今年7月、学研エデュケーショナルがそろばん式暗算力開発教室「poo-doll」を開設
(株)学研エデュケーショナル 営業部EdTech事業課
野口 祐希 氏 星野 絵里子 氏
学研教室事業や教育ICT事業などを手がける(株)学研エデュケーショナルは、今年7月、そろばん式暗算力開発教室poo-dollを開設する。近年人気が再来しているそろばんにフラッシュ暗算をプラスした講座で、主に学習塾向けに教材システムを提供する。
講座の特長や導入のメリットについて、同社営業部EdTech事業課の野口祐希氏、星野絵里子氏に伺った。
ICTそろばん教材とデジタルフラッシュ教材で暗算力を鍛える
─poo-dollをリリースされた背景についてお聞かせください。
一つは、そろばんブームの再来です。学研教育総合研究所のアンケート調査によると、「保護者が子どもに習わせたい習い事」では、英語、水泳に続き第3位にそろばんがランクインしています。弊社では3年ほど前からICTそろばん教材の「学研そろばん」を運用してきたのですが、そろばんへの関心の高まりを受け、これをさらにパワーアップさせた講座をつくろうということになりました。
─講座の特長を教えてください。
ICTそろばん教材「学研そろばん」とデジタルフラッシュ暗算「宮本式暗算練習システム」の両輪で子どもたちの暗算力を鍛える講座となっています。高柳和之先生(そろばん教室USA代表)と宮本裕史先生(宮本暗算研究塾MAX代表)という、日本のそろばん界を牽引するお二人に監修していただきました。パソコンやタブレットでポイント解説が見られるので、インターネット環境があれば自宅でも取り組めます。教室には週2回くらい通って、あとは自宅で進めてもらう、という使い方も可能です。
─具体的にはどのように指導をするのですか?
子どもたちはそれぞれの進度に合ったテキストに従って、そろばんでどんどん計算をしていきます。要所ごとに動画教材を用意しており、そろばんの使い方、指の動かし方などはそこで解説しています。先生がやるのは基本的には丸付けだけで、「教える」必要はありません。極端に言うと、そろばんの知識がなくても先生は務まります。一方、フラッシュ暗算については、オリジナルアプリを使ってトレーニングをします。こちらも生徒が自分で進めていきます。
─どのようなカリキュラムなのですか?
初級、中級、上級の3つのコースがあります。poo-doll独自の級を設定していますが、日商珠算検定に準じており、poo-dollの進級テストに合格すれば、同じ級の日商珠算検定相当の実力がつきます。日商珠算検定は履歴書にも書ける公式な検定なので、今後の大学入試におけるポートフォリオ導入なども見越し、対応させています。
─ターゲットとなる年齢層はどのあたりですか?
スタート時期として数の概念がわかるようになる年長(5〜6歳)くらいから小学校低学年までです。そろばんは筆算を学んだ後だと身につかないので、その前に始める必要があるのです。
─暗算力が鍛えられる以外にも、メリットはあるのでしょうか?
そろばんをしていると姿勢が良くなる、学習習慣がつくなどいろいろとメリットはあるのですが、最大のメリットは自己肯定感が高まることだと思います。
計算して、先生に見せて、どんどん○をもらう。この小さな成功体験の積み重ねが自信につながるのです。また、特に最初は級がどんどん上がっていって免状がもらえるので、それも子どもたちにとっては達成感があり、さらなる意欲につながります。
魅力は導入障壁の低さ。低学年の集客に役立ててほしい
─塾での導入はどのような流れになりますか?
認可制を取っています。お申し込みをいただいたら、学習環境やインターネット環境などを確認させていただき、問題がなければ契約となります。基本的に動画とマニュアルで研修を行いますので、ご負担も少なく、非常にスムーズに開講していただけます。先生方の質問に電話でお答えするサポートセンターも完備しています。
─コストはどのくらいかかるのでしょうか?
イニシャルコストとして1教場あたり4万円いただき、ランニングコストとしてはシステム利用料を1教場あたり月々1万6000円いただきます。それ以外に、生徒さんの数に応じて教材費(進級時に2000〜3000円)やフラッシュ暗算のロイヤリティ(月額500円)がかかります。つまり、運営コストは定額で、生徒数を増やせば増やすだけ収益が上がるというモデルとなっています。私たちが目指しているのは、単体でも黒字になるモデル。塾業界全体が厳しいなか、導入塾にとっても良いシステムであると自負しています。
─塾としてはどのように活用できるでしょうか?
最も大きいのが、小学校低学年の集客です。低学年というのは生徒が集まりにくい時期で、苦戦していらっしゃる塾が多いかと思います。「勉強をする塾」ではなく「そろばん教室」をフックに集客ができ、結果的に塾への集客にもつなげていくことができます。例えば、15〜16時まで空いている教室があれば、その時間帯だけそろばん教室を開講するというやり方も可能です。塾とは違いそろばんは学年・年齢混在で構いませんから、1教室あれば十分です。
─昨今は、プログラミング講座などを導入する塾もありますが、他と比べてそろばん講座のメリットはどこにありますか?
やはり、塾にとって導入障壁が低いということですね。コストが低くて済むこと、そして、プログラミングなどと比べると高度な専門知識やスキルは不要なので、スタッフの確保が容易です。動画教材が充実していますので、そろばんの資格がなくても先生が務まります。授業に空き時間のある先生が、そろばん講座で○付けを担当する、ということも可能でしょう。
─最後に、塾関係者の皆様へメッセージをお願いします。
そろばんは保護者にとっても馴染みがあり、塾よりも通い始めるハードルが格段に低いと思います。また、塾にとっても導入しやすく手堅く集客ができます。導入にあたりデメリットはほとんどありませんので、「とりあえず始めてみる」という気軽な感覚で、ご検討いただければ幸いです。