成し遂げる力
ニーズからすべてを始める総合教育企業スプリックスのNo.1ブランド戦略
常石博之 著 ダイアモンド社 刊 1,540円(税込)
著者は、(株)スプリックス現社長の常石博之氏。同社は2018年に株式上場を果たしたが、企業規模が大きくなり、ステークホルダーも増える中で、スプリックスの事業に対する想いや戦略をもっと社内外に伝えていかなければならない、という課題意識から書籍の出版を決めたという。
スプリックスは、社名の由来にもなっている、『教育を通して世界中の人に人生の新たなステージ、「春」を届けたい』という想いを軸にした、パーパス経営を創業以来貫いている。また有名校への合格を目的にしがちな塾が多い中で、ミドル層の子どもたちにフォーカスし、教育業界の課題に挑み、No.1ブランドを数多く輩出する中で、各サービスの裏側に隠された秘密が解き明かされている。
さらに、真摯に向き合う対象は、子どもたちだけではない。塾で教える講師にも向き合い、塾業界全体のイメージを変え、モチベーションを高めることにも努めているという。「やる気よりもまず成績向上」「究極のマーケットイン思考」「グループ内でのカニバリゼーションの許容」など、教育業界だけでなく、様々なビジネスに通底する成功への戦略が散りばめられている。
保護者と生徒のニーズに真正面から向き合い、それに応える質の高いサービスを作るために、成績や定期テストのデータ分析、教材開発など、テクノロジー投資を続けてきたというスプリックス。その改善は、「データや行動の分析」と「現場の声の反映」の2方向から行っていくという。最速でニーズに応え、改善を積み重ねていくオペレーションで最も重要なことについても言及してくれている。実際の事業や子ども、保護者の反応にもとづいた解説により、これからの教育業界とどのように向き合い、どのように考えていくべきなのかのエッセンスが満載だ。