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    「未来を生きる子どもたちのために何ができるか?」

民間教育団体連絡協議会 令和元年度定時総会
「未来を生きる子どもたちのために何ができるか?」

2019-07-01

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5月22日(水)東京都内のアイビーホール(青学会館)において、民間教育団体連絡協議会(略称MKD)の令和元年度定時総会が開催された。
MKDは民間教育各界が、垣根を越えて社会への貢献・未来への貢献を推進し、民間教育の存在価値を高めることを目的に昨年10月26日(金)に発足した協議会。この日出席した団体は、(公社)全国学習塾協会のほか、全国学習塾協同組合、(一社)全日本ピアノ指導者協会、(一社)日本スイミングクラブ協会、(公財)日本数学検定協会、民間語学教育事業者協議会、(公財)日本漢字能力検定協会、NPO法人学習塾全国連合協議会の方々。オブザーバーの企業は、(株)シーク、キラメックス(株)、(株)Mr Fusion の方々。
この日の協議会では、平成30年度活動報告及び会計報告、監査報告、民間教育推進のための自民党国会議員連盟への政策提言進歩、未来の教室とEdTech研究会、官民連携の推進、著作権等について議論が交わされた。

学習の主体である子どもたちに自由な時間の確保を

全国学習塾協会・安藤大作 会長

全国学習塾協会・安藤大作 会長

民間教育推進のための自民党国会議員連盟への政策提言について、(公社)全国学習塾協会の安藤大作会長はこう語る。
「昨年4月1日に民間教育推進のための自民党国会議員連盟が約30名の国会議員を中心に組織されましたが、この目的は“民間教育のより一層の推進”です。下村博文先生をはじめ経済産業省様にも関わっていただきながら政策提言をしていく所存です」
その提言案は、(1)多様な学びの自由化に向けた子どもの時間確保(部活動に係る指導の徹底)(2)学校教育と民間教育をつなぐICT環境整備の推進(3)低所得者層等を対象とした学校外教育バウチャー支給。
昨年4月、スポーツ庁は部活動における以下のガイドラインを発表した。
【休養日】学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り返る)。
【活動時間】1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。

しかしながら、そのガイドラインを守らない学校も多く、子どもたちはほとんどの時間を学校に奪われ、民間教育を受けられないという声が出席者から挙がった。
「決して部活に反対するということではなく、子どもたちが学ぶ自由、学びを選択する自由を国として守ってあげてほしい」「教育への時間とお金は公教育が大半を占領し、コントロールしていると思う。もっと積極的に民間教育が乗り出していきたい」
「夏休みもほとんど朝から晩まで、朝6時から練習が始まって終わるのが夜の6時か7時という学校があります。生徒が『勉強したい』『ときには本を読みたい』と言っても、『それならレギュラーからはずすよ』と監督に言われてしまう。子どもの自由な時間が十分に確保されないのではないか」

ICTは全ての子どもたちの学習機会を保障

[上] 経済産業省 商務・サービスグループ 教育産業室・浅野大介 室長 [下] 経済産業省 商務・サービスグループ 教育産業室・柴田寛文 室長補佐

[上] 経済産業省 商務・サービスグループ 教育産業室・浅野大介 室長
[下] 経済産業省 商務・サービスグループ 教育産業室・柴田寛文 室長補佐

「未来の教室」とEdTech研究会については、経済産業省 商務・サービスグループ教育産業室の浅野大介室長が説明。STEMからSTEAMへの変遷を述べるとともに、STEAMの捉え方は、関連する様々な概念を含め、多様化しているというが、新しいヒューマニズム(人間の幸福の追求)、イノベーターのマインドセット、デザイン思考、システム思考(全体俯瞰と構成要素のつながりを意識して多視点・構造化・可視化する思考)等が特徴だ。
そのSTEAM教育を進めるためには、プログラムと指導者の不足が大きな課題になっているという。

また、先の部活の件とも関連するが、子どもたちの1日の時間の使い方がおかしくはないかと浅野氏は言う。
「学習内容がわかろうがわからなかろうが、興味があろうがなかろうが、とにかく一定の時間座っていなければならない。このスタイルは働き方改革を進めている社会としては当然あり得ません。時間の使い方を強制されています。今後創り上げていく社会の像から逆算して学びのあり方をきちんと創り直そうというのが今日の経済産業省のメッセージになります」
さらに、ICTに対する誤解・偏見として「成績の良い子だけが救われ、成績中下位層は置いて行かれ、格差が広がるのではないか」との見解に対し、浅野氏はこう語る。
「まったく逆です。ただそのためにも早急に生徒1人に1台パソコンを提供したいので、文科省さんにもお付き合いいただき、国としてのロードマップをきちんとしていこうと思っています。ICTはすべての子どもたちの学習機会を保障していくための必須アイテムです」

各団体が実施している公民連携事例とは?

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公民連携事例として、各団体が報告した。

(一社)全国外国語教育振興協会では、小学校・中学校教員の英語指導力の強化対策として民間企業への研修オファーが増えているという。また大阪府の英語教育改革の一環として、小1から会話ツールとしての英語に触れる時間を増やすため、加盟校と協力して、教材を開発、府内の小学校へ順次提供している。
民間語学教育事業者協議会によると、小学校では36.9%が民間の日本人が英語指導に係わっているという。名古屋市はプロポーザル形式と、競争入札業者を選定し、競争入札の金額で決める。入札参加には事前の登録が必要だ。教員免許の関係で一人では授業はできず、助手なので他の教員と比べて給料は安いのが現状。

(一社)全国ピアノ指導者協会は、音楽室にプロの演奏家を派遣し、児童が間近でプロの演奏を聴ける授業型コンサートを2005年から埼玉県越谷市で行い、隣接する草加市でも同時期に展開。越谷市は草加市と同じように市教委での予算化を図った段階で、高額の見積もりとなり予算化を断念。2017年度以降コンサートの開催は途絶えている。

(一社)日本スイミングクラブ協会は、千葉県佐倉市、三重県松阪市、神奈川県川崎市において、水泳授業の民間スイミングクラブへの委託を受けている。私立小学校の委託も多く、自治体との連携も非常に増えているという。

(公財)日本数学検定協会と東京都葛飾区教育委員会は、相互に連携を図りながら特色ある共催講座を実施している。区民に生涯学習の機会を提供するため、2008年度からスタートした。

(公財)日本漢字能力検定協会は、滋賀県草津市で市立小学校約3500人、市立中学校約3600人の合計約7100人に一人あたり約900円の補助を受け、差額は保護者負担で実施している。全国では139の自治体が公費により検定料の助成・補助を行っている。また、全国各地で漢字学習の支援を希望する団体・組織の土曜教室・学童保育・放課後教室に対して、依頼に基づき「漢字教育サポーター」を講師として紹介。

大阪府大東市は児童生徒の学力が低調なことを懸念して、すでに土曜教室を実施していたが、参加者が少なかった。土曜授業に学習塾を活用しようという市長の発案があり、市教委の合意も得て予算化。委託先には特定の学習塾事業者を選ぶという選択肢もあったが、公益性の高い非営利組織をという考えから(公社)全国学習塾協会に打診があったという。講師費用は時給5000円、補助指導員3000円。

「私たちは現在7つの自治体で連携事業をしていますが、ほとんどが大阪府で、教科は算数・数学です。公民連携の様々な事例を皆様から吸収しながら自分たちの団体に落とし込んで動いていこうと思っています」と安藤大作会長は語る。
 次回の情報連絡会または臨時総会は、8月末の予定。


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