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ウィザスが日越大学と日本語教育センターの基本合意契約を締結
株式会社ウィザス(生駒富男社長、大阪市)は3月17日、ベトナム国家大学ハノイ校の7番目のメンバー大学である日越大学(古田元夫学長)とベトナム国内での日本語教育などの教育活動推進にあたり、日越大学附属日本語教育センター(以下、JLEC)の共同運営に関する基本合意契約を締結した。
古田学長、生駒社長、同大学で日本語教育プログラムを総括する早稲田大学大学院の宮崎里司教授の三者で行われた共同運営に関する調印式並びに記者発表会の様子はオンラインでライブ中継された。
日越大学は日本とベトナムの友好と結束の象徴として「リベラルアーツとサスティナビリティサイエンス」を軸に2016年9月に開学。8つの修士課程と2つの学士課程を有し、プログラムごとに幹事校である日本の大学がカリキュラムの作成と教員派遣で協力、国際水準の教育を提供している。授業は英語で実施され、日本語教育プログラムは全課程で必修科目となっている。
記者発表会では宮崎教授からベトナムにおける日本語教育の現状報告があり、日本語学習者が大幅に増加していることや、それに伴い独立した日本語教育に関する包括運営や研究センター設立が必要になったことなど、JLEC設立の経緯が語られた。世界全体での日本語学習者は増加傾向にあり、国別ではベトナムが第6位。学習者数の比較では中国やインドネシアに及ばないものの、学習者数、日本語教師数、日本語教育機関数の増加率はいずれも世界トップとなっている。
その一方で養成者不足や専門分野(ビジネス・IT・通訳・介護・もの作り・幼児バイリンガル)別の日本語教育の実践の遅れといった解決すべき多くの課題も抱えており、教材の開発や教師の質の向上、ポストコロナを見据えたオンライン教育の充実を図るなど、ベトナムにおける日本語教育の底上げが求められている。2018年に行われた日越首脳会談での共同声明でもJLECの必要性が強く訴えられたことから設立に至った。
JLECのような拠点は東南アジア地域では初めての試みで、将来的にはASEANにおける日本語教育の研究拠点(CoE=Center of Excellence)として同大学の評価を押し上げる効果も期待されている。
(株)ウィザスは国内外5拠点で日本語学校を運営し、ベトナムを含む世界各国から学習者を受け入れてきた。日本語教師養成校も複数展開しており優れた成果を上げていること、通信制高校やオンラインのみで学位取得が可能なネットの大学を運営していることが評価され今回の提携へと至った。
今後はベトナム国内での日本語能力試験対策やビジネス日本語コース、日本語教師養成など、幅広い年齢層への日本語教育を実践していくとのこと。大学との協力を強化しながらベトナムに進出する日本企業が必要とする人材育成のみならず、ベトナムからアジアへ、アジアから世界へ挑む人材の育成を目指していく。