オンライン英会話OLECOの導入がリード進学塾にもたらした「学力向上」以外のものとは?
英語の4技能習得のため、オンライン英会話OLECO(株式会社スタディラボ・地福武史代表)を導入する塾が増えている。岐阜県内に52 教場を展開するリード進学塾(プロジェクトリーズ株式会社・水野叡伺代表)も導入塾の一つだが、ここは「OLECOを全国で一番活用している塾」としてスタディラボが新規導入塾に見学を勧めることもあるほどだ。
導入から運用方法の設計までを担ったリード進学塾の石田栄治専務に活用方法を伺ったところ、導入コストや人件費を抑える工夫のみならず、OLECO導入がもたらした様々な効果についても余すことなく語ってくれた。
全校舎に導入直後、コロナ禍!OLECO導入のためのインフラでオンラインへスムーズに移行
当塾がOLECOを導入したのは2018年です。インフラ整備やタブレット準備の関係から44教場(当時)への一斉導入は難しく、数校舎ずつ3カ年にわたる導入計画を立てました。全教室への導入が完了した直後、新型コロナウイルスによる学校の一斉休校が決まりましたが、その少し前から「岐阜県内でも感染者が出たらどうするか?」といった話し合いがなされており、同時に2月よりZoomを使い出していました。世間のほとんどがZoomの存在すら知らなかった頃に、です。
私は2019年の11月に東京都千代田区の麹町中学校で開催されていた教育イノベーターのためのグローバルカンファレンス・Edvation × Summit(エドベーションサミット)に参加しており、そこで初めてZoomに触れました。インターフェイスを含め好感を持ったものの、「学習塾とは親和性が低く、普及することはないな」と捉えていました。導入当初は、ICT慣れしていて、かつ受験を控えた時期に休校に苦しんでいる高校生とのコミュニケーションに利用しました。感染状況や世論の動向を見つつ春期講習は対面で行いましたが、岐阜県にも緊急事態宣言が出ることを見越し、全社員がZoomを使えるように準備。宣言後すぐ、オンラインへ切り替えることができました。
この頃にはオンラインに移行しようにも世界中でタブレットが不足し、回線の工事もなかなか進まなかったと聞いています。OLECO以前に導入していた別のICT教材の恩恵もあり、当塾の生徒たちには圧倒的なICTリテラシーがあり、各家庭にパソコンがありました。奇しくもOLECOの導入に伴って全校舎のwi-fi環境が整い、タブレットも揃っていたことで、オンラインへの移行は非常にスムーズでした。しかし、それでも既存の映像授業配信や通信制講座などの家庭で完結するコンテンツの方がコスト面でも安全性でも圧倒的に有利です。すぐにZoomに飽きることを想定し、集団塾のオンライン授業に対しどれほど付加価値を高められるかが課題でした。そのため、配信する授業動画の質を上げようと2カ所に専用のスタジオを作り、授業動画の質と量を高めました。次にスクールタクト(株式会社コードタクト)を導入。家庭学習の遠隔管理を行うようにしました。いずれもゴールデンウィークが終わる頃には完了しています。
学校の休校中は社員の勤務時間を10時から19時に変更し、朝からオンライン授業、お昼を挟んで夕方までオンライン自習室を開催し、個別の学習管理を行いました。本来学校に行っている時間帯は塾の管理下に置き、塾に行っていた夕方以降の時間は家族で過ごしてもらう形です。夕方からのオンライン授業では疲れて帰宅した保護者が家でくつろぐこともできませんし、不安を抱え出社してもらう社員にとっても夜は早めに帰宅できる方がいいと考えたからです。また、4、5月は数回しか通塾していないため、設備利用料など維持費を全額返金対応しました。おかげでオンラインだったこの2カ月校舎へのクレームはなく、多くの感謝の言葉を頂きました。コロナ禍でも使命感を持ち出勤をしてくれる社員には心の支えになったと思います。その評価もあり、6月頃から生徒が戻り始め、7月には生徒数が昨年を上回るほど回復することができました。
OLECOの在宅利用解禁で保護者にも好感
OLECOが在宅でできる環境をいち早く整えてもらえたことは非常にありがたかったです。学校での学びが止まっている中、少し言い方は悪いですが、塾がどれほど先進的かというのを見せつけることができたと思っています。オンラインの授業に自宅での英会話。子どもがネイティブと会話する姿を間近で見せることで保護者の当塾やOLECOへの信頼感が高まっていると感じています。そのため学校が再開してからも、あえて自宅でOLECOを利用する時間をつくるようにしています。
OLECO導入後、リスニングに対する自信がついた子や抵抗感がなくなった子が増え、学校でのリスニングの得点率は上昇し、口コミにもつながっています。社員も従来の強みであった文法指導などに注力できると歓迎しています。「まだ自分でできる」と継続しなかった成績最上位の春期講習生が休校を機に入塾し、通塾後は、OLECOに一番魅力を感じてくれました。志望校合格後は「OLECOのおかげで将来の目標ができた」と保護者がお礼に来てくださいました。OLECOは成績上位者との相性が良く、塾にとって非常に魅力的なコンテンツとなっています。
タブレットの校舎間移動で初期投資を抑えつつ、労働生産性向上と休日確保
OLECOの導入で当塾が期待していたのは生徒たちの学力向上だけではありません。社員の休みを増やし労働生産性向上を狙っていました。週に3回ある中学生の英語の授業のうち2回を通常授業、1回をOLECOの英会話に設定し、各校舎の時間割を調整した結果、以前は各校舎に1人だった英語講師が小規模校舎3校舎につき2人の配置で済むようになりました。また、タブレットの使用日を教室ごとに決め、使用しない日は他教室で使用しています。これにより初期投資を最低限に抑えつつ、タブレットのみで完結する日は他教科の講師や非常勤の講師で運営し、人件費も抑えることに成功しています。手前味噌ではありますが、講師職で年間休日110日(事務職は115日)加えて5日間の有給休暇取得義務化の遵守は業界内ではかなり頑張っている方だと思います。
対面授業とオンラインの併用で退塾者大幅減
現在は感染症対策をしつつ対面授業を行っていますが、オンラインの受講環境も整えてあり、どちらでもOK。今でもクラスに1人くらいはオンライン受講の生徒がいます。体調不良か、親が送迎できないのか、理由は様々ですがスクールタクトとオンライン授業、授業動画の配信が「学びを止めない」ことへとつながり、以前なら欠席扱いだったケースも繋がることが可能になりました。また、欠席者への個別対応も選択肢が増え、個別最適化したサポートがしやすくなりました。結果として休む、フォローが不十分で退塾するという悪循環は急激に減少しました。
それでも退塾は0にはなりません。2カ月に1度は校舎長を集め退塾報告会を開いていますが、退塾理由を正直に話せば褒めるようにし、失敗や恥も報告して皆と共有すれば責めません。それは、失敗を共有することで後に起こるかもしれない同様の失敗を避けられると思うからです。
社員全員が集まる研修や各種講習、各種イベントも基本的には2カ月以上前から計画し、予定を伝えてから逆算して動いています。これまでを振り返っても「少し先」を見据えての行動が功を奏してきました。中3生向けの9月土曜特訓なら6月に行われる進路相談会で保護者に申込用紙を配布、7月末には冬期講習に向けて動くといった具合です。事前にスケジュールを提示し、方向性を合議で決定し、具体的戦略とゴールまでの大枠の指示を出したら私は後方支援に徹します。運営形態としてはある意味FCに近いのかもしれません。導入すればそれだけで集客できるコンテンツなどありません。それをどう使うのかが肝心。「大枠の指示だけで細部は現場に任せ口は出さない。目標達成したら報償が出る」。各自能力以上のものを発揮してもらうにはこの方法が一番だと思っています。
高校生にもOLECO活用で単価アップを
OLECOを使ってきた生徒が高校生になってからも続けたいとの声が上がっています。必ずしも受験目的だけではなく、英語への自信や学習意欲そのものに繋がっていると感じています。高校生の受講率が伸びれば、科目が減り進級時に落ちる客単価の向上にも寄与できます。OLECOは低学年から高校生まで対応可で、英検やGTECなどの対策にもなります。今後もスタディラボさんの商品群には大いに期待しています。
オンライン英会話OLECO
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