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SRJ 次の一手を考える!「自塾の未来像設計セミナー」

2019-07-01
SRJ・堀川直人 社長

SRJ・堀川直人 社長

5月8日(水)の福岡会場を皮切りに、9日(木)岡山、16日(木)愛知、19日(日)東京、23日(木)大阪、26日(日)北海道、31日(金)沖縄でSRJ勉強会が開催された。
ここでは5月19日(日)に開催された東京でのセミナー要旨をお伝えする。

1割の中でトップをねらう!インディー塾の集客戦略

(株)SRJの堀川直人社長の開会の挨拶に続いて登壇したのは、進学個別桜学舎(東京)塾長の亀山卓郎氏。「子どもが集まる個性派塾の作り方 〜「生徒募集」「継続」、その先の一手〜」と題して、自塾の集客戦略について講演を行った。
現在は約130名の生徒が通う進学個別桜学舎だが、約10年前の開校時は19名からのスタートだった。周辺には大手塾も多く、「まともに戦ったら勝ち目はない」と考えた亀山氏は、「インディー(マイナーな存在)であることを認め、他塾と同じ土俵には上がらず、お客さんをこちらの土俵に乗せる」という戦略をとることにした。「メジャーを好む客はマーケットの9割を占めるが、インディーを好む客も1割はいる。その1割の中でトップシェアをとれば、強力なファンを獲得すれば、生き残れるのではと考えた」と亀山氏。「インディーの雄になる」を目標に掲げ、集客活動を展開した。

進学個別桜学舎・亀山拓郎 塾長

進学個別桜学舎・亀山拓郎 塾長

「インディー塾は情報が少ないので、情報をたくさん発信すれば一強他弱の状況をつくれるのではないかと考え、メジャー塾に対する保護者の不満を拾いながら、つねにメジャーとは逆の方針を打ち出していった」と亀山氏。生徒や保護者に寄り添う手厚い指導を塾長自らが実践し、難関校ではなく偏差値60以下の学校を目指す生徒にターゲットを絞った。また、チラシや塾通信では塾としてのスピリットを発信することを重視。一般的にはビジュアル要素が多いチラシも、「9割の人は見なくても1割が見てくれたらいい」と割り切り、文字がびっしり詰まった「読ませるもの」を発行した。こうした独自の戦略が功を奏し、口コミで生徒はどんどん増えていった。
さらに亀山氏は、「持たざる者の戦略」として、ホームページ、ブログ、動画、SNSなど無料で発信できるツールの活用状況を紹介。特に動画コンテンツは今後の集客手段として必須だとした。最後は、「インディーが生き残るためには、メジャーの逆を行けばいいだけ。普通に考えると参入障壁になるマーケットも、インディーにとっては宝の山。Indie will never die!」と力強く締めくくった。

灘中高で実践するキムタツ流・英語指導法

灘中学校・高等学校の英語教諭 木村達哉 氏

灘中学校・高等学校の英語教諭 木村達哉 氏

続いて、灘中学校・高等学校の英語教諭、木村達哉氏が登壇。「私の指導法…世界基準の英語教育を目指し、よりよい指導をするために」と題し、自らが実践する英語指導について講演を行った。
灘中高では担当が持ち上がり制になっており、基本的には中学1年次から高校3年次まで、6年間を通して指導する。
木村氏は「灘の生徒の多くが東大・京大を目指している。生徒の6年後のゴールが東大・京大であるからには、最低限、そこに到達できるようなシラバスを作らないといけない」としたうえで、「いつまでにどんな力をつけるのかという“旅程表”が必須。一生懸命に指導していれば生徒は伸びるというのは幻想で、どこに連れていくのか(目的地)、そのためにどう歩いていくのか(旅程)をきちんと見せてあげることが大事」と述べた。
具体的な指導法としては、基礎・基本の重要性を強調。「知識を増やすための取り組みは絶対に必要。灘では中1から高1までは押し込むようにして単語を入れており、語彙の基礎トレを授業の帯活動に組み込んでいる」とし、インプットする際には「意味、そして発音が重要で、(ソフトに自動修正機能がついている)今の時代はスペルは二の次」と述べた。

続いて、リーディングでも重要になるBack Translation(BT)とQuickResponse(QR)について解説。「英単語を見て日本語の意味を答える」と「日本語を見て英単語を答える」を0.3秒以内にQRするという、実際に灘の授業でやっているトレーニングを会場の聴衆も体験した。灘では週に100個の単語を覚えることを生徒に課しており、「月曜日20個、火曜日20個…ではなく、月曜日100個、火曜日100個…と毎日100個を徹底的にやる。それでも1週間で覚えられるのは100個中60個くらい」と木村氏。「人間は忘れるものだから、何度も何度もくり返すしか方法はない。くり返した数が、圧倒的な知識量となる」と述べた。また、木村氏は文法の重要性も強調。「ブロークンでもいいという風潮があるが、実際にビジネスシーンで使うことを考えると、海外の人に信頼してもらうためには、正しい英語を話せるようになることが必要」と訴えた。

会場には塾関係者など約150名が集まった

会場には塾関係者など約150名が集まった

さらに、長文読解の指導法では、「(英文を読む際は)目は左から右にしか動かしてはいけない(=返り読みをしない)」というキムタツルールを紹介。「長文読解において重要なのは、単語や文構造など細かいところがどうであろうとも、全体として意味を捉えられたかどうか」とし、「段落ごとに何が書いてあったかを余白にメモする習慣をつけさせる」とした。また、「英文は数回読んだら終わりではなく、授業ではCDを聴きながら20〜30回は読ませ、自宅でもBTをやりながら読み込ませる。
最後は、読んだものを使って書くトレーニングもする。こうした学習により、スピーキング以外の3技能を高められる」と述べた。さらに、ライティングの指導については、近年の大学入試で増えている自由英作文について、「ただ日本語を英語に訳すのではなく、日本語で書かれたことを本質的に理解することや発想力が求められる」とし、東大や阪大の過去問を挙げながら具体的に解説した。
最後に木村氏は、「指導に関して大事なのは、生徒に目的を意識させること、対処療法的な勉強をしないこと、我々の頭はそれほど良くはないのだと認識すること、家庭学習を意識した指導をすること、この人のために…と思わせる指導をすること」とまとめ、講演を締めくくった。

子どもたちの未来をつくる企業でありたい

SRJからのお知らせを挟み、最後に堀川社長が総括を述べた。
「塾業界を取り巻く環境が大きく変わりつつある中で、理念や想いだけでなく、塾の経営に密着したかたちで集客や経営をサポートし、子どもたちの未来をつくる企業でありたい。そう考え、新しいシステム開発に着手しております。速読については、低年齢の子どもに向けたものや、思考力や算数的な考え方を取り入れた脳トレなど、より体系的なコンテンツの拡充を進めています。
本日、改めて感じたのが、厳しい状況の中でも伸びているのは、塾長が明るい塾だということ。SRJの強みは導入塾同士のつながり、ネットワークだと思いますので、今後も意見や情報を交換し合い、共に歩んでいきましょう」
堀川代表の力強い言葉で、今年の春期定例研修会は盛況のうちに幕を閉じた。

SRJ全国大会 9月9日(月)東京で開催

基調講演:新井 紀子様
「人工知能がもたらす人間と社会の未来」

新井紀子氏は国立情報学研究所 社会共有知研究センター センター長・教授、一般社団法人
教育のための科学研究所 所長・代表理事。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者。

日時:9月9日(月)13:00〜17:00
申し込み締切:8月9日(金)
会場:東京・グランドプリンスホテル高輪
http://speedreading.co.jp


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