一人ひとりの生徒が 自分のペースで学習できる ICTドリル「flow」
flow learning
埼玉県ふじみ野市
土岐 幸司 代表
問題を解いていくうちに、集中力が高まり、自然に学力がアップする
先月号(10月号)の本誌(52ページ)でICTドリル「flow」を紹介したが、その「flow」を開発したflow learningの土岐幸司代表は、2014年4月、「ゆっくり学びたい」生徒のために、学び舎しつもん塾を埼玉県ふじみ野市に立ち上げている。
その塾の特色と「flow」の活用方法、今後の展望などについて土岐代表に改めて伺ってみた。
「ゆっくり学びたい」生徒のために、学び舎しつもん塾を立ち上げる
大学生の頃から20年以上個別指導塾に関わってきた土岐代表。『オランダの個別教育はなぜ成功したのか』という本を読み、勤務していた会社を辞めて2014年にオランダに研修に行った。
「そもそも文章に書かれていることを認知できないような子どもたちとも出会って来ましたし、様々な学習に困難を抱える子どもたちもいます。彼らが自分のペースで安心して学べるところがあればと思っていましたし、その参考になればと思ってオランダに行きました。そしてそこには、子どもたち一人ひとりに合わせた、自然で自由な学びがありました」と、当時を振り返る土岐代表。
2014年4月、自然で自由な学びの一歩として「ゆっくり学びたい」生徒のために、学び舎しつもん塾を立ち上げ、2016年より「flow」も開発。
「flow」の大きな特色は、膨大な問題だけで構成され、それらをどんどん解いていくうちに、自然に学力が付くことだ。反復学習に適したスモールステップ方式になっている。
「flow」の大きな特色は、シンプルな問題の反復で構成され、間違いを気にせずに解いていくうちに自然と集中して取り組めることだ。反復練習に適したスモールステップ方式になっている。
しかもそれらの問題は、「演習」だけでなく言葉の意味を正確に理解させるような問題や、複合的な問題も階段を登るように理解できるよう工夫されている。
「問題を作っていて、たくさんの生徒の顔が浮かびます」と土岐代表。現場で20年以上指導している強みを活かしているのが最大の特徴だ。
自分で考え、分かる喜びを知れば、学ぶことが楽しくなる
しつもん塾は、月謝を極力抑え、なるべく一人ひとりが納得して自分のペースで学習できるようにたくさんの「時間」を用意している。
中学・高等部では、生徒は時分から時分の間にバラバラに来る。またみんな時間に余裕があるので、お喋りをしたりしている。
その後、学校の授業内容を聞いたり、「ここを学習したい」というところを聞き、その日何を学習するかを決める。学習内容は一人ひとり異なり、科目は5教科何でもOK。おおよそのテスト範囲に基づいて進度を調整しながら毎回進めていくという。講師1人に対し生徒は10人。
「学習する内容が決まったら、一人ひとり、自分の学習に取り組みます。新たな内容や分からないところは講師が横に付いて個別に教えたり、ホワイトボードを使って何人か同時に説明したり、自作した映像授業も活用して学習を進めます。親切丁寧とは言えませんが、それも自分の力で学んでいける人になってほしいからです」と、土岐代表は語る。
帰宅のタイミングも生徒に任せている。「時間いっぱいまで学習してもいいし、やることが終わったら、本を読んだりしながらリラックスしている生徒もいます。個別指導というよりは自立型学習と言った方がいいかもしれませんね」
誰でも自分で考えて、分かる喜びを知れば、学ぶことが楽しくなるという考えがその根底にはある。
学力や勉強に関して、土岐代表はこう語る。
「学力とは何かといえば、これも様々な定義があるので一概には言えませんが、私は今の日本の小中学校で身につけておくべきとされていることの中で勉強の割合が大きすぎると思っています」
もちろん勉強にもいろいろあるが、誰もが必要な教養と、生きていくための実学を分けずに、あれもこれもとてんこもりにしすぎて、本人の個性を伸ばす時間が取れないことが問題だと土岐代表は言う。
「オランダに行って思ったのは、日本の教育機関が子どもたちに教えたり指導していることは非常に詳細で細かいということです。オランダだけでなく海外はもっとざっくりした学習内容になっています」
flowは、子どもたちの個別最適化にピッタリのツール
当初flowは、土岐代表と土岐代表のお兄様の二人で作っていたという。
「兄も別に仕事を持っているので、プログラミングを頼んでも仕上げてくるのが非常に遅かったのですが、今は大学生講師の伊藤がやってくれているので、本当に助かっているんです」と語る土岐代表。
その伊藤さんは、flowlearningで仕事を始めて約4年になる。私立大学の看護学科の学生だった彼女はあるとき、「私は看護師に向いていないと思うので、一年休学して今後の道を考えたい」と言うので、土岐代表は「じゃあ、プログラミングを勉強して」と言ったという。期待以上に伊藤さんはプログラミングのスキルを習得し、今では彼女なしではflowは作れないほどになっている。
「伊藤さんには本当に感謝しています。彼女は地元の国立大学に編入学し、いまは教員への道を歩もうとしています」と、土岐代表は嬉しそうに語る。
そのflowの教科は、数学・理科だが、社会は現在作成中。対象学年は中学生だが、数学は高校数学Ⅰも揃えている。もちろん学習履歴などは生徒にも先生にもわかるようになっていて、問題を間違えたからといって怒られる心配はない。むしろ、安心して間違えることのできる環境をつくることこそが今とこれからの教育には特に必要だと考えている。
「flowはあくまでもツールなので、うちの塾のような個別、自立型だけでなく集団塾やフリースクール、放課後デイなどでも使っていただけます。まずは一度お気軽に使ってみることをお勧めします」
今年9月に改めてオランダで「スクールリーダーシップ」の研修を受けてきた土岐代表。
「オランダの最優秀校の校長先生の講義を受け、最先端の学校運営、生徒やスタッフとの関わり方について目標ができました。これから5年以内に塾だけではなくフリースクールのような昼の学校を始めたいと考えています」と、土岐代表は今後の展望について笑顔で語ってくれた。
ネットでできるICTドリル「flow」
(生徒1ID月額500円 2020年3月まで20%off)
https://flow-ict.jp