子どもへの性暴力は防げる!
加害者治療から見えた真実
福井裕輝 著 時事通信社 刊 1,980円(税込)
本書では、子どもへの性暴力に関する現状を解説し、未然に防ぐため方策を提言している。著者は2011年に性障害専門医療センター(SOMEC)を設立し、加害者治療に携わってきた精神科医の福井裕輝氏だ。子どもへの性暴力を未然に防ぐために、基礎知識として押さえておきたい子どもへの性的嗜好から加害の傾向、加害者に対する治療法、保育・教育現場などにおける対策、加害・被害が起きたときの周囲の対応のポイントまで解説している。
特に加害については、親による性的虐待、保育士や教員など関係性を利用した加害、近年増加しているSNSを通じた加害、盗撮、デジタル性加害など、様々な関係性・手法を取り上げ、その心理に触れている。また、県教育委員会からの要請で著者が監修した加害の危険度を調べる自己チェックシートも収録している。
第1章 小児性愛障害と性暴力の基礎知識 まずは知ることから
第2章 子どもへの性暴力の実態 押さえておきたい加害の傾向
第3章 被害=加害を防ぐために今できること すぐに取り組みたい対策
第4章 被害・加害における対応 あってはならない「もしも」に備える
保育所、幼稚園、学校、児童養護施設、そして学習塾ももちろん、性暴力の被害と加害が起きやすいところだ。子どもへの性暴力を少しでも減らすために、そして塾のリスクマネジメントの一環としても、本書の一読を強くお勧めする。