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NEA主催 攻めと守り 教えて大学入試情報× 2021年春入試(報告)

2021-08-02

2021年春、大学入学共通テストが初実施された。2022年度より施行される高等学校の新学習指導要領や、英語外部試験を活用した入試など様々な動きがある中、大学入試情報のアップデートは学習塾・予備校においては最も重要だ。
6月14日(月)のセミナーでは、代々木ゼミナール 教育総合研究所教育情報企画推進室 川崎武司氏が登壇し、2021年春入試の総括とともに現時点での最新情報を共有。今後の塾運営および生徒指導に活用できる充実した内容であった。

大学入試改革の目的と経緯

代々木ゼミナール 教育総合研究所 教育情報企画推進室 川崎武司 氏

代々木ゼミナール 教育総合研究所 教育情報企画推進室 川崎武司 氏

入試改革の目的は、筆記試験や学力不問の入試から、学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」をバランスよく測る入試にすることである。

■入試改革の経緯1

1点刻みの選抜に対して、知識偏重等に対する批判があり、改革案として段階別評価が挙げられている。今回の大学入学共通テスト(以下共通テスト)では従来の科目別得点に加え、スタナイン(※注1)による段階表示を利用することも可能だったが、実際に活用した大学はなかったようである。スタナインについての認知が得られるまで、地道に普及していく必要性がある。
AO・推薦入試は学力不問になっており、合格決定時期が早く、卒業まで無為に過ごす高校生が一定数存在する。改革案として学科試験等の必須化、選抜スケジュールの見直しが行われた。総合型・学校推薦型選抜においては、共通テストを含む評価方法のいずれか必須。総合型選抜は9月1日以降出願、11月1日以降合格発表となる。
(注1)共通テストで採用された新しい成績表示法。1点刻みの「素点」とは異なり、受験生全体の中でおおまかな位置を9段階の相対評価で示すもの。

■入試改革の経緯2

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入試改革の目玉であった英語4技能の外部試験の入試利活用と記述式の導入は、いずれも見送られた。全体的な利用はなくなったが、英語の外部試験は個別の入試では広がっている。記述式問題の導入は、採点体制・公平性の課題が残り、各大学の個別入試で課すことで検討中。
主体性等の評価では、能力や意欲、適性を多面的・総合的に評価すべきとし、一般選抜で調査書を具体的に利用することを検討。50大学以上が得点化して活用する話が進んでいたが、次の入試から本格始動か。

共通テストと国公立大2021年度入試概況

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◎共通テストの志願状況
・志願者数は2万2000人超減少(-4・0%)。現役は横ばい、既卒は19%減
・既卒の大幅減少から大都市圏では「共通テスト離れ」の状況が進行
・平均点は国公立型の文系/理系はアップ、私立型文系のみがダウン

◎国公立大の志願状況
・国公立大全体で、志願者数が1万4000人減少(-3・2%)
・前期のみ集計でも志願者数が約7700人減少(-3・1%)
・公立大後期の集計でのみ増加、安全志向による影響
・系統別でも文系/理系ともに志願者数が減少
・欠員2次募集が前年の4大学51名から10大学146名に大幅増加

◎共通テストの出題傾向(センタ―試験との違い)
思考力・判断力・表現力等を要する問題が増加。問題文量が増加し、読むスピードが問われているのをはじめ、複数資料を読解する問題などが見られた。日常の会話や普段目にする現象、テーマなどを使った出題内容も多かった。マ―ク式についての変更はないが、択一式の多岐選択のみではない問い方の工夫がみられる。

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◎初めての共通テストから見えたこと
大学入試センターが目指す「思考力・判断力・表現力等」を問う問題は、精読した上で理解しないと解けない問題もあり、読解力、情報処理能力、資料分析力を加えた総合力が必要である。センター試験より難化するのではないかとみられていたが、平均点は前年のセンター試験と比較して概ね横ばい。思考力は、マーク式の試験で測るのは難しい側面もあった。高校別にみると、中学受験(適性検査)の経験がある中高一貫校の健闘が目立つ。2022年度は難化することは避けられず、2025年度新課程入試を意識した作問・出題になることも予想される。

私立大 2021年度入試概況

◎全体概況
・志願者数は14・1%減。一般選抜が14・3%減、共通テスト利用が13・6%減
・文・理系とも全系統で志願者減少、理系の方が比較的減少幅が小さい。
・一般、共通テスト利用ともに大幅減、前年比での減少率は過去最大レベル
・いずれにおいても1回目選抜で入学が決まり、2回目以降の入試で志願者が減少
・地方から大都市圏への流出減と受験生一人あたりの出願校数の減少が主要因と推測
・文系、理系にかかわらずすべての系統で減少。全体指数85・9を基準とすると国際系の減少幅が大きい。医学・理工系は基準値よりも高い指数となり、文系との比較では受験生を集めている。

◎一般選抜の志願者動向
・1期は12・5%減、2期は26・8%減、受験校数の絞り込みが進行
・レベル別では近年の超安全志向から脱却し、やや強気の出願傾向へ
・近年の上位大学の倍率低下が要因。中堅以下で志願者急減大学も

◎共通テスト利用選抜の志願者動向
・事前は12・9%減、事後は20・5%減。無駄な出願からの回避が進行
・近年の合格最低点の高得点化から出願を避ける傾向が顕著に

英語外部試験の利用方法について

大学入試においては英語の外部試験は積極的に利用されている。特に私立大学では多く、知らずに受験すると、ハンディがあるまま受験することになるため注意が必要だ。現状は、以下に挙げる4つの使い方がある。英検だと、文系は2級(理想は準1級)以上、理系は準2級(理想は2級)の取得が望ましい。

◎出願資格
大学が定める資格、スコアを有していないと出願できない

◎みなし満点
大学が定める基準を満たしている場合、共通テストや国公立大2次・私立大入試の英語の得点を満点とみなす

◎得点換算
大学が定めた基準に応じて共通テストや国公立大2次・私立大入試の英語の得点に換算する。共通テストや国公立大2次・私立大入試の英語も受験して、高得点の点数を採用するケースもある

◎加点
大学が定めた基準に応じて、共通テストや国公立大2次・私立大入試の英語の得点に加点する

最後に、高校における新課程のスタートに伴う共通テストの内容についても言及。新課程では7教科21科目からの出題が予定されている。特に地歴公民、数学、情報についての受験指導は難しいが、大学がどのように受験科目を課してくるかにかかっている。
※この学習会の詳しい内容等は、一般社団法人教育アライアンスネットワーク(NEA)の公式サイトをご覧ください。


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