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(一社)日本青少年育成協会 アクティブラーニング実践フォーラム 2021

2021-12-01

「学びに向かう力」を育むアプローチ
~学びをもう一段深く掘り下げよう~

一般社団法人日本青少年育成協会は、10月31日(日)、アクティブラーニング実践フォーラム2021をオンラインで開催、約300名の教育者が集い、満足度95%という濃厚な学びの時間を過ごした。

日本青少年育成協会 増澤空 会長

日本青少年育成協会 増澤空 会長

主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニング(AL)の研修としては、規模・質ともに日本最高峰と評されるようになったこのイベントは、今回で7回目の開催となった。塾などの民間教育と学校・教育センターなどの公教育とが垣根を越えて交流する貴重な機会としても注目されている。
基調講演、14件のポスターセッション、6つの分科会でのワークショップ、そしてトークセッションと、大きく4つのプログラムで構成。そのすべてがオンラインをベースに、チャットやブレイクアウトセッションはもちろん、スプレッドシート、Googleフォーム、YouTube、パワーポイント等を絡めた双方向型で展開された。主催者・登壇者が繰り返し口にした「(社会)構成主義に基づく学び」「相互作用的な学び」を徹底追究する姿勢の表れだといえる。

【基調講演】
「深い学びは重要だが、それだけでは将来の仕事・社会にはつながらない」
溝上慎一氏 (桐蔭学園理事長・桐蔭横浜大学学長・教授) 

基調講演を行った溝上慎一氏

基調講演を行った溝上慎一氏

(一社)日本青少年育成協会会長 増澤空氏(株式会社ティエラコム 代表)の挨拶で第一部が開会。最初のプログラムは溝上慎一氏による講演だ。
京都大学教授時代から現在に至るまで、ALの研究者・実践者として最先端を走り続けている溝上氏ならではの示唆に富んだ講演で、桐蔭学園はもちろん、全国各地の学校でのAL実践事例やエビデンスがふんだんに紹介された。「対話的な学び」「協働的な学び」「個別最適な学び」の本質的な機能や実社会へのトランジションとの関係性、DXやWell – Beingに関する考察は、すでにAL型授業をルーティンとして実践している授業者にも新たな問題提起となった。
① 深い学びは重要だが、それだけでは将来の仕事・社会にはつながらない
② ICT利用と伝統的な学習との統合─進むDX
③ 教育でよく使われるようになった「Well-Being」の概念
④ データ・エビデンスの勧め─自分たちの教育を守るために

【ポスターセッション】
学生講師がアクティブラーニングで新たな価値を生みだす

ポスターセッションでの蔦野直迪氏(総合学習塾ViPass)による発表

ポスターセッションでの蔦野直迪氏(総合学習塾ViPass)による発表

ポスターセッションとは、学習者が自らの研究成果や実践事例を、掲示型資料を用いて発表し、聴き手である他の学習者と質問対話するAL法で、当フォーラムでは人気の高いプログラムとなっている。
今年度は、幼児教育、小・中・高校、大学、特別支援学校、児童発達支援施設、塾から、計14件の発表があった。練り上げられた質の高い発表と、鋭い質問が双方の学びを深め、相互作用的な学びが実現していく様はALの真骨頂といえる。
今回、特に注目を集めたのが、塾の学生講師である蔦野直迪氏(総合学習塾Vi Pass)による発表。
在籍校や性別に多様性を持たせた生徒グループを編成し、学習計画の策定や模擬試験の答案分析等を協働的に行うという取り組みで顕著な成果をあげているという。この取り組みの発案・企画から運営、ひいては今回の発表まで、蔦野氏ら学生講師が自主的・主体的に行っていることに驚きの声が上がっていた。

【分科会】
塾教育で「非認知スキル」を育む

「コミュニケーション改革」の講義をした増田乃美氏  (日本教育メソッド研究機構理事・事務局長)

「コミュニケーション改革」の講義をした増田乃美氏 (日本教育メソッド研究機構理事・事務局長)

6つの分科会に分かれての主体的・対話的で深い学びの機会である分科会は、今回も白熱した。
今回の各分科会テーマは「会議・研修改革」「授業改革/学校編」「授業改革/民間編」「面接改革」「学校改革」「コミュニケーション改革」。端的な講義とワークの往還で進行する90分は実に濃密であった。

「面談改革」の講義をした鈴木建生氏 (ユマニテク短期大学学長)

「面談改革」の講義をした鈴木建生氏 (ユマニテク短期大学学長)

今回から、塾など民間教育事業者に特化した分科会が設けられた。島根県で「学習塾イーポック」を経営する岡清和氏による分科会3「授業改革/民間編」である。主要テーマは「非認知スキル」。その必要性や意味、その伸長のために民間教育にできることや方法論などを分かりやすく説き、受講者は対話型のワークを通して学びを深めた。受講者からは「目からウロコだった」「塾の役割が変化していく方向がよく分かった」といった声が聞かれた。

【トークセッション】
「組織デフォルト」の書き換えで教室改革を! 
小山英樹氏(株式会社対話教育研究所・日本教育メソッド研究機構代表)
聴き手/福本佳之氏

トークセッションでの小山英樹氏(左)と福本佳之氏(Vi Pass 代表)

トークセッションでの小山英樹氏(左)と福本佳之氏(Vi Pass 代表)

最後のプログラムであるトークセッションには、本誌のコラムでおなじみの小山英樹氏が登場し、「教室改革」の必要性とポイントを語った。「『デフォルト』という言葉は『既定・標準・定番・初期設定』という意味で使われるが、『怠慢・不履行』という意味もある。教育現場にはデフォルトが生じやすく、その存在に気づいて書き換えを行わないと、教育サービスの改善も教室の改革も実現しない」と、多数のデフォルト事例を挙げながら熱弁した。 
また、Amazon 学校教育書籍部門1位を獲得した近著『教室改革』にも触れ、若い先生方には、教室を改革する力がある、そのためにコミュニケーションのバージョンアップに着手してほしいと呼びかけた。 トークセッションのあとは、リフレクションタイム、そして(一社)日本青少年育成協会副会長の木村吉宏氏(株式会社ヒューマレッジ代表)の挨拶で開会となった。

日本青少年育成協会 木村吉宏 副会長

日本青少年育成協会 木村吉宏 副会長

終了後、当フォーラムを主催した日本青少年育成協会の本田恵三事務局長、福本佳之運営委員長に聞いた。
本田 コロナ禍により、ALの浸透に、特に「対話的」な学びの普及にブレーキがかかっていることを危惧していましたが、フォーラムを通して、大丈夫だという安心感を得ました。各学校・塾の先生方は、それぞれに工夫を凝らして「学びを止めない!」という決意でALを実践し続けていらっしゃいます。そのことに安堵し、感動した一日でした。そしてそういう教育機関で日々生み出される教育成果を共有することで、参加者のみなさまには勇気と示唆を得ていただけたと自負しています。
福本 塾にとって、提供する教育の形や内容を「顧客のニーズに合わせる」「中間・期末テストや入試の動向に合わせる」ことは大切なことです。でも、それを逆転する時期に来ていると私たちは思っています。これから「非認知スキル」の重要性が高まります。その育成を支援するためには、相互作用的な学び、構成主義的な学び、主体的・対話的で深い学びが不可欠です。それを高いレベルで塾が実践し、顧客や学校に訴求していく必要があると思うのです。そうして地域の教育の牽引者になれば、その塾は必ず地域から愛され、信頼されます。そういう活動を、私たちは積極的に支援していきます。

アクティブラーニングは、決して生徒たちだけがするものではなく、教育者・授業者自らが率先して実践すべきものであり、塾の未来を左右するカギであると再認識した一日であった。

なお、日本青少年育成協会では、教育者・授業者の学びを支援する以下のような講座を主催・後援している。

【主催講座】
●教育コーチ養成講座Ectp
お問い合わせ先
 TEL:075-256-8828
 Mail:info@jyda.jp
 URL:https://www.jyda.jp/
 日本青少年育成協会コーチング事業部

【後援事業】
●アクティブラーニング実践講座
●教育コミュニケーション講座
●『教室改革』出版記念特別研修

お問い合わせ先
 TEL:075-707-2170
 Mail:info@jemro.jp
 URL:https://jemro.jp/
 日本教育メソッド研究機構


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