AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第37回
最善の予防策をとってこの難局を乗り切ろう
新型コロナウイルス感染症がほぼ収まりかけて、6月から学校の授業が再開され始めたと思ったら、7月に入って突然東京都で100人台、9日には200人台の感染者数になり、GO-TOトラベルが始まる頃には全国の感染者数が3倍、4倍に増え始めて、自粛緩和と感染者数の増加が同時に起こり、大きな話題になっている。
3月の学校一斉休校から始まって、すでに6カ月、当初はインフルエンザと同様に3カ月程度で収まるのではないかと多くの人は思っていたはずだ。延びても6月には…、というのが大方の常識だった。
そうはいかないかもしれないと思い始めたのは、中国からヨーロッパに飛び火してイタリア・フランス・イギリス・スペインなどで猛威を振るった後、アメリカでニューヨークを中心に感染が拡大を始めた時だ。
日本が収束に向かっても、海外で感染拡大が続いていけば、いずれはどこからか再び感染が拡大し始めるのではないか、との懸念を持つようになった。
そして今、まさにヨーロッパでもアメリカでもいったん収束しかけた感染者数が増え始めている。世界の感染者数は、6月初めに600万人台、7月には1100万人台、8月には1700万人台、そしてこの雑誌が出る頃は2500万人台に達しているだろう。一時収束しかけて200人にも達しなくなった日本の感染者数は、全国各地で最高数を更新して、あっという間に1200人を超え、自治体ごとに緊急事態宣言を出したり警告を繰り返したり大騒ぎだ。この暑さでも感染は増え続けている。インフルエンザとは全く違う。
さらに各国が国の経済が立ち行かなくなることを恐れて、規制を緩和し始めていることが混乱をひどくしている。アメリカでは規制緩和したところが感染者の急増で再度規制を強化している。ブラジルでは規制は全くしないで経済優先だ。インドは遅れて感染者が急増し始めたが、経済活動も厳しく抑えていない。
日本は急激な感染者数の増加に対して、重症者が少ないことを理由に、政府は再度の緊急事態宣言を出していない。
実際感染者の中での重症者の割合が、中国・イギリス・アメリカの25%以上に対して、7.5%と非常に低い。一方産業は壊滅的なダメージが続出している。8月に発表された各企業の中間決算や見通しは、始まって以来の致命的な低さが続出している。政府は日本の産業を救うためには、今ブレーキを踏んではいけないと考えているのではないか。
国内での児童生徒の感染者数は242人だと、文部科学省が発表した。圧倒的に家庭内感染が多いという。当初は感染者が1人でも出ると大騒ぎしたが、毎日これだけの感染者が続出するとクラスターが起きた地域を除いてはあまり大きな話題にはならなくなった。
この新型コロナウイルス肺炎はいつ収束するのか。そしてリーマンショックどころではない世界経済の大打撃はいつ回復するのか。ピークだと思っても2カ月後には感染者数が2倍になり、第二波が襲ってきた。100年前のスペインかぜは収束まで3年かかって数億人の感染者が出た。多くの塾経営者にとっては今試練の時だ。生徒の安全のために、最善の予防策をとり、教室内の消毒や講師の健康管理を徹底してこの難局を乗り切ってほしい。