教育資源としての民間教育 第30回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
「声を上げる・行動する」を継続する
公立学校の先生方が生徒に対して、「塾には通わなくていい」とか「○○という塾は行かない方がいい」とか「進路指導は学校が行うものであり、塾の進路指導は聞かないでくれ」、そんな言葉を生徒に言っている、とこれまで巷でよく聞いてきました。
私個人は税金を糧に公共の利益に携わる公務員が、このような発言をすることに少なからず違和感があります。それを言い出せば世の中は違和感だらけかもしれませんが、子どもたちに関わる大人の言動には個人的に特に強く意識がいってしまいます。
例えば冒頭の出来事ならば、公立学校の先生方が、子供を最優先の基点に置かず、公教育を最優先の基点に置いた言動が問題になっています。子供に基点を置けば、社会総がかりですから、公も民も子供の最も利益になるものを賢く使ってくださいね、という視点になるはずです。
ですから、健やかで明るい世の中を未来に遺したい志で塾を興した個人としても、そのような単眼的な考えに一石を投じねばとの思いも強くあり、それは私自身が全国学習塾協会に携わる動機の一つでもあります。
とはいえ、言うまでもなく個人的な感懐の上に責務を負っているわけではありません。ただ職業に公と民の境界を作ってしまう心理であったり、官尊民卑意識による塾に行くな発言のたぐいがまかり通る世間の風潮があるならば、どうにかせねばとの思いがあります。
新型コロナウイルス感染症拡大という今の世の中、公たる責務を負う人が「なんのために」日々仕事をしているのかが一層問われてきており、また同時に一層浮き彫りになってきているようにも思います。そして次々に浮き彫りになる様々な公人の「なんのために」に接するとき、私はもはや根が深すぎて諦めを感じたりするときもあります。
塾はロックンロールだという先輩もいました。国など関係なく自由にやればいいさという人もいました。私自身も新型コロナウイルス感染症の自粛の影響か、公人の「なんのために」への失望か、世の中は世の中、自分は自分という休憩の気持ちにもなりました。正直その方が楽だなとも思いました。
しかし何もしなければ何も変わりません。声を上げられる距離に居ながら声を上げないのもまた本意ないことですから、「声を上げる・行動する」を継続していかなければいけません。
「塾業界のために」もありますが、「子供たちのために」、無限の可能性を育む教育社会環境をこの国の未来に創り遺していくことは大人の役割だと思っています。
今後ともご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。
あわせて、全国学習塾協会へのご加入、よろしくお願いいたします。