学習塾と高齢者雇用 社団法人全国学習塾協会が調査研究
定年退職者の希望者全員継続雇用は17%
経営者は高齢者雇用をどう考える!?(後編)
後半は、経営者側から感じる高齢者活用における課題とメリットについて、回答をもとにまとめてみました。
50代もしくは60歳以上の従業員を活用してよかったこと、メリット等
● 離職の心配が少ない。
● 若手の社員からも、同じ会社で長く働くという人生設計ができたという感想を聞いた
●(1)責任感がある。(2)意欲的である。(3)新たな面についての研修にも熱心に対応している。
● 経験豊富なため、会社を運営する際のアドバイスをしてもらえる。
● 長年、経験を培ってきたので、気心がわかりあえて、やり易い。
● 社員の将来不安の軽減
● 未熟な若手教師に社会常識や組織内規律を教えてもらえること。
● 社会経験の豊さがメリットでもあり、デメリットにもなっている(本人にプライドがあり、年下の上長の云うことを素直に受け取ってくれない)
● 人生経験の豊富、真面目さ等。
● 保護者から信頼感をもってもらえる。
一方、いわゆる高齢者予備軍ともいえる50代社員を対象としたアンケート結果はどうなっているのでしょうか。
50代社員は自分をどう評価しているかというと、「高いレベルだと思う」では、「勤怠状況」における割合が68・1%と最も高く、次いで「専門的な知識・技能」(59・5%)、「定常業務を遅滞なくこなすこと」(56・7%)となっています。
また、「低いレベルだと思う」では、「関連業務や全社業務に関する広い知識」(14・6%)と「取得している職業資格(教員免許、塾講師検定等)」(11・2%)が1割を超える結果となっています。
希望年齢まで就業するために会社に要望すること
「慣れている仕事に継続して配置されること」の割合が56・0%と最も高く、次いで「希望を聞いてもらえる環境にあること」(40・5%)、「就業環境や就業時間の改善」(29・3%)、「技能やノウハウの継承が円滑に進むようにすること」(20・7%)となっています。高齢社員の過半数は、いままでと同じ仕事を望み、「人材不足の部署に優先的に配置」はわずか5%でした。
定年年齢到達後に希望する就業先
いま勤めている塾で定年年齢到達後、希望する就業先をみると、「今と同じ塾での就業(同じ仕事)」の割合が54・5%と最も高く、次いで「仕事はしない」(13・1%)となっています。定年年齢到達後も仕事を続ける場合の就業先としては、「異業種での就業」(7・1%)、「今と同じ塾での就業(違う仕事)」(6・1%)、「独立、自営」(5・1%)が挙げられていますが、いずれも1割に満たない結果となっています。
自分が会社にアピールできるメリット
回答者が会社にアピールできるメリットをみると、「生徒を指導をするのがうまい」の割合が49・1%最も高く、次いで「保護者からの信頼感・安心感が高まる」(44・0%)、「保護者への対応や調整・説明などコミュニケーションがうまい」(34・5%)、「生徒とのコミュニケーションがよくなる」(29・3%)となっています。
協会では、本実態調査の結果を踏まえて、学習塾業界における高齢者雇用の現状と課題、効果的な高齢者雇用推進の方向性などを検討しつつ、学習塾における高齢者雇用推進ガイドラインを策定いたします。当該ガイドラインは、学習塾での高齢者活用セミナーにおいて公表・解説され、事業者の今後の高齢者活用に役立てることができます。