世界で一番やさしい
教養の教科書[自然科学の教養]
児玉克順 著 fancimi 絵 Gakken刊 1,760円(税込)
著者の児玉克順氏は予備校講師。28年間の現代文講師を経て、現在学校内予備校講師と高校非常勤講師として、目の前の生徒相手に研磨を積み重ねる。
「新しい社会は今の、そしてこれからの科学技術をもとにつくられますが、今の科学技術は私たちの生活感覚で理解しづらいものも少なくありません。しかし私たちはすでに、理解できていないまま、科学技術の産物を使いこなす日々を送っています。これはある意味、科学技術に対してあまりにも無防備といえます。私たちは、ある程度科学技術に関する『知の武装』が必要ではないでしょうか」と、「はじめに」で述べる著者。
本書は、自然科学分野の教養を時系列にそって「ストーリー形式」で説明した「教養の教科書」。たくさんのイラストや図解、キーワード解説を駆使し、「分かりやすさ」と「正しさ」の間で平衡(バランス)をとることを常に意識しながら解説したとのこと。本書を読むことで、自然科学の原理や法則や発見を、時代の流れにそった「縦のかかわり」を通して分かりやすく学ぶことができる。そして、科学技術の理解に少しでも近づくための「知の土台」が得られる。
また本書は、自然科学の本や記事やニュースを理解するために必要な各分野の最低限の背景知識を身につけて、さらに様々な自然科学の本に手を伸ばしてもらう目的で執筆したものであるという。科学史、物理学、相対性理論、量子論、宇宙、数学、化学、地球史という全8章の分野をまとめ、さらにそれらの分野が孤立しないように各分野のリンク先を多く用意して、「横のかかわり」もイメージできるように工夫されている。
学生の入門書に、学び直しのきっかけに、ビジネスに活かすためにも本書はきっと役立つが、特に塾の講師の方々には読んでいただきたい1冊だ。