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AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第87回

2024-11-01

教育に夢を持とう、チャレンジしよう

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昨今かなりの塾が消えている。大手も中小も併せて3割近くが、コロナウィルス感染症が始まる前と比べて減少しているのではないか。本年に入って積極的に打って出ようとする塾もあったようだが、家庭環境が相次ぐ値上げと完全にコロナやインフルエンザが収束したわけではないことによる怖さから冷え切った状態から回復していない。何年も安定して100名前後生徒がいたものが、コロナ禍での対応が遅れたり、逆にオンライン化を徹底して生徒が急減したり、また生徒数が20、30名台に落ち込んで、タブレットを使う指導が上滑りして閉鎖に追い込まれたりした塾などいくつもある。
一方昨年から生成AIが浸透し始めて、塾としては言葉では承知をし、見てはいるけれどもどのように扱えばいいのか、わからない状態のままにしているところが多い。ある程度考えようとしているところもあるが、毎日の作業や授業の忙しさにかまけて1日延ばしにしているのが実情だ。
大企業は社運をかけて1日も早く生成AIやDXを活用して新しい製品を、他社との差別化を図る製品の製作にしのぎを削っている。この1年半の間に、売り上げが2倍3倍に伸びたものが次々に出てきている。
またインバウンドの急激な伸びで、外国人旅行者の殺到する商品のような特需も塾業界には望めない。学習塾はこれから生徒の急減期に入る。塾指導面でのプラスの材料はほとんどないのだ。そこで改めて一旦ゼロに戻して材料をまとめてみよう。
プラス面からみていくと、学習塾の経営者は少なくともある程度学力がある、頭のいい人材が多い。さらに教育の分野で働いているという面では、今話題になっているDXや生成AIの話を聞いたり触れたりする機会も多い。そして学習塾を経営しているということは、経営して人を使い、規模を拡大しようとする意識も持っているはずだ。
マイナス面はこの分野はいま生徒数が減って一番多い時の3分の1になってきていること。受験のための学習指導が減ってきて、学力を伸ばす、やる気を起こさせるという基本的な指導に力点がおかれている。
これからどうしたらいいか。
いま大きく望まれているのは外国人の日本語習得のための教育だ。毎年何十万人もの外国人労働者が日本に入ってくる。一定の基準までの日本語教育はされているが、日本に定住して日常生活をしていく上でははるかに語学力が足りない。その家族に至ってはほとんど話せないケースもある。
日本語を早急に学びたいという生徒が首都圏に1万人以上いるそうだ。
もう一点、大変大きなプラスになり得る点は、他業種と違って通ってくる子どもたちが将来の日本を担っていく人材となり得る点だ。ITに目覚めて力をつけていくかもしれない。スポーツでビックリする成績を上げる生徒が出るかもしれない。何人かの生徒たちにせがまれて教えたことが大きく伸びるかもしれない。そういうことを考えればまわりに何か工夫によっては事業の一つの形態として考えられるものが見えてくる可能性はないのか。
単純に塾の勉強の一つの形だけにとらわれないで頭を働かせてみないか。夢を持とう。チャレンジしよう。生徒数を増やすには独自の工夫があってもいいはずだ。下を向いて歩いていては何の知恵も浮かばない。これからの一年をきっかけにしてみないか。


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