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AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第47回

2021-07-01

新時代に乗り遅れない知識を身に付けているか

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児童生徒の教育の世界に大きな変革の時代が訪れた。20年ほど前には、コンピューターの急速な技術開発が進んで、ビジネスにパソコンが欠かせないものになった。塾での指導にもパソコンのソフトが次々に登場し始めた。数社の教育ソフトの立ち上げに意見を求められたことがあったが、いずれも教師が教えることをパソコンで、より論理的に系統的にしっかり組み立てて指導するソフトが多かった。基本がわかったら応用編に進む。躓くところがあったら再度そこに戻って学習し直す。理解できた生徒は先に進むが、ミスをした生徒は繰り返しその部分をやり直すことでわかるまでやってから先に進む。生徒の学習履歴を記録して、単元ごとに学力をしっかり積み上げていく。教科ごとの権威のある専門家に依頼して、あらゆる角度から見て、完璧と思える学習ソフトを次々に作り上げてきた。

しかし、20年近く経ってそのほとんどが利用されていない。直接教師の口から、生徒と対面で指導するのがやはり一番学力が付く。ウェブですべてを学ぶよりも、図形や画像で瞬時に理解しやすい一部の教科内容以外はコツコツと教室での指導に軍配が上がると多くの塾長が考えてきた。

ところが昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、密になる集団での指導がやりづらくなり、塾と家庭をオンラインで結ばざるを得なくなった。さらに国が小中学生に1人1台パソコンやタブレットを配布して、早くからICTの環境に慣れるように教育の方向が大きく変わった。

そして小中学生の指導に今声高に叫ばれている言葉は教育の科目ごとの内容ではなくて、教育の手法や理念のような部分になってきた。早くからあと20年後にはsingularity(シンギュラリティ)の時代が訪れるといわれてきた。今ある職業の半数以上がなくなるのではないか。そして教育の世界でもSociety(ソサエティ)5.0の時代に、 EdTech(エドテック)をどのように活用して世界の先進国の技術に立ち向かっていったらいいのか。経済産業省は小中学校の授業に未来の教室を主導して実証実験を行っている。STEM(ステム)教育あるいはSス ティームTEAM教育という言葉を知っているか。そして今世界中で持続可能な開発目標SDGs(エス・ディー・ジーズ)をそれぞれの国が、組織が模索し努力していることに関心を持っているか。

先に述べたようにこれらの言葉は、教科の内容を理解して先に進むための教育ソフトではない。今世界中で教育だけではなく様々な側面で激しい技術革新が進んでいく中で使われている言葉で、大きく教育面でも話題になっているのだ。

いくつかの言葉を挙げてみたが、教師は読み書きソロバンだけ指導していればいい時代ではなくなった。今ほとんどの事務職員の机の上にはノートパソコンが1台。ICTの知識が必要不可欠だ。そして今の小学生が成人する10年先には、これらの言葉が常識化し、塾で指導する教師にとっても、基礎的な従来型の学力に加えて、新時代に乗り遅れない知識を身に付けているか否かを問われる時代になっていくのではないか。

激しい時代の変わり目に、努力してついていこうとする姿勢を持ちたい。


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