一般社団法人 日本アクティブラーニング協会「探究学習とポートフォリオと AO・推薦入試 実践型セミナー」をオンラインで開催!
4月18日(土)、一般社団法人日本アクティブラーニング協会と株式会社サマデイが主催する「探究学習とポートフォリオとAO・推薦入試実践型セミナー『SDGs認定カリキュラム』で何が起きるのか?」が開催された(共催・株式会社JTB、株式会社ウィザス、協力・一般社団法人国際ポートフォリオ協会)。
新型コロナウィルス感染症の拡大によりオンラインでの開催となったが、実践事例の遠隔発表なども交えて行われ、全国から約100名の学校・教育関係者らが参加した。
SDGs×非認知スキル=「SDGsカリキュラム」
Zoomを使って開催された本セミナー。冒頭では「投票機能」を使って参加者に6つの質問が投げかけられた。「SDGs」「非認知スキル」といった本セミナーに関係するキーワードのほか、「今の状況が収束したら、教育の現場はどうなっていると思うか」といったコロナ禍の先を見据えた問いも立てられ、参加者が主体的に関わる工夫が見られた。
続いて、日本アクティブラーニング協会の相川秀希理事長が挨拶を行った。そのなかで相川氏は、SDGsを策定・牽引する国連事務総長特別顧問のジェフリー・サックス博士(アメリカ・コロンビア大学)との出会いに触れ、同氏の認定により「SDGsポイントプログラム」を始動することになったことを報告。同氏のバックアップも得ながら「SDGsカリキュラム」(SDGsを自分ごとで考え行動する人財を育成する教育活動)の普及を進めていきたいと述べた。さらに、相川氏により同協会の新メンバー・太田薫乃(ゆきの)氏が紹介され、同氏は「生き方は自分でデザインするものであり、そのためには社会や身の回りのことに当事者意識をもつことが大事。SDGs教育を波及させることで、誰もが自分の人生をデザインできるようになることに貢献したい」と挨拶した。
二人の挨拶に続き、オーディエンス参加型で実際にSDGsカリキュラム(円盤型教材)の問題を解く時間が設けられた。円盤型教材とは、円盤型のフリップに記載されたSDGsに関する課題について、1題につき5分間で解答(100字程度で記述)するというもの。参加者は各自で取り組み、解答をチャットに打ち込んで共有した。その後、同カリキュラムの紹介ムービーが流された。そのなかでは、近年、SDGsは大学入試や中学入試でも出題されるテーマとなっていること、また、大学入試では自分の意見や考えを文章によって表現する力(記述力)がより求められるようになっており、その力を偏差値では測りきれない「非認知スキル」と定義して研究開発を進めていること、そして、SDGsと非認知スキルの育成を掛け合わせたものがSDGsカリキュラムであることが紹介された。
SDGs認定校2校が取り組みの事例を発表
次に、実践事例発表に移った。まずは、SDGsカリキュラムを2017年度から導入している山脇学園中学・高等学校の小沼治美先生が遠隔で登場し、オンラインセッションが行われた。そのなかで小沼先生は、生徒の変化について、「当初は自分で考えて行動することがなかなか難しかったが、円盤型教材に取り組むことで鍛えられ、ホームルームや学年活動を通して自ら取り組もうという主体的な姿勢が見られるようになり、教科でも自ら課題発見ができる生徒が増えてきた」と述べた。さらに、苦労・工夫したことについては、「こちらが準備をしすぎないことが大事。生徒が自ら自分のテーマとして課題を発見できるような場づくりを心がけている」と述べた。また、世界初のSDGs認定校となったことについては、「認定によって注目されるようになりありがたいが、何よりも生徒たちがSDGsを身近に感じるようになったこと、学びに向かう姿勢に変化が見られたことが大きい」と効果の高さを強調した。
続いて登場したのは、通信制の高校として知られる第一学院高等学校の皆川正明先生と長谷川博之先生。こちらもSDGs認定校だ。まずは皆川先生が、通信制で学ぶ生徒がどのようにしてSDGsの円盤型教材に取り組んでいるかを紹介した。
同校が導入したのは、日本アクティブラーニング協会と共同開発したデジタル版の円盤型e-Learnig教材。自学自習で学びを深めることができるよう、問題に解答したあとに視聴する「アフタームービー」が特徴だ。アフタームービーを見たあとに再び問題に取り組むことで初回よりも解答の深みが増す事例を、実際の生徒の解答を提示しながら紹介した。
さらに、皆川先生は学びのあとのリフレクションやルーブリックによる自己評価、スクーリングの際の対面指導についても言及し、「新しい学習指導要領で求められている主体的・対話的で深い学びにつながっていると感じる。非認知スキルをつけることで結果として大学入試対策になっているのは、とても合理的だ」と述べた。続いて長谷川先生が、日本アクティブラーニング協会が提供するSNS型のeポートフォリオ「Feelnote」を活用した「デジタル自分未来史ファイル【D-FILE】」の取り組みを紹介。これは、生徒の成長実感値を可視化することで生徒の振り返りや意欲向上を促すもので、実際の生徒の1年間の成長の軌跡を紹介した。
SDGsカリキュラムはAO・推薦入試でも活きる!
司会により円盤型教材並びにFeelnoteの具体的な機能や大学入試における有効性が紹介されたのち、今回のセミナーのまとめとして、次に挙げる「AO・推薦入試に必須の日常的なアプローチ」5つを提言した。
1.「正解のない課題」に向き合い、未知の領域に挑戦する。
2.目の前の課題を「非認知スキル」の視点で観察する力を養う。
3.自身の必然に基づいた「課題」を発見し「研究テーマ」を設定する。
4.積極的な「リサーチ」や「課外活動」で、一次情報に迫る。
5.課外活動や学びの軌跡を「ポートフォリオ」にまとめる。
そして、これらの5つのアプローチを支えるものとして、円盤型教材やFeelnoteに加えて、新たに「オンラインサロン」を開設することを発表した。これは、未来のリーダーが集まる中高生向けのオンラインの場で、学校を越えたつながりが生まれることが期待されている。なお、今回のセミナーでは、サロン限定のコンテンツ(動画)の一部を希望者に公開。セミナー本編終了後に、そのままZoomで配信した。
不測の事態により急遽、オンラインで開催された今回のセミナーだったが、参加者の満足度は非常に高かったようだ。日本アクティブラーニング協会では、今後もこうしたオンラインセミナー(ウェビナー)を開催していく予定だ。