(株)日本教材出版 主催 セミナー
誉田進学塾グループ 清水貫代表が講演
「地元塾でしか出来ない中学受験とは!?」
1月中旬から2月にかけて、株式会社日本教材出版(青山泰三社長、千葉県流山市)が主催する情報セミナー&展示会が首都圏を中心に開催された。今回は、誉田進学塾グループ 清水貫代表を講師に迎えた「地元塾でしか出来ない中学受験とは!?」セミナーをリポート。地元塾が中学受験で成功するために、参考にしたいポイントが語られた。
対象校を4校に限定して難関私立中学受験に特化
誉田進学塾グループは千葉県千葉市を中心に市原市や佐倉市、八千代市、茂原市、大網白里市に展開する小中高校生向け地域密着型進学塾だ。難関私立中学をはじめとして、難関高校や難関大学受験を目指すコースに対応。小中高一貫指導体制で、真の意味での英才教育を目指す。
「現在、3事業部で5つのブランドを展開しています。中学受験事業部『誉田進学塾sirius』は、難関私立中学受験専門塾として2教場を構えています。県内受験対象を渋谷教育学園幕張中学、市川中学、東邦大学付属東邦中学、昭和学院秀英中学の4校に限定しているのが特徴です。四谷大塚YTnet首都圏提携塾として、3年間一貫コースです。1学年1クラスのみで、他クラスからの選抜や入れ替えは行いません」(清水代表)
千葉県内の私立中学受験は、高倍率の難関校が数校とそれ以外のグループに完全に二極化していると清水代表は指摘する。
「県内には公立中高一貫校も3校しかないため、こちらも超高倍率です。県立千葉中学のレベルに特化した選択講座を設け、公立中高一貫校受験対策にも力を入れています。ただし、私立中学受験を目指すsirius生には公立との併願は推奨していません」
授業は思考力トレーニングの場と捉え、詰め込み型ではなく、共に切磋琢磨しながら楽しく学ぶ集団指導スタイルを追求している。
「中学受験の負の側面は、誰のため・何のための入試なのかを見失ってしまいがちな点です。子どもたちは、その道で学び続ける才能を持った存在かもしれないのです。その才能や思いを決して潰してはならないと考えています」
実際、生徒たちは難しい問題を考えることを楽しみながら学んでいるという。
「例えば、記述や算数の補講授業では〝正解できるまでやり直す時間〟を設けています。〝わかるまで・できるまで〟を徹底していますが、あくまでも勉強の本質を理解し、学ぶことは楽しいという気持ちを育てることに注力しています。受験を通して生徒が成長し、成功をつかみ、未来を自分自身で切り拓く人に育ってほしいと願っています」
中学側が求める学力を養う対策カリキュラムがカギに
清水代表はこれまでの歩みを振り返り、成功要因を紐解いた。
「創業は1978年。私は学生時代から手伝い、創業者の母親から経営を引き継ぎました。当初から難関中学受験をやっていたのではなく、1990年前後は中学受験のニーズどころか、そもそも小学生は塾に通わない地域でした。93年、正社員採用を機に小学生のニーズも探ってみようと、3年かけて体制を整えました」
95年に千葉大学教育学部附属中を目指す「シリウスver .1.0」がスタートする。
「学校側がどんな入試をしようとしているのか、どこで差を付けようとしているのか、入試問題を徹底分析し、求められている学力に必要な部分を重点的に指導する対策カリキュラムを編み出しました」
これが功を奏し、千葉大附属中4名、昭和秀英中2名の合格実績を上げた。翌年には保護者から「渋谷幕張中を受験させたい」という強いリクエストを受けて、四谷大塚公認準拠塾の契約を結ぶ。98年には四谷大塚YTnet首都圏提携塾を開始。当初は苦戦を繰り返したが週例のYTテストを自塾で実施できることで指導の精度が一気に上がったという。
「99年は塾生7名で開成中2名、麻布中1名、早稲田中1名、渋幕中2名、東邦中1名が進学する大躍進でした。こうして我々の強みは、顧客のニーズに対してその都度、精いっぱい柔軟に対応して積み上げてきたことだと確信しています」
たゆまぬ研究開発の努力と顧客満足度へのこだわり
「振り返ってみると、時代や場所などがかみ合ったことが幸運でした。でも、運に支配されない努力によって、幸運をつかむことができたと認識しています。正社員による授業や教務指導で一定の品質を保ちながら、職人技に磨きをかける鍛錬を惜しみませんでした。指導者の能力を伸ばすことと研究開発の2点を基盤に、経営品質を保つ努力を重ねてきました」
清水氏は研究開発の重要性を次のように強調した。
「入試問題から学校の意図をつかみ、その学力を実現するために教材研究や指導力・教務力、学校の校風の研究を行いました。生徒が理解して点数を取れるようにするためにはどんな指導が必要か、ゴールから逆算することが肝要です。また、教材会社・業界団体・業界誌などから情報を得て、ご自身の感度を高めていくこともお薦めいたします」
さらに、生徒募集も含めた緻密な戦略と顧客満足度へのこだわりを明かす。
「いわゆるランチェスター戦略の弱者の経営戦略で、『この学校なら他塾に負けない』と一点突破の局地戦で勝つことです。言い換えれば、特定の顧客ニーズに対してどれだけ返せるか、逆にそれ以外はお引き受けできないというスタンスを示すことです。そして最も大事なのは、顧客に一番最初に選んでもらう信頼を得ることにほかなりません。
自分たちの考え方とその実践自体が要因となって顧客に選ばれるわけですから、逆説的に顧客を選んでいるのは自分たちだと言えます。価値観が多様化する中、小回りが利く個人塾にとって特定のニーズに対する策は無数にあり、地域の人気校に対するニーズを捉えれば、新しいマーケットが拡がる可能性があります。
民間教育の良さは、多数の答えが存在することです。選ばれる最高のサービスを提供して、次の時代につなげていきましょう」