考えます」
いま、多くの塾が生徒募集で苦労している。しかも、その生徒募集にますますコストがかかるようになっていると太田氏は指摘する。しかし、その募集の苦労を全くせずに、顧客を集められる事業があるという。それが保育園だ。
「塾でご苦労されている方が保育園を始められると、ほぼ100%成功します。なぜだかわかりますか? 単純なことです。募集で苦しむことがないからです。行政が園児を紹介してくれます。保育内容のことだけを考えていればいいのです。いま私たちの保育園には園児が約500名います。もちろん大変なこともありますが、中身のことだけを考えていればいいのですから、募集に煩わされることはありません」
成学社はこのほか、学童保育、日本語学校、英会話学校なども展開しているが、少子化が進む中においては、教育関連の多角化経営を実践していくことが生き残りのために必要だと述べた。
わが人生の思い出と『経営の成功・失敗を語る』
青木清氏は、1954年から私塾教育に携わり、3歳から100歳までを対象に生涯学習を標榜して61年間、民間教育一筋に取り組んできた。その中で、まさに天国と地獄を味わい尽くした体験談を惜しげもなく披露してくれた。
バブル経済が崩壊し、富士学院グループを断腸の思いで閉めたときには心底つらかったと振り返る青木氏だが、そのときの体験を踏まえてこう述べる。
「みなさんは事業を大きくしていくことと思いますが、『明日は我が身』です。事業が順調に進んでいるときこそ『次は地獄が待っている』と思うくらいでちょうどいいのです。そんな気持ちを持ちながら経営に臨んでいただきたいと思います」
青木氏の講演が終わると、5名の民間教育関係者が「青木経営フォーラムに参加して学んだこと」をスピーチ。
第1回目から青木経営フォーラムに参加しているというビジュアルビジョングループ(埼玉県)の井沢隆社長は、「青木経営フォーラムのキーワードは〝油断するな〟。そのおかげで私たちの会社は少しずつ発展していくことができました」と述べた。
野田塾(愛知県)の小川英範会長は「青木先生からは〝心の大切さ〟を教わりました。私たちの塾でも授業の中に〝徳〟を入れています」と語った。
成基コミュニティグループ(京都府)の佐々木喜一代表は「今日来られた方々への深い愛情と感謝の思いから、青木先生は赤裸々な体験を語ってくださった」と、感謝の言葉を述べた。
沖縄尚学高等学校(沖縄県)副理事長補佐の與座宏章氏は「内助の功である青木先生の奥様にも感謝したい」、授業学研究所(東京都)の大矢純所長は「早くから青木先生は海外に目を向けていらっしゃった」と語った。
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第2部の「第50回記念&開塾記念祝賀会」は、50回記念にふさわしく盛大かつ賑やかな祝賀会となった。