教育資源としての民間教育 第41回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
時代とともに変化する学習塾の社会的役割
いわゆるGIGAスクールの政策において、ほとんどの自治体に1人1台分のタブレットが配布済みとは聞くものの、生徒の手にわたっている自治体は半数に満たないと聞きます。理由は教育委員会にICTを担当する適材職員が不在とか、様々なルール整備が間になっていないだとか…。公教育行政においてはなかなか改革が進みにくい状況です。
一方で学校からの持ち帰りを認めている学校もあると聞きます。憂うべくはそのような環境格差ではないでしょうか。こうしていつも子どもたちの事情は教育に係る大人の事情の後回しになりがちな歴史をこの国はずっと繰り返しているとも言えます。その中で民間教育がいつも一定の役割を果たしてきたわけです。
何度も申し上げますが、この国の未来は公教育と民間教育の健全な協力体制にかかっているように思えてなりません。しかもここで言う民間教育とは多様な民間教育であり、一部の民間教育では根本的な解決にはなり得ないと思われます。しかし民間教育には費用がかかるだとか、多様な民間教育と言えどもその質の担保はどうするのか、という声が常に上がります。しかしこれとて財源や制度設計において乗り越えられないわけでもないでしょう。公教育だけでは生まれる一方の格差問題を国としてどう捉えるかの優先順位の問題でもあります。
私たち学習塾業界は、自塾の生徒を増やすという目標と同時に、学習塾業界の社会的役割の変化にも力を注ぐべき時にあるように思います。時代とともに変化していく社会的役割あっての自塾生の増加であり、社会貢献あっての自塾生の増加でもあるように思うわけです。
先日、教師わいせつ防止法案において、参議院文教委員会の取りまとめでは、民間教育においても教師のわいせつ懲戒処分履歴を照会できる仕組みにも力点を置く付則を明記していただきました。僭越ながら自民党PTにおいて公益社団法人全国学習塾協会が主張したことが反映されています。こうして民間教育業界の社会的フィールドが損なわれることのないよう全国学習塾協会は活動しています。そして時代の社会的役割を模索するためにも、例えば先述したGIGAスクールにおいて配付されたタブレットの持ち帰りや民間教育での使用を認めていくことなども今後働きかけていけるトピックになっていきます。
一方で特商法や適正な広告表示など遵守すべき事項を守れてこその主張でもあります。業界の発展あっての自塾の発展と考え、また業界の発展あっての子どもたちの成長とも確信して活動しております。
どうぞ非会員の方は会員になっていただいて、自塾の発展と同時に業界の発展をご考慮いただき、また業界の発展が子どもたちの成長につながると確信して、全国学習塾協会を支えていっていただければとお願い申し上げます。