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EDITOR'S SCOPE

苦情を持つ顧客の動向からみる顧客相談対応の重要性

学習塾における「顧客相談窓口」の設置とその充実を考える

ここに興味深いレポートがあります。

平成20年に経済産業省委託事業である『サービス産業における顧客満足向上のための相談対応のあり方についての報告書』がそれです。学習塾を含む対個人サービスを活用したことがあり、何らかの不満を抱いた経験のある消費者を対象としたアンケート調査をもとに事業者側の適切な相談対応のあり方を探ろうとするもので、事業者に苦情や要望を抱える消費者の心情や動向が読みとれて興味深くまた非常に参考になるものです。

今までの記述内容は、法律や訴訟に関わる深刻な苦情・クレームだったのに対して、そこまで深刻でないが苦情・要望にあたる範囲のものという理解で、お読みください。

苦情を口にしない苦情者が8割も! 彼らはどう行動したのか?

「サービスに対して何らかの不満を抱きながらも、苦情や要望をどこにも申し出なかった消費者(いわゆる「サイレントマジョリティ」)は苦情者全体の80.5%を占めている」という結果が出ています。消費者が抱く不満内容の多くは、事業者側には伝わっていない状況が見て取れます。

サイレントマジョリティに対して、今後、同じ事業者のサービスを利用するか否かを尋ねたところ、「もう利用しようとは思わない」とする消費者は75.5%にのぼっています。 その不満の内容を「家族や親せきに話した」とする割が54.4%、「ごく少数の知人や友人に話した」とする割合が52.6%となっており、不満の内容はクチコミで拡がっていることが想像できる結果です。

そこで今度は、サイレントマジョリティに対して、何があれば苦情や要望を伝えていたかを尋ねたところ、「普段から相談しやすい雰囲気があること」が29.8%、「普段から気軽に声をかけてくれること」が23.6%、「フリーダイヤルの相談窓口」や「メールでの相談窓口」の設置も2割を超えており、普段からの顧客対応が重要であることがうかがえます。一方、苦情を申し出た消費者の回答をみると、「普段から迅速で的確な対応をしていること」や「フリーダイヤルの相談窓口設置」が4割を超えていることがわかりました。

苦情や要望を申し出たにも関わらず、何の対応もなされない消費者に対して、その後の不満の高まりを尋ねたところ、56.8%は「不満が非常に高まった」としており、「不満がやや高まった」を含めると約8割の消費者が不満をさらに募らせていることがわかりました。

消費者からの苦情・要望に対して、どのような対応をすることが効果的なのか、事業者の対応方法別に消費者の満足度を見てみると、「苦情・要望に対して明確な解決策や対応方法が提示された」とする消費者の43.3%は、相談対応に満足している様子がうかがえます。そのほかにも、「公平・公正に対応がなされた」場合は35.7%、「担当者個人としてではなく、会社としての対応がなされた」場合は35.5%、「苦情や要望の発生原因について説明があった」場合は34.7%、「責任者からの謝罪や説明がなされた」場合は33.7%の消費者が、その対応には満足していることがわかります。

以上の結果を総合的に捉えますと、〈消費者からの苦情・要望に対応できる顧客相談窓口があることはきわめて重要であること〉、〈顧客相談の要諦は、「相談のしやすさ」、「対応の迅速さ」、「対応の的確さ」であること〉が理解できます。

苦情・クレームをどう捉え、どう向き合うか―― 始められることはたくさんある!

さらに同報告書では、顧客相談対応の在り方として参考となる実践例を多数挙げているので、いくつか抜き出してみましょう。

現場レベルの情報収集とその活用(化粧品メーカーA社)

● 店頭で接客にあたっている社員・パート・アルバイト全員に、携帯端末を持たせ、顧客からの申し入れや要望、質問は入力してもらっている。入力する際に内容の良し悪しを判別する必要はない。

苦情の原因分析と再発防止策(損害保険B社)

●「苦情が多い=悪い」という評価はしておらず、むしろ逆である。原因分析を行い、再発防止策をとっていれば、苦情は増えるほどよいと浸透させている。原因分析を行わない場合、再発防止策を講じない場合に、初めて「悪い」という評価がなされる。

サイレントマジョリティ解消のための潜在不満の表出化(総合スーパーC社)

● 会員にアンケート調査を発送している。年に1回、会員期間満期の案内の時に調査票を発送し、商品別、項目別に満足度を記入してもらい、分析を行っている。

現場へのフィードバック(総合スーパーC社)

● 顧客アンケートは、定量分析のみではなく、特に自由記入欄に記入いただいた不満を重視している。その内容は現場にフィードバックしている。意見を吸い上げても宝の持ち腐れになってはならない。

 このように顧客相談対応の在り方は能動的であるものから受動的なものまでまことに幅広いものがあります。

結びに―― 顧客相談体制を構築し組織的な取り組みを!

本項の結びとして、ご提示することとしましては、学習塾業認証基準に明記のある「顧客相談窓口の充実について」に基づく取り組みです。

取り組みは次の3つです。

一、顧客相談窓口の設置

営業とは区別された専用の電話番号の顧客相談窓口が常設され、契約書面、ホームページ等にその連絡先が明記されていること。

二、顧客相談内容の保管と対応策の検討

顧客相談窓口設置者は、問い合わせ、相談、苦情等を受け付けた場合、その日時と対応者、内容、解決の経過、及び最終結果を記録し、保管していること。また、問い合わせ、相談、苦情等の対応策などを検討し、それらの結果も文書として保管していること。

三、顧客相談への適切な対処

顧客相談窓口設置者は、顧客からの問い合わせ、相談、苦情等について、その対応に関するマニュアル等を作成し、保管していること。また、過去の問い合わせ、相談、苦情等への対応策の検討結果を反映させ、随時改善していること。

学習塾認証マーク取得に取り組むことによって、結果的に顧客相談体制を構築する方法もあろうかと思います。

いずれにしましても、何よりも重要なのは経営トップが相談対応の重要性を認識し、相談対応体制の確立に参加することにほかなりません。

顧客相談窓口の設置と充実によって〈リスクを減らす〉という一見後ろ向きな取り組みが、実は〈顧客満足度を上げる〉前向きな取り組みであると証明されることを確信しております。

参考学習塾認証制度 http://www.jja.or.jp/certify/ninshou.html
社団法人全国学習塾協会 協会ニュース(2013.1.29号)より


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