「実用数学技能検定」導入レポート
上の級に合格するたび、大きな自信を得る生徒たち
実用数学技能検定(以下、数学検定)を活用する多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校。
数学科の田中良重教諭と近藤梨絵教諭にその成果をお聞きした。
数学科の近藤梨絵教諭
中3で準1級に合格した生徒も
都内にある多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校(丹伊田 敏校長。生徒数674人)は、「進学重点主義」を揚げつつ、学校行事にも力を入れ、総合 的な「人間教育」をめざす中高一貫教育校である。
同校では、中学1・2年生は、基礎・基本を習得する段階とし、また中3生から高校の学習内容に取り組み、高3生の1学期までに応用力をつけ、伸ばす段階と位置づけている。早期から「実用数学技能検定」(数学検定)を英検や漢検とともに導入。受検を奨励して、合格のためのきめ細かなサポートを展開している。当時中3生だった生徒が数学検定準1級(高3レベル)に合格。この生徒は数学検定の成績優秀者として文部科学大臣賞を受賞した。
同校では数学検定の目標級を設定している。中2生は3級(中3レベル)、中3生は準2級(高1レベル)だ。これらの学年で目標級に合格すると、学期末の修了式で表彰されるという。高校に上がる前に3級を取れるように呼びかけ、多くの生徒が合格するそうだ。数学科の田中良重教諭は、「高校でも受検をすすめ、1年次で準2級を確実に取得できることをめざしています。高2から文系と理系に分かれるので、理系の生徒には2年次に2級(高2レベル)に合格させておきたいと考えています」と話す。
数学検定の講習を、放課後に実施
数学検定は年に3回実施。各学期に1回の割合だ。検定前の放課後には、検定対策講座なども揃え、合格に向け、その生徒の習熟度に合った指導を行っている。3学期の講習は、すでに大学に合格し た高3生たちがアシスト。問題を解いている後輩の机を巡ってアドバイスをするのだ。
また、6時限めの後に「SSタイム]という自習時間を設けており、検定日が近づいてくると、その時間を活用して生徒が勉強に励んでいる。
数学科の近藤梨絵教諭は「数学検定実施の意義は、これまで勉強してきたことが、級という成果となって目に見えることです。ここから大きな自信を得て『がんばれば結果が出るんだ。だったら、もっともっと勉強しよう』という意欲がわいてきます」とその活用の効果を語る。
難関の級に合格し、東大や東工大へ
生徒一人ひとりが「できる」という喜びを感じ、より前向きに取り組める授業を心がけている同校の指導。「数学検定導入後も生徒は友達と競い合い、刺激し合いながら、上の級をめざして切磋琢磨し ています。向上心やチャレンジ精神も養われますね。友達だけではなく、化学の教員といっしょに準1級合格をめざして化学室で勉強している生徒もいます。一つの目標に向かうことで、生徒や教員との間に絆も生まれています。自学自習の習慣もつき、基礎学力の定着にも役立っています」と田中教諭は話す。
前述した文部科学大臣賞受賞の生徒は東京大学に進学した。また、高校2年次に難関の1級(大学・一般レベル)に合格した生徒は東京工業大学に進んだという。
合格するたびに達成感を味わえる数学検定。勉強の楽しさに気づき、他の教科の成績も上がっていく生徒が多いという。
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