教育資源としての民間教育 第42回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
実現に向けて動き出した定期的な文部科学省との意見交換
先日、文部科学省から公教育と民間教育の連携促進のために定期的な意見交換をしていきましょう、というお話があり、実現に向けて動き出そうとしています。こうした意見交換の場ができていることも、ひと昔前にはあまり考えられないことでした。
この意見交換の目的は、公教育と民間教育が手を取り合って子どもたちの教育環境を作っていかなければ、子どもたちの未来はおろか、社会の未来さえも危惧される焦燥感から生まれました。文科省の中にもこのような空気は存在しているわけです。またこの類の議論はこれまでも多くの方々があちこちで語っていることでもあります。
ところが、それを実現するためのハードルをいったいどう越えるのか、というフェーズに至ったときに、そこからがなかなか難しく、個人の力ではどうにもなりにくい面もあります。
公益社団法人全国学習塾協会は業界団体として、新しい民間教育のフィールドも開拓し実現していく交渉窓口の一面も担っています。
もちろん全国学習塾協会に加盟しなくても塾は営業できます。ただしかし、これからの予測不能な時代を迎えるにあたり、業界を守り、子どもたちを守り、豊かで自由な教育環境を守るためには、個人だけでは難しい局面もあります。そういったこともご理解いただき、今現在は協会なくともそれぞれの塾は活動していけますが、これからのこの国の教育文化の持続性、また、より多様な教育が発展実現していく社会の枠組みは担保されているわけではありません。
持続可能な業界とは、業界を取り巻く環境を適切に整備することで社会に認知され、未来の子どもたちが必要とする学びの提供を損なうことなく、現在のすべての子どもたちの要求を満たすように開発が行われている業界です。規制からの防波堤の意味合いもあります。
空気や水はタダですが、業界をインシデントや批判や危機からタダでは守れません。塾生の安全対策、新型コロナウイルス感染症対策、低所得者層への民間教育費助成、公教育で懲戒処分を受けた教員の塾業界への流入抑止への法整備など、危機回避の活動や公益に資する働きかけの結果、得られるもの・失わずに済むものも少なくありません。
その視点に立って、塾を営むことで世の中をどうしていきたいのか、塾を自由に開き運営していくことのできる世の中がこれからもどうすれば続いていけるのか――。
公益社団法人全国学習塾協会はその活動を通じて、そうした環境づくりを行います。どうぞ塾を営む方々には全国学習塾協会にご理解いただきたいとお願いいたします。
言うまでもなくすべての仕事は社会と切り離すことはできず、社会の大きな仕組みの1つです。その社会の大きな仕組みを自分たちのためのみならず、子どもたちのため未来のために、そこに力を働きかけていける業界団体の必要性をご理解いただいて、公益社団法人全国学習塾協会にご入会いただきますようお願いするところでございます。