(公社)全国学習塾協会 第34回 塾の日シンポジウム 2022 仙台大会
私たちは乗り越えられる
10月9日(日)、ホテルメトロポリタン仙台において公益社団法人全国学習塾協会主催「第34回 塾の日シンポジウム 2022 仙台大会」が開催された(経済産業省、文部科学省、宮城県、仙台市、全国塾コンソーシアム協議会後援)。
第1部 記念式典では、自主基準遵守塾表彰、読書作文コンクール受賞者表彰が行われ、第2部 特別講演では、京都大学物質-細胞統合システム拠点 拠点長・京都大学高等研究院副院長 北川進氏が「霞を食って生きる─科学技術は仙人の生活を可能にするのか?」をテーマに講演。第3部は親睦交流会が開かれた。
公益社団法人になって、まもなく10年目の節目を迎えようとしている全国学習塾協会
(公社)全国学習塾協会 今村明弘副会長が開会の辞を述べると、安藤大作会長が式辞を述べた。
「みなさま、ようやくこの日を迎えることができました。3年越しの〝塾の日シンポジウム仙台大会〟です。身内のこととはいえ、北海道東北支部の方々、本当に今日に至るまでたくさんの汗をかかれてこの日を迎えることができました。心から感謝申し上げます。
私ども協会は、来年4月で公益社団法人に移行して10年の節目を迎えます。学習塾の公益法人として、諸方面で学習塾業界としての存在価値を十分に高めることができたのではないかと思っております。公益法人の要件に合った健全経営の継続はもとより、新型コロナウイルス感染症対策など、積極的な取り組みが功を奏し、相応の成果をあげたのではないかと思います。
当協会は新型コロナウイルス感染症対策に関する指針およびガイドラインをいち早く策定し、コロナ禍においても学習塾業界が健全に子どもたちの学習の機会を損なわせないよう、働きかけをしてまいりました。
公平原則の公教育のすばらしさがある一方で、現在の日本社会が求める個別最適化にどこまで対応できるかということも問われています。私たちの業界がこれまで何を為してきて、これからどんな役割を担っていけるのか。それが一層の社会貢献につながっていくことを考え、民間教育は重要な社会資源という認識がさらに明確になっていくように、これからも努めていきたいと思っていおります。公益を思う心というものは、強い意志がなければ維持できるものではございません。今後ともみなさまには協会活動にご理解、ご協力をお願い申し上げる次第でございます。本日は本式典にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。甚だ簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます」
来賓祝辞では、仙台市市長 郡和子氏、衆議院議員 伊藤信太郎氏、衆議院議員土井亨氏の代理として佐藤氏、経済産業省商務サービスグループサービス政策課長岡田智弘氏、文部科学省生涯学習推進課課長補佐 松井佳奈江氏、全国学習塾協同組合理事長 森貞孝氏がお祝いの言葉を述べた。
郡和子氏は「デジタル化の進展など社会環境が大きく変化する中、学習塾だからこそできる取り組みがとても重要になってきますので、大いに期待したい」と述べ、伊藤信太郎氏は、学習塾で実施されている個別最適化学習の重要性を強調した。土井亨氏の代理の佐藤氏は「子どもたちのためにますます塾の発展を期待する」と代読。岡田智弘氏は内閣官房のこども家庭庁設立準備室の参事官も兼務していることを述べ、「来年4月にはこども家庭庁がいよいよ発足します。全国学習塾協会からもご要望をいただいている、子どもが活動する場で働く際の性犯罪証明を求める仕組みの導入に尽力してきました。学習塾の教育を通じて、多様な才能をもった多くの人が育っていくことを期待します」と語った。
松井佳奈江氏は「学習塾をはじめとした地域の様々な関係者と連携・協同し、地域とともにある学校づくりを推進いたします」と述べ、森貞孝氏は全国学習塾協会の「全国読書作文コンクール」のエピソードに触れ、「読書作文コンクールは読書の感想ではなく、本を読んだのち頭の中に浮かんだ内容を作文することです」と語った。現代詩人の第一人者だった長田弘氏(1939~2015年)に知人を介して直接会って審査員を依頼し、快く受けてくださったこと、以来20年以上にわたって審査員を務めてくださったことなども述べた。
自主基準遵守塾 表彰 全国読書作文コンクール 優秀作品 表彰
来賓祝辞が終わると、令和4年度 自主基準遵守塾表彰が行われた。(公社)全国学習塾協会は、お客様の安心・安全のために、学習塾事業を行う上で事業者が守るべき基本事項として「学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準」を定め、それを実践するよう普及推進している。自主基準遵守が最も顕著だった事業者を塾の日シンポジウムの場で表彰している。今年度表彰されたのは38塾。その中では従業員が「学習塾法務管理者」を取得するケースが多かったが、「学習塾法務管理者」とは、学習塾事業者または従業者で、消費者の適切な保護のための法律その他必要とされる知識・技能を取得しているとして同協会が認定した者(個人)をいう。
自主基準遵守塾表彰の次は、第32回全国読書作文コンクール 優秀作品表彰 が行われた。全国学習塾協会では、明日を担う児童生徒に、良書との出会いにより感動することのすばらしさを体得する機会を与え、豊かな感性を育むとともに、その感動を文章に表現することによって読書力・文章力・創造力の向上を図ることを目的として全国読書作文コンクールを開催している。塾内選考、拠点審査、中央審査等の各審査を経て各賞が決定される。
次に、全国学習塾協会副会長 中村建吾氏が祝電を披露したあと、同じく同協会副会長 稲葉秀雄氏が第一部の閉会の辞を述べた。「本日は自主基準遵守塾の受賞された塾の方、読書作文コンクールで受賞されたみなさま、保護者のみなさま、まことにおめでとうございます。最近の中学受験、高校受験では思考力を問う問題が多くなっていますが、その対策のためにも読書作文コンクールが非常に役立ちます。ぜひ、今後も読書作文コンクールへの応募を続けていただきたいと思います」
[特別講演]
霞を食って生きる
科学・技術は仙人の生活を可能にするのか?
第二部の特別講演は、京都大学物質- 細胞統合システム拠点拠点長で京都大学高等研究院副院長 北川進氏が「霞を食って生きる 科学・技術は仙人の生活を可能にするのか?」をテーマに講演をした。北川氏の紹介は、全国学習塾協会理事 畑山篤氏が行った。
「〝小さな孔(あな)〟が世界を救う!」が副題になっているように、北川氏はナノサイズの穴を多数持つ「多孔性」物質を開発した人物で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸着する新素材の開発や医療への応用が期待されている。極めて小さな穴の大きさは分子レベルで思い通りに変えることができるため、特定の気体の貯蔵、目的の物質を取り込み分離することが可能だ。この技術を使うことで、少ないエネルギーで工場や車などから排出される有害ガスを回収したり、燃料電池に欠かせない水素を安全に貯蔵したりすることが可能になるという。
北川氏は自らの研究の詳細について語り、今後の展望についても述べた。
令和4年度 自主基準遵守塾 表彰一覧
■ アイ・アカデミー(群馬県館林市)
■ ING進学教室(東京都青梅市)
■(株)熱き情熱コーポレーション(大分県大分市)
■(株)アイキューブ(長野県茅野市)
■ IB早稲田鶴ヶ島校(埼玉県鶴ヶ島市)
■ 青葉学院(神奈川県横浜市)
■ 安藤塾(三重県伊勢市)
■ 栄光学園(大阪府阪南市)
■ 英進館(福岡県福岡市)
■ エコール学院(神奈川県小田原市)
■(法)SI進学ゼミナール(佐賀県武雄市)
■ オンフット進学会(千葉県柏市)
■(株)グランシップ(広島県福山市)
■ コスモアカデミー(三重県津市)
■ 湖北総合学園(滋賀県長浜市)
■ コムタス進学セミナー(広島県呉市)
■ 四季青舎柏(千葉県柏市)
■ 次世代ゼミファインズ(福岡県大野城市)
■(株)駿英(鳥取県米子市)
■ 伸栄学習会(千葉県浦安市)
■(株)真友会(新潟県新潟市)
■ スタディー(三重県四日市市)
■(株)全教研(福岡県福岡市)
■ 創英ゼミナール(神奈川県平塚市)
■ 田中学習会(広島県広島市)
■ 智翔館(長崎県佐世保市)
■(株)TRK(兵庫県尼崎市)
■ 特進館学院(兵庫県三田市)
■ ナカジュク(東京都板橋区)
■ パワーゼミ西本塾(広島県福山市)
■ 東日本進学会(神奈川県秦野市)
■ ホリエグループ(大阪府大阪市)
■ MAC茨田学院(大阪府大阪市)
■ 都の西北学院(東京都立川市)
■ むさし野ゼミナール(東京都中野区)
■ 明和塾(宮城県仙台市)
■ 理系専門進学塾 慶桜学院(千葉県八街市)
■ れんせい会(東京都杉並区)
受賞おめでとう!
第32回 全国読書作文コンクール 受賞者一覧
■小学生の部
[大賞]
4年
福田 胡中さん(岡山)
[最優秀賞]
3年
小椋 亮豪 さん(岡山)
4年
渡邊 莉音 さん(岡山)
5年
時信 瑠果 さん(岡山)
6年
相田 あづきさん(宮城)
■中学生の部
[大賞]
3年
三上 倖奈さん(岡山)
[最優秀賞]
1年
高橋 杏 さん(宮城)
2年
中田 さや さん(岡山)
3年
半澤 美結 さん(宮城)
※このほか優秀賞、特選、入選、キラリ賞がある