学びエイドオンラインセミナー1
映像授業の超現実的活用法(中学編)
~保護者をうならせる夏期講習の設計~
6月8日(木)、オンラインセミナー「映像授業の超現実的活用法(中学編)~保護者をうならせる夏期講習の設計~」が行われた。
主催は、株式会社学びエイド(廣政愁一代表取締役、東京都)。講師は、日本教育設計株式会社(兵庫県神戸市)の代表取締役であり、WinStar 個別ONE の塾長を務める北浦壮氏である。司会進行は、学びエイドの岡元大和氏。また、株式会社好学出版(長嶋顕信代表取締役、京都市)國分雅道氏もコメンテーターとして参加した。
映像授業の活用方法について悩んでいる塾が増えている
「今回、弊社学びエイドと好学出版様と日本教育設計様の3社でセミナーを開催する運びとなりました。好学出版様の中学生用標準問題集『ウイニングシリーズ』に弊社の映像授業をご提供させていただいていること、また、その教材を北浦先生の塾でお使いいただいているからです。
これまで様々なお客様とお話をする中で、映像授業がかなり普及してきた印象を受けています。一方、中学生に向けた映像授業の活用方法などについて悩んでいるお客様も非常に多いと感じております」
冒頭の岡本氏のこの言葉に国分氏が次のように続けた。
「私も営業をしておりますと、映像授業の活用法についてのご質問をお客様からいただくことが増えています。特にこの時期ですので、夏期講習について映像授業の設計についての質問が多くなっています」。
そこで、中学生に向けて映像授業を活用している北浦氏が、夏期講習の設計術や教材選びについて語る今回のセミナーが開催されたのである。
まず、北浦氏は自身のプロフィールを紹介。民間教育の発展に長く貢献してきた北浦氏は、その実績とネットワークを活かして2018年に日本教育設計(株)を設立した。現在、「関わる全ての人々を幸せに」をスローガンにして幅広い年代の人々に教育サービスを提供。学習塾のWinStar個別ONEやファイト学習会のほか、書道教室や大人向けのそろばん教室も経営している。
そんな北浦氏は次のように語った。
「私のこれまでの経験の中で、他塾の夏期講習に生徒を取られたり、夏期講習を受けない生徒がいたり、保護者から夏期講習が『高い!』と言われてしまったことが数多くありました。こうした苦い経験を踏まえて、今、私が経営者として考えていることが3つあります。1つ目は『頭の中に理想形を持つ』。2つ目は『自塾における夏期講習の立ち位置と夏期講習の提案方法』、3つ目は『通年用・夏期用教材の選び方と映像教材』です」
保護者を納得させるには感性を一致させることが大切
1つ目の「頭の中に理想型を持つ」に関して北浦氏は次の4つを紹介した。
①「理想の塾」を具体的に設計し、現状と理想のギャップを認識する。また、理想のために今何が足りていないかを具体的に書き出す。
②「これいいな」と思う商品やサービスを見つけた時は、自分の理想の塾のどの部分を賄えるのかを考える。
③日本全国の様々な塾を見学し、また、自塾の理想に近づく商品やサービスを探し求めて常にアンテナを張り続ける。
④新しいことを始める際に必ず起こる変化(社員や保護者の不満など)を恐れない。
「最後の④は難しいことですが、言われる不満をある程度想定して『お母さん、これにはこういう事情があって、絶対に100%お子さんのためになるんですよ』と自分が胸を張って言えない限り、新しいことには着手しないと決めています」
2つ目の『自塾における夏期講習の立ち位置と夏期講習の提案方法』に関しては次の4つを述べた。
①年間を通した季節講習の位置づけを始めから保護者に伝えておく
②通常従業はあくまでも先取りの定期テスト対策のためであること、夏期講習は入試または2学期の実力テストに向けた総復習のためであることを塾内の常識にしておく。
③入塾面談・三者面談時において『最低限話さなければならない内容』を決めておく。例えば、高校継続、季節講習・特別講義、年間の費用感など。
④提案内容は優先順位がわかるように「根拠に基づいた具体的な提案」「保護者自身が心配している単元」「以前から試してほしい単元・試してみたいと思っていたサービス」を提示する。
⑤提案は面談でも文面でもよいが、面談が「お金を出させるための時間」にならないようにするための根拠が必要。
「これも最後の⑤が難しいといえます。面談で『お母さん、そろそろ夏期講習の時期です。うちの夏期講習はこれだけの金額がかかります』と講師からいわれれば、『もう、お金を払わされるための面談には行きたくないわ!』と思われてしまいます。ですから、根拠を示してください。具体的な根拠でも一般論でもかまいません。『ああ、それは確かに大事ですね』と相手が納得できる話をしましょう。
納得させる上で重要な要素があります。保護者の方々に共感してもらうことです。講師の教育に対する熱意が十分に伝わり、普段から『この先生はうちの子を大切に思ってくれている。信頼できる。だからこの先生の話は真剣に聞いておこう』と思ってもらえて初めて、保護者と感性を一致させることができます。夏期講習の前だけ電話をかけてきて『これだけの金額がかかります』と言っても保護者の方々の心にはまったく響かないはずです。こうした点を常に意識していただけたらと思います」
ウイニングシリーズなら一人ひとりの学習を管理できる
続いて3つ目の『通年用・夏期末用教材の選び方と映像教材』に関して。北浦氏は理想の教材の組み合わせとして、あくまでも一例とした上で「通常授業時に使う通年用教材」と「講習時に使う講習用教材」と「夏休みの課題用に使う自学用教材」を紹介した。
「特に夏休みの課題用に使う教材は多すぎると生徒のテンションが下がってしまいます。薄めの教材を用意しましょう。さらに別冊のテストがあると理想的です」
次に映像だけ使いたい場合や現場のオペレーションが効率的に回っている場合は好学出版へ、映像に加えて学習管理の仕組み化や省エネ運営もしていきたい場合は学びエイドに相談するようにアドバイスをした。
「ウイニングシリーズにはLMS(ラーニングマネージメントシステム)が導入されています。そのため、講座として展開する場合、宿題や課題の管理をLMSに任せることができます。例えば『ウイニングサマー』という無料の解説映像がついた夏期教材をはじめ、ウイニングシリーズには学習タスク管理という機能があるので、生徒全員が映像をきちんと見たかどうか講師が把握できます」
そして『通年用・夏期用教材の選び方と映像教材』について重要な点を次の4つにまとめた。
①自塾の理想に合った教材の選定ができているか?
②「映像なら何でもよい」ではなく、自塾のスタイルで使える映像かどうか?(授業用の映像もあれば辞書代わりの映像もある)
③教材と映像はリンクしているのか?
④映像に付随したサービスはあるか?
最後に北浦氏は夏期講習募集までのセルフチックシートを提示。他塾の夏期講習に自塾の生徒を取られた場合は「受験までの見通しを伝えきれたのか?」、夏期講習を受けない生徒がいた場合、「通常授業と講習の定義の違いを、どの講師も説明できるように教育したか?」、出し渋りで低単価になってしまう場合、「費用対効果を踏まえながら、指導から教材の選定まで、すべてにロジックが通っているか?」などをチェックするように勧めた。