第14回全国模擬授業大会 開催「チョーク1本で教育改革を」
第14回「全国模擬授業大会」が5月26日(日)、栃木県足利市で開催された。15分間の模擬授業を展開して、自分なりの「教え方日本一、世界一」をめざす大会である。主催は栃木県足利市に本社のある開倫塾。
今回エントリーしたのは9団体、講師は47名だ。審査員は小中学校の校長や全国の塾代表、学生ボランティアなど。会場となった白鷗大学足利高等学校は、入念に準備を重ねた講師たちの模擬授業によって昨年以上の熱気に包まれた。
「模擬授業の練習は、不可能を可能にします」
「模擬授業の練習は、不可能を可能にします。チョーク1本で子どもたちの未来は変わるのです。そのために“今日の授業を聞くことによって、どのようなことができるようになるか”という『今日の目標』を授業の初めに示し、子どもたちのモチベーションを向上させてほしいと思います。その目標に沿って、毎回、きめ細かに授業を展開していけば、素晴らしい教育成果が生まれるものと確信しています」
主催者を代表して開倫塾塾長の林明夫氏が閉会式でこのように述べた。
続いて来賓の挨拶や審査員の紹介へと移り、前年度の団体優勝旗が野田塾から返還される。閉会式終了後は、各部門の予選へ。英語・数学(算数)・国語・理科・社会の部門ごとに教室に分かれて模擬授業が行われた。どの授業も15分という時間が短く感じられるほど、惹きつけられる内容だ。その後、昼食を挟んで、審査で選ばれた一次通過者による予選決勝が行われた。
各部門の優勝者5名が本戦で力のこもった模擬授業を展開
予選決勝の結果発表と本戦は、講堂のマルベリーホールに会場を移して開催された。各部門の優勝者の氏名が発表されるたび、会場からは歓声が上がり、拍手が巻き起こる。そして、いよいよ本戦へ。授業の順番は例年通り、抽選で決められた。予選以上にエネルギッシュな模擬授業が次々に展開されていく。
まずは、理科部門の練成会グループの木村雄介先生から。「目に見えない“力”をイメージ・表現できる」を「今日の目標」にして、力の合成と分解について教えた。次は国語部門のトーゼミ・生田目佳祐先生。記述の構成を理解することで、記述式問題の答えが導き出せることを力説した。続いて英語部門の野田塾・髙萩一平先生。時制を正しく理解することで、現在形、過去形、進行形の見極めができることを説いた。次は社会部門の野田塾・池内亮先生。
2025年に開かれる大阪万博について触れ、阪神工業地帯の発展と課題を理解することを「今日の目標」にして授業を展開
した。最後は数学部門の野田塾・渡辺昌宏先生だ。冒頭で「サッカーのワールドカップで使われるゴールのネットの形はどれか?」というクイズを出題。答えは正六角形だと語り、三平方の定理を利用すれば、その面積が求められることなどを教えた。
続いて、審査委員長を務めた野田塾取締役会長・小川英範氏の講評へ。優勝者の模擬授業の感想を1人ずつ述べていった。
「最優秀賞をいただいた私ども野田塾の渡辺昌宏の授業は、授業の構成である論理的な展開から、話法、そしてプレップ法までがきちんとできていました。プレップ法とは、最も大切なポイントを授業の最初に明確に教え、次にその理由を語ったあと、『例えば』という例を出して説明し、最後に再びポイントを抑える手法です。渡辺は初めての出場ではありません。これまでチャレンジしては優勝を逃して涙を流していたのを私どもは見ていました。今回の受賞は大きな励みになったはずです」
そして小川氏は、次のように語った。
「私ども野田塾でも秋に『全国模擬授業大会』を開催しておりますが、1回行うのに膨大なエネルギーを使います。それを開倫塾様は14回も実施されているのです。林先生をはじめ、開倫塾の皆様に敬意を称えて、拍手をお願いしたいと思います」
最後にエンディングセレモニーとしてピアノとバイオリンによるミニコンサートが行われ、第14回「模擬授業大会」は幕を閉じた。
第14回 全国模擬授業大会(主催・開倫塾)
各賞受賞者(敬称略)
■個人賞
【最優秀賞】
野田塾 渡辺昌宏 (数学)
【優秀賞】
練成会グループ 木村雄介 (理科)
【優勝】
トーゼミ 生田目佳祐 (国語)
野田塾 池内亮 (社会)
野田塾 髙萩一平 (英語)
【私の教わりたい先生特別賞】
練成会グループ 木村雄介 (理科)
■団体賞
1位 野田塾(愛知県)
2位 トーゼミ(埼玉県)
3位 練成会グループ (北海道)