[左] 主催者挨拶を述べる　
野田塾 取締役塾長　三輪宏氏
[右] 会場校挨拶を述べる、
名古屋中学校・高等学校の学校長
永田久喜氏

「チョーク一本で教育改革を」をテーマにした「全国模擬授業大会 in 名古屋―教育の力 2023―」が今年も10月22日（日）に行われた。全国の塾の教壇に立つ教師たちが授業での「話法表現力」「板書」「指導内容」「論理展開」「工夫」「納得感」を競い合うイベントだ。コロナの影響により、2020年と2021年の大会は中止となったが、昨年から再開されている。会場は例年通り、学校法人名古屋学院 名古屋中学校・高等学校だ。11回目を迎えた今年の大会に参加したのは58団体で、出場者は43名である。この43名が全国の塾の代表を始めとする審査委員を前に、約15分間の模擬授業を披露した。

生徒のためになり、やる気を引き出す授業を

部門別チャンピオンに選ばれた5名

名古屋中学校・高等学校のチャペルで行われた開会式では、まず、主催者である野田塾取締役塾長の三輪宏氏が挨拶。先日亡くなった同僚の先生とともに教えた日々を振り返りつつ、次のように述べた。
「彼は生徒思いの熱い心を持った男でした。ですから、今日は皆様、どうか熱い授業を見せてください。生徒が心から喜ぶ授業を見せてください。彼がそれを一番喜んでくれるだろうと思うからです」
次に名古屋中学・高校校長の永田久喜氏が挨拶。続いて、来賓や審査員の紹介、審査方法などの説明が行われた。その後、出場者を代表して開倫塾の関口雅子先生が選手宣誓。
「私たち講師一同は生徒のためになり、やる気を引き出す授業を自分自身も楽しみながら精一杯行うことを誓います」と力強く述べた。

心に強く響いた模擬授業の数々

団体戦で1位に輝いた野田塾の先生たち

開会式終了後、会場を校舎に移し、部門別予選と部門別チャンピオン決定戦へ。英語・国語・数学・理科・社会・ルーキー（新人）の部門ごとに教室に分かれ、熱戦が繰り広げられた。
午後2時からは、再びチャペルを会場にして、グランドチャンピオン決定戦がスタート。各部門のチャンピオンが発表されるたびに、会場から大きな歓声があがる。そして受賞者5名が登壇し、予選で行った模擬授業をさらにパワーアップさせて展開した。
数学部門の野田塾・渡邉友宣先生の授業の単元は「円周率」（中1）だ。円周率を使わずに円の面積を求めるという古代の知恵を活用して、灘中学校の入試問題を解く方法を解説した。

[左上] （株）アガトス 創学舎　片岡秀樹先生（国語）
[右上] 野田塾　渡邉友宣先生（数学）
[左中] eisu 津駅前校　稲垣伸樹先生（社会）
[右中] 開倫塾　関口雅子先生（英語）
[左下] 野田塾　永田萌先生（ルーキー）
[右下] NEVER TOO LATE　岡本澄香先生（理科）

国語部門は（株）アガトス 創学舎・片岡秀樹先生の「短歌」（中2)。助動詞「けり」や「たり」の「り」、形容詞「楽し」「美し」の「し」といった短歌の区切れについて説明し、短歌の味わい方を熱く伝えた。
英語部門の開倫塾・関口雅子先生は「名詞」（中1）である。英語の名詞には「a」や「s」がつき、決まった形のある可算名詞と、「a」や「s」がつかず、決まった形のない不可算名詞があるとわかりやすく説明。その使い方を教えた。
社会部門のeisu 津駅前校・稲垣伸樹先生は「日本国憲法」（中3）。人間らしく生きる権利を保証する社会権について解説。それには、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、教育を受ける権利、勤労の権利があることを伝えた。
理科部門のNEVER TOO LATE・岡本澄香先生は「月の満ち欠け」（中3）。公転による月の満ち欠けを見て、方角や時間を知る方法を、数学や英語、国語の知識を活用して覚えることの楽しさとともに伝えた。

この大会のために多くの時間を注いだ先生方に感謝

お礼の言葉を述べる
野田塾 全国模擬授業大会実行委員長
川原英樹氏

結果発表を待つ間、ルーキー部門チャンピオンに輝いた野田塾・永田萌先生が模擬授業を披露。教科は社会で、単元は「武士の誕生」（中1）だ。そして、いよいよ結果発表へ。グランドチャンピオンの栄光を手にしたのは、社会部門のeisu津駅前校・稲垣先生である。名前が読み上げられ、表彰のために登壇した稲垣先生の目に涙が光った。なお、準グランドチャンピオンを獲得したのは、（株）アガトス 創学舎・片岡先生である。

[左] 団体戦で3位となった開倫塾の先生たち
[右] 団体戦で2位となった eisu 津駅前校（三重県）の先生たち

続いて団体戦の結果発表へ。1位は野田塾、2位はeisu津駅前校、3位は開倫塾である。表彰式に続く閉会式では、野田塾の三輪氏による主催者挨拶のあと、野田塾 全国模擬授業大会実行委員長の川原英樹氏が次のようにお礼を述べた。
「名古屋中学校・高等学校様、そして開倫塾の皆様。皆様のご助力なくして、今回の大会は実現には至らなかったと思います。また、審査員やご来場の皆様、多忙な中、本大会に駆けつけていただき、感謝の気持ちしかございません。最後に出場者の皆様。皆様の知恵、心、多くの時間を注いだ授業があったからこそ、本大会は成立したと我々は思っております。本当にありがとうございました。来年の5月26日（日）には、開倫塾様主催による第17回全国模擬授業大会が栃木県足利市で行われます。皆様の参加をお待ち申し上げております」