さあ、未来を予習しよう。キッズプログラミング&STEM教育スクール 「STEMON(ステモン)」
株式会社 ヴィリング
東京都杉並区
中村 一彰 代表取締役
2012年に設立された(株)ヴィリングは、現在東京都内を中心にアフタースクール事業、STEM教育事業、探究学習事業に取り組んでいる。今回紹介するのは、STEM教育の「STEMON(ステモン)」だ。独自のSTEM教育の開発に至った経緯とその特色について、中村一彰代表に話を伺った。
強く惹きつけられた「探究型学習」と「STEM教育」
(株)ヴィリングの中村代表は、埼玉大学教育学部卒業後、大手不動産会社に就職。営業職に4年半従事したのち、人材ベンチャーの(株)エス・エム・エスに転職。同社では創業期からマザーズ上場、東証一部市場変更までの成長過程において、新規事業開発・経営企画室・人事のマネージャーを歴任。採用と育成を通じて児童期の教育に関心を持ち、2012年10月に教育事業を行う(株)ヴィリングを創業。代表取締役に就任した。
教育学部出身なので、小学校教員免許、中高等学校教員免許も取得しているが、学校の教員にはなりたくなかったという。
「大学に入学した頃は学校の先生を目指していましたが、学校教育ではどうしても画一的な集団をつくらざるを得ないところもあります。そのような仕事に就くことに抵抗感を覚え、民間企業に就職しました。ベンチャー企業では、自分で仲間と一緒に特に答えがあるわけではないものを模索していかなければなりませんでした。正解があったり見通しが立っているわけではありませんでしたが、仕事に取り組みながら学んだり、まずは行動してみることがとても重要です。ところが今の日本の教育はそういった力を育みにくいと感じたので、別の形でコンテンツを提供したいと考えました」と中村代表は語る。
2013年には半年かけて日本中の教育サービスのみならず、アメリカやシンガポールも見て回った。
「個人でやっている幼児教室をはじめ、モンテッソーリ幼稚園、フリースクール、サドベリースクールなどを見学し、その中で探究型学習とSTEM教育に出会い、それらに非常に強く惹かれました」。日本と海外の教育を比較した場合、日本の教科教育は世界のトップレベルだと中村代表は言う。
「制度としても、国全体で何をどれくらい学ぶかが教育法で決まっていて、そこまで国として統制がとれているところは多くないと思います。すばらしいことです」と言いながらも、「ただ…」と中村代表はさらに述べる。
「ただ、遊びがないというか、学校や先生の都合が授業においても生活指導においても、どうしても優先されてしまいがちです。ですから、先生にとって都合のよい子が〝いい子〟とされ、そうでない子は〝ダメな子〟と思われがちです。しかしそれはあくまでも学校という組織の中での評価軸なのですが、それがほぼすべてだと子どもたちは思い込みがちで、そのことが非常にもったいない。大きな機会損失になっていると思います。
成熟していく社会においては、知識の詰め込み型教育ではなく、自由で、様々な評価軸がある中で、自分で何をつくって表現することがどんどん推奨されていく。そういった方向に進んでいった方がいいと思いますし、実際進みつつあると感じています」。
正解はないので、一人ひとりが違ったものを製作
本誌でも時折登場している「STEM教育」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の学問領域を一括して扱う国際的に用いられている教育分野のこと。
「計算ドリルやそろばんをやることがSTEM教育かというと、我々の定義ではそうではなく、この領域で横断的に知識を活用しながらモノをつくることによって学ぶことをSTEM教育としています」。
「STEMON」の第一の特長は独自のSTEM教育だが、第二の特長は、アウトプットは子どもによってまったく異なるということだ。
「よく学校では、先生側に答えがあって、生徒がそれを吸収したり発見するというスタイルになりますが、STEM教育ではテーマと課題は与えられても正解はありませんから、出来上がったモノは子どもによって全部違いますし、それでいいのです。いわば〝違うことが普通〟なんです」。
3番目の特長は、「思考力の育成」だ。「広く深く思考できることはとても重要な能力ですが、それを育むためにはSTEM教育がとても相性がいい。上の学年になるとプログラミングでセンサーとモーターを制御しますが、その手順を考えることによって論理的思考能力が育まれます」。
私たちの周囲を見渡すと、モーターとセンサーとコンピュータだらけ。それらの仕組みを知ることによって、例えば子どもたちはある自動ドアが温度センサーで動いているのか赤外線センサーで動いているのかを想像する。つまり、そこから主体的な思考が始まるというわけだ。
また、ヴィリングは教材メーカーではないので、様々なメーカーの様々な教材を活用している。だから子どもたちは飽きずに楽しみながら続けていくことができるという。
「STEM教育コース」は年長〜小4が対象、「プログラミング&ロボティクスコース」は小4〜中3が対象だ。
当面はFC会員を増やしていきたい
中村代表はこの独自のSTEM教育「STEMON」を学習塾などの民間教育に普及させたいと考えていて、フランチャイズ会員を募集している。本格的に募集し始めたのは昨年(2017年)4月からだが、現在直営とFCを合わせてすでに49校に上り、会員数は約1000名。
FC会員になると、充実した教材パッケージが提供され、講師トレーニングを受ける。「テクノロジーを活用したアート教室のコーチ」というコンセプトで、コーチング・ティーチング・メンター・伴走者の4つの役割を定義し、トレーニングを行う。修了した講師には認定書を発行。
「文系出身の主婦の方も十分やっていけますし、実際そういう方のほうが上手に子どもたちを指導しています」と中村代表は語る。
フランチャイズに関しては、どうしても金銭的ハードルが高くて二の足を踏んでいる塾も多いかと思うが、「STEMON」は中小や個人塾が加盟しやすい料金を設定してくれている。
「我々の考えに共感してくださる塾の方々に、ぜひとも一緒にこのSTEM教育を広めていただきたいと思います」と、中村代表はその意気込みを力強く語る。
●STEMON事務局(株式会社ヴィリング)
WWW.stemon.net(www.viling.co.jp)
Mail:info@villing.co.jp
TEL.03-6915-1324