教育資源としての民間教育 第66回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
「全国特別シンポジウム」の振り返り
今月号は、我々民間教育業界の現況をお伝えするためにも、4月中旬~5月末にかけて行われた当協会主催の「全国特別シンポジム基調講演」の内容を簡単に振り返ってみようと思います。
(1)全国学習塾協会とは、そもそもどういった団体か?
全国学習塾協会とは、1988 年10 月8 日に設立され2013年4月1日に公益社団法人へ格上げ。営利を目的としない法人であり、全国学習塾協会は学習塾や民間教育事業者等により構成され、社会全体の利益のために活動する非営利団体です。
(2)日本版DBSの創設について
DBS とは、英国内務省が所管するDisclosure and BarringService の略称で、性犯罪歴がない証明を発行する組織のことですが、こども家庭庁の創設、日本版DBS の運用が開始されるにあたり、全国学習塾協会は学校教育(公教育)現場のみならず、民間教育業界への利活用権限等を要望していましたが、各省庁等の見解として、憲法の解釈上、個人情報保護の観点からDBS 制度を民間に適用するとなると性犯罪前科者の「職業選択権利の自由を侵害することにつながる」等も議論しなくてはならないとのこと。よって民間適用は難しいだろうとの返答があったが、菅義偉前総理を訪問し、日本版DBS 制度が民間にも適用されることも含め、皆が守られる全体最適を目指して現在も意見交換をしている最中です。
(3)業界の防波堤としての活動を行うことの意味
(ⅰ) 国会議員への意見
2022 年12 月13 日、某国会議員を訪れ要望文書を手渡しました。「塾があるから子どもが睡眠不足になり、親子の会話が減る」といった学習塾が一元的な誤解に繋がる発言について、影響力のある国会議員の皆様には十分に留意していただきたい旨を伝えています。
(ⅱ) こども家庭庁への要望
2023 年1 月31日、内閣府特命担当大臣の小倉將信氏に対して、「教育バウチャー制度の充実と促進」と「民間教育振興法(仮)制定」についてを要望しました。
(4)今後の学習塾業界
日本版DBS 制度や、各自治体で行われる教育バウチャー制度が今後、全国的に本格運用がされれば、公的資金が投入されるにあたり認可制度のような「学習塾のフィルタリング」が起きてくる可能性があり、健全な業界維持を図っていく必要性が引き続きあると思っています。
以上が簡単な基調講演の内容です。国に対する影響力のために、そして全国の塾の教室現場と子どもたちの未来のために動いている団体が全国学習塾協会です。活動にご理解いただき、協会未加入の事業者の方はご加盟していただけますよう、毎号に渡り恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。