教育資源としての民間教育 第15回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
「未来の教室とEdTech 研究会」の委員として参画
新学習指導要領による教育範囲の拡大や21世紀型スキルの養成に必要なSTEM・STEAM教育等では、各分野に専門性が求められるとともに細分化された領域となるため、集団画一的な教育ではなく個別最適化された教育を推進することが求められています。
一方で、多忙な学校現場の疲弊化に加え、近年の教員採用倍率の急激な低下から教員の質と量の確保が難しくなってきており、学校現場においては子どもたちを第一に考え適切に対応していくためには、民間教育業界の持つリソースを活用するなど、学校教育と民間教育のパートナーシップを今まで以上に強固なものとすることが求められています。また、それは結果として学校現場の働き方改革に寄与するとも言えます。
なかなか個別最適で多様な教育を実現しがたい公教育の現状のなかで、年々不登校児童生徒数は増し、また通信制高校への進学希望者も増加する昨今、先行き不透明な未来を生き抜く力を養成するリソースとして、多様な民間教育サービスに期待する社会の声も増してきています。
教育権が各家庭、つまり保護者及び本人にあるとするならば、教育予算の多くが教育権所有者を飛び越えて公教育に投入されるばかりではなく、そのどれだけかは各家庭に還元されることも重要ではないかとも個人的に考えます。それが教育の自由であるとも言えましょうし、自らが将来幸せに生きていくための学びを自ら選択することでもあります。もちろん社会で生きていく最低限の教育はセーフティネットの意味でも公教育が果たすべき重要な役割であることは言うまでもありません。
ただ、その先の個々に最適化された未来に幸せに生きるための学びの選択は、個別最適化された自由であるという考えも、21世紀の「個」に光が当たり「個」がいろんなことができる時代には必要であるとも言えます。
つまりそれは「教育バウチャー(教育クーポン)」であり、経済格差を超えて各々が選択する専門性の高い民間教育機関において自らの学びを深める機会を選択するという社会です。
あくまでも個人的な考えの一つであり荒唐無稽であるかもしれませんが、集団画一的な教育環境の中で自らの呼吸をしづらくなった個々に、思い切り息を吸ってほしいという思いの中で、民間教育が発展を続けてきたことは昔も今も不変であるはずです。
公益社団法人全国学習塾協会は、現在、経済産業省教育産業室に指名され「未来の教室とEdTech 研究会」の委員として参画して、声を上げさせていただいております。それは近い未来において、子どもたちの日々の教育環境に民間教育がより入り込み、学びの自由の実現を果たしていく目的も有しています。
公益社団法人全国学習塾協会へのご支援ご入会のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。