第13回 全国模擬授業大会 チョーク1本で教育改革を
「チョーク一本で教育改革を」。今年もこの合言葉のもと「全国模擬授業大会」が5月28日(日)に開催された。主催は栃木県足利市に本社のある開倫塾。会場は白鷗大学足利高等学校だ。
今回エントリーしたのは13団体、講師は60名。審査員は、小中学校の校長や全国の塾代表、学生ボランティアなどである。
前日の27日(土) には、プレイベントとして歓迎コンサートやプレ模擬授業が足利市研修センターで行われた。
先生の力量の向上が教育改革の大きな柱に
「先生の力量の向上こそが、教育改革の大きな柱であると確信しています。この大会を通して全国の先生方が、自分なりの〝教え方日本一〟を目指すとともに、研修の場として大いに活用していただきたいと思います」
主催者を代表して開倫塾の林明夫塾長が閉会式でこう挨拶した。続いて、来賓や審査員が紹介された後、前年度の団体優勝旗が開倫塾から返還された。閉会式終了後は、各部門の予選へ。英語・数学(算数)・理科・社会の部門ごとに2~3教室に分かれて模擬授業が行われた。授業の時間は15分間。どれも聞いていてわかりやすく、テンポも小気味よい。思わず引き込まれてしまう。
この授業を審査員が採点し、各部門の頂点が決まるのだ。
各部門の優勝者5名が、日頃の研鑽の成果を競う
予選結果発表と本戦は、講堂のマルベリーホールに会場を移して行われた。各部門の優勝者の名が発表されるたび、会場から大きな歓声があがる。そして、いよいよ本戦へ。優勝者5名は、予選で行った模擬授業をさらに熱を込めて発表した。
まず、社会科部門の野田塾・杉本幸延先生から。冒頭に有名なクリスマスソングを歌い、そのフレーズに使われている接触節について教えた。続いて理科部門のトーゼミ・寺本冬樹先生。生徒が興味を抱くように、理解しやすい例を出しながら、化学変化と質量について解説した。次は国語部門の富山育英センター・太田明良先生だ。
敬語の種類について述べた後、間違った敬語の使い方の例を挙げ、正しい敬語に修正していった。続いて算数部門の野田塾・増本慈哉先生。小6に向けて文章問題を「見える化」して解く攻略法を教えた。最後は社会科部門の野田塾・牧野裕二先生だ。日本のアニメキャラクターを黒板に描き、それが海外でもヒットして、日本に大きな経済効果をもたらしたことを述べた後、明治維新の殖産興業について解説。富岡製糸工場の誕生によって、絹の輸出量が世界一になったことを伝えた。
勉強の楽しさや面白さをいかに授業の中で伝えるか
会場が緊張に包まれる中、個人賞と団体賞などの発表が行われた。見事、最優秀賞に輝いたのは、社会科部門の野田塾・牧野裕二先生。野田塾は一昨年、昨年と3年連続して最優秀賞者を輩出したことになる。団体優勝も野田塾が獲得した。
審査委員長を務めた野田塾の小川英範塾長が、こう講評を述べた。
「『これがわかるとこんなにいいことがあるよ』『面白いから覚えてね』…。こうした勉強の楽しさを、子どもたちにいかに伝えるかが大切だと思っています。まさに授業の根本です。牧野先生の授業は、これが滲み出ていました」
さらに小川塾長は、次のように提案した。
「今日はみなさんにセグメンテーションという言葉を覚えて帰っていただきたいと思います。子どもたちが集中して話を聞けるのは3分。
ですから、授業を3分ずつの組み合わせにすることをお薦めします。この考え方がセグメンテーションです。一つのセグメンテーションには、一つの論点、一つの結論があります。これを勉強していただくと、授業の構成力が格段に向上します。みなさんの授業が子どもたちの未来に貢献できるよう切に祈っています」
次回は、野田塾主催の「全国模擬授業大会」が10月29日(日) に愛知県の名古屋中学・高等学校で開催される予定だ。
第13回 全国模擬授業大会
(主催・開倫塾)各賞受賞者(敬称略)
■個人賞
【最優秀賞】
野田塾 牧野裕二(社会)
【優秀賞】
富山育英センター 太田明良(国語)
【優勝】
野田塾 増本慈哉(算数)
野田塾 杉本幸延(英語)
トーゼミ 寺本冬樹(理科)
【私の教わりたい先生特別賞】
富山育英センター 太田明良(国語)
■団体賞
1位 野田塾(愛知県)
2位 トーゼミ(埼玉県)
3位 開倫塾(栃木県)