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NEA主催 2023教務セミナー
論理的文章を書くためのメソッドとは?

2024-01-05

2021年度の中学校学習指導要領改訂により、公立高校の入試問題は思考力や判断力、表現力を求める傾向となっている。公益財団法人日本漢字能力検定協会が提供している文章読解・作成能力検定のメソッドから、企業研修でも活用されている「論理的な文章を作成するプロセス」について紹介。高校入試だけでなく、大学入試の小論文にも活用できる内容になっている。

論理的文章を書くための6つのプロセス

(公財)日本漢字能力検定協会 山田乃理子氏

(公財)日本漢字能力検定協会 山田乃理子氏

日本漢字能力検定協会 才賀敦氏の挨拶から本セミナーが始まった。
「日本漢字能力検定協会では、主に3つの事業活動を行っております。
「今年の漢字」やミュージアムなどの〝普及啓発・教育支援活動〟、京都大学との研究プロジェクトなどの〝調査・研究活動〟、そして漢検や文章読解・作成能力検定(以下、文章検)の実施などの〝日本語能力育成活動〟です。
そして、この文章検から派生した「文章力育成コンテンツ」は近年、社会人にもご好評いただいています。その中の研修サービスで解説している「論理的文章作成のメソッド」は、受験生の作文や小論文指導のヒントになると思います」と話した。
続いて、同協会 山田乃理子氏による講演が始まった。
この研修の目的は、あらゆる職種で業務の土台となるコミュニケーション力や文章力を学ぶことです。具体的には報告書や経緯書、提案書・稟議書などの文章を的確に作成し、社内外のコミュニケーションが齟齬なく、より効率的になることを目指すものです。
文章力の効果的な育成方法は、プロセスごとに必要な能力を個別に鍛えることです。例えば、学生時代のスポーツ練習を思い出してください。筋トレ・走り込み・投げる・打つなど、必要な能力を分けて鍛えていたと思います。文章力を鍛えるのもこれと同じなのです。
また、「文章を書いてください」と言われたら、すぐに手を動かして書き出したくなりますが、実は論理的な文章を書くコツは書き出す前にあります。では、文章を書くための6つのプロセスを紹介します。文章を書くという行為を要素に分解すると「問題把握」「情報収集」「問題解決」「論理構成」「語彙表現」「推敲」という6つのプロセスに分けることができます。そして、6つのうち前半の4つは実際に書き出す前の準備で、ここが最も重要になります。

【問題把握】
まず、文章を書く目的を考えるステップです。例えば、ラブレターを書くとしたら、それを書く目的は…?皆さんならどんな目的を設定するでしょうか。もちろん、相手との関係性やタイミングにもよりますが、研修受講者にお聞きすると、「気持ちを伝える」が最も多い回答で約6割程度でした。では、この「気持ちを伝える」が目的の場合、相手からどんな反応が返ってくれば、目的が達成されたことになるでしょうか?文字通り「気持ちが伝わった」なら、「わかりました。受け止めました」という反応が返ってきたら、目的は達成されたことになります。どうでしょう?少し物足りない気がしますね。では次に、欲しい反応を考えてみます。好きな相手ですから「こちらこそぜひお願いします!」と返ってきたら嬉しいな…。この反応をふまえて考えると、目的は「付き合ってもらう」になります。このように、目的を捉えるのは簡単そうに見えて意外と難しいことです。文章を書く目的を考えるときは、読み手からどんなリアクションが欲しいのかをセットで考えることで、目的をよりシャープにしていきます。

【情報収集】
相手が求めるものを提示できる材料が揃っているか、過不足はないか確認をします。書きたいこを考えながら、思い出しながら書くことはしません。まず、その文章を書くためにどんな要素が必要なのか、材料をすべて洗い出してから、改めて取捨選択や優先順位づけを行います。

【問題解決】
集めた材料をもとに、どんな結論を導くのか。それは、当初設定した目的からずれていないかを確認します。この時、「問題把握」で設定した目的が達成される結論になっていて、「問題解決」ができているかに注意します。

【論理構成】
それでは、書き出す前の準備4ステップ、最後のステップです。どのような情報を、どのような順序で伝えるべきかを考えます。例えば、家電製品の取扱説明書は、初めての人でもわかりやすく書かれていますが、同じ話題を何度も話し合っている定例会の資料には変更点が中心に書かれていると思います。このように、読み手がどんな状況・立場なのかによって、必要な情報と伝えるべき順序を考えます。

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仕事でも入試でも同様に、書き手と読み手の立場は大きく異なり、同じ知識や経験を持っているわけではありません。そんな相手に何かを伝える場合は、相手が物事を理解するプロセスを考えたうえで情報を提供しなければいけません。相手の思考プロセスを考えることが、アウトライン(文章の骨組みや骨子)の構築に不可欠なのです。
例えば、「ジャンケンとは何か?」を説明する文章を書くなら、アウトラインを「1定義 2ルール 3使い方」とします。 
そして、そのあと各項目に具体的な文章を書いていきます。もちろん、アウトラインは正解が1つというわけではなく、文章の目的や文章を読む相手によって変わります。
例えば、仕事の報告書はよく「結論から書くように」と言われます。これは、結果を早く伝えることが目的だからです。一方、仕事の提案書では、結論を最初に書くことはありません。結論は最後に、冒頭には相手が共感できる事実から書いていきます。これは、相手に納得・賛成してもらうことが目的だからです。最初に結論を書くと、反対されてしまうかもしれません。

【語彙・表現】
ここまで準備して、初めて所定の用紙やフォーマットに文章を書き始めます。ここまでくれば、文章の「目的・必要情報・結論・アウトライン」が決まっていますから、あとは適切な語彙や表現を選んでいくだけです。ここまで準備が整っていれば、筆が止まる・書き出せないということはありません。スムーズに文章を書き始めることができると思います。
仕事で上司が部下に、または先生が生徒に文章の添削指導をする際、文法や言葉の間違いを直すことも多いのではないでしょうか。これは、今日ご紹介した6つのステップのうち最後の2ステップにあたります。もちろん、間違いを正すことはとても大切で、学びにつながることではありますが、それだけで文章力を育成することは難しいと思います。
これら6つのステップのうち前半4ステップで準備をしっかりすれば、誰でもわかりやすく論理的な文章を書くことができるようになります。慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、意識的にこのステップを運用することで、情報の整理ができ、思考を深めるきっかけにもなるのではないでしょうか。

進む推薦入試と対応が必要な文章対策

再び才賀氏の話へ。
近年の大学入試の傾向として特徴的なのは、「総合型選抜や学校推薦型選抜」による入学者が増えていることではないでしょうか。総合型選抜ではプレゼンテーションや小論文など、答えのない問題に対して自分の考え、意見を問う多様な課題が出題されており、受験者には思考力、表現力、文章力が求められています。高校入試においても「資料読み取り問題」や「作文」が出題されており、大学入試と同様の力が求められていると考えられます。
実際に文章検を導入された福岡県の塾の例ですと、1コマ目の授業で文章検の過去問を解かせ、2コマ目の授業で作文のルールや通信文を指導していました。宿題として文章検の教材『文章力ステップ』を活用し、その中の意見文の問題については、塾生たちが書いた文章を教員が4回程度添削を行っています。指導の成果として、塾生たちは文章を書くことに対して抵抗が少なくなり、推薦入試の作文はもちろん、一般入試の200字程度の記述問題も難なくこなせるようになったとのことです。
文章力は複数の能力が関連した総合的な技能です。論理的文章には完成までのプロセスがあり、必要な能力を個別に鍛えることで、効率的、効果的に文章力を向上させることができます。文章指導に課題を持つ塾の先生がいらっしゃいましたら、是非文章検の活用をご検討ください。と締めくくった。


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