自分で考えるための方法や根拠が満載
『合格自在』
その教材は小学生の可能性をどう考えて作られているか
2013年中学入試での話題の問題といえば、麻布中の「ドラえもん問題」が記憶に新しい。「『ドラえもん』がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることがないのはなぜか」という問題だ。
入試後のネットや新聞の紙面に何度も取り上げられ、某雑誌5月号には、大手S塾の理科担当者の意見として、「麻布中理科の出題では、初見の題材に対して、どれくらい深い理解力や思考力があるかを問う……極めて麻布らしい問題だと思います」とのコメントが載った。
中学受験生を教える理科の講師にとって、ものの摂理のどこまでを教えるべきかは大きな悩みどころだろう。生徒の質問のすべてに答えれば切りがないからだ。でも、麻布のテーマは決して突飛なわけではない。過去の出題でもたびたび見られるように、テーマの本質に迫る出題が麻布流。「初見で解く」と言われないように、教材にあらかじめ忍び込ませておけば対策は可能なはずだ。
そんなこともあって、『合格自在』は、入試に出ないものを切り捨てながらも「テーマの肝の部分は極力端折らない」方針で制作。自分で考えるための方法や根拠が満載になるよう仕上げた。『合格自在』における「生物の定義」は、5年生の上巻の「植物」の冒頭で「生物が非生物と違うことは、壊れないことや子孫を残すこと……」という説明がある。
『合格自在』の工夫は、科目ごとにいろいろとある。例えば算数は例題の解説にかなりのボリュームを割いている。これは、「できれば解き方を自分で発明して欲しい」というメッセージだ。国語は続きが読みたくなる文章にこだわった。社会は資料集がいらないくらいの図版や写真を用意した。前出の理科は囲み記事を使わずに読み切れば概念が分かる一筆書きの構造に徹した。
これらは、執筆前の段階から、現場での指導歴の長いベテラン講師が話し合いに入って、説明の順序、深さ、理想的な図版などを綿密に打ち合わせてきたからできたことである。
「合格自在」の使用感……教材全面導入いただいた塾の感想
『合格自在』採用の理由は、「自ら学ぶ能力を身につける」という方針が塾の目標に合致していたからです。この教材には現場での指導に試行錯誤している人が作ったものだと感じさせる工夫がありました。具体的に言うと、どうやって解くとか、どう考えるかという道筋がしっかりと書かれていました。
知識や資料面が充実している教材は、ほかにもあります。しかし、どう考え、どうやって解くのかという部分は不足していました。
地元一番の進学目標である久留米大附設の入試は、パターン学習が通用しない問題を出題することで知られています。「一番対策が立てにくい、本当の力が試される学校」だから、同校を最大の受験対象とする私たちにとって『合格自在』は大変役立つ教材と言えます。