オンライン英会話OLECOを軸にした「英語コミュニケーション講座」を個別指導に導入した創造学園が打つ次の一手とは?
小学校で英語が教科化・必修化されたことを受け、2021年度からは中学校の英語の授業が大きく変わった。小学校で習得したことを前提に、授業自体が原則英語で行われる。塾での英語の授業も大きく変わらざるを得ない状況にあるが、その中で英語の4技能習得に向けいち早く舵を切ったのが創造学園(株式会社創造学園・兵庫県神戸市・勝野哲也代表)だ。
(株)スタディラボ(地福武史代表、東京都文京区)が開発したオンライン英会話「OLECO」を軸に英語のカリキュラムを組み、リスニングとスピーキングに力を入れている。同社の教務第2課(個別指導)課長・スクールマネージャーの伊藤寛子氏に導入の経緯や実際の活用法についてお話を伺った。
リーディングやライティングに比重が偏った指導は
言語学習において非効率
赤ちゃんは親が話す言葉を聞き、真似て話すことから言語を習得していきます。しっかりと聞き、しっかりと話せるようになってから読み書きに移行する。これが言語習得の自然な流れです。聞き取れないことや話せないことを読み書きすることは本来、大変難しいことです。従来学校で行われていたリーディングやライティングに比重が偏った指導は言語学習において非常に非効率だったと言わざるを得ません。4技能習得という英語教育に対する考え方の変化は「学んだ英語を使えるように」ということだけでなく、それぞれの技能を関連させながら学ぶ方がより身につきやすいという意図もあるのだと思います。
OLECOで実現できた外国人講師との完全1対1
個別指導においてはリスニングとスピーキングをどう指導するかは一番の課題でした。リスニング力とスピーキング力を上げるためには外国人講師との会話が一番ですが、そのための講師の確保は至難の業です。ですからオンライン英会話のOLECOに出会った時、これほど理想的なシステムはないと思いました。
手前味噌ではありますが当塾の講師研修は非常に厳しく、教材も厳選したものを使用し、質の高い教育を提供している自負があります。その私たちから見てもOLECOのシステム、先生に対する研修や教材は非常に優れたものでした。一般の英会話教室もそうですが、1対1という環境はそう作れるものではりません。先生に個人的に聞きに行くのが一番伸びるので、OLECOの最大の魅力は完全1対1であるところです。自分がわからないこと、疑問に思うことをきちんと返してくれる存在はすごく大きいと思います。
最初は恥ずかしさや自信のなさからレッスンに消極的な生徒もいますが、回を重ねることでほとんどが慣れて楽しんでくれているようです。先生の優しいサポートや指導力が感じられます。
中学部にはOLECOのレッスンを必修にした
英語コミュニケーション講座を
当塾では小1〜高3を対象に週1回のOLECOの単科レッスンを開講しており、個別指導の授業にオプションでつけられるようになっています。併行して中1〜中3に対してはこれとは別に特徴的な運用をしており、英語は原則週2コマ、そのうち月2回のペースでOLECOのレッスンを必ず受ける「英語コミュニケーション講座」をメイン講座として開講しています。中学部で英語の個別指導を受講する生徒は原則この講座を受講します。4コマに1回、OLECOのレッスンが入り、各テーマとなる文法を実際に使って話をします。その2週間がずっと続いていくというカリキュラムです。OLECOとは別に速読英語のトレーニングも取り入れています。
中学部の生徒にとって通塾の動機は高校受験です。その中でOLECOをオプションに置いていると、「余力のある生徒しか受講しない」「英語が好きな生徒しか受講しない」というパターンに陥り、英語4技能教育を本当に実践してほしい生徒層にはOLECOレッスンが提供できないというジレンマがありました。個別指導は基本的にご要望に合わせたオーダーメイド受講であるべきですが、一方で今の教育情勢を鑑みたときに英語4技能教育の提供においては「やってもやらなくてもいい」対象はいないという考え方に至りました。よって個別指導のメイン講座にOLECOレッスンを必修としました。結果として、オプション講座としてのみ開講していた頃は年間小1〜高3合わせて数十名程度の受講生だったのが、今は中学部だけで約350名の生徒がOLECOを受講するまでになっています。生徒には「学んだことを使って伝わる」という喜びを感じて欲しいとの思いから、OLECOレッスンはその時期に学習している単元と連動するように指導内容を決定しています。
各教室からは「読み書きのみで勉強していた頃に比べ、英単語力も含め定着度が上がった」との声が上がっています。書くだけでは忘れてしまいがちですが、発した言葉、聞いた言葉は残りやすいのだと思います。また、高校入試も大きく変わってきており、兵庫県の入試ではリスニングの最初の問題の読み上げが1回のみとなりました。2回目の音声を聞いて再確認ができないため、普段から生の英語を聞き取り理解する習慣がついていることは大きなアドバンテージとなるでしょう」
OLECOを必須とすることで週2コマとしたわけですが、英語の教科書が変わり学習内容が増えたことから週に1コマの個別指導ではカリキュラムに遅れが生じていました。原則2コマとしてからは定期テスト前に慌てることもなく、年間を通して先取り学習がキープできるようになっています。
保護者の多くは
英語教育の変化を十分に理解していない
一部のご家庭では英語の早期教育に意識を向けられているものの、実際は多くの保護者が英語教育の変化を十分に理解していないようです。自分が受けてきた教育がベースにあるため、保護者の気持ちや世論がついてくるのが遅かったのでしょう。自然と世の中の風潮が変わるのを待っていては、その狭間にいる子どもたちは相当の機会を失うことになってしまいます。保護者の認識や意識をアップデートすることも塾の大切な使命のひとつだと感じました。
例えば今年度の中学校教科書改訂を控えた年度末には、特に英語の激変について分かりやすくお伝えするオンライン保護者セミナーを開催し、大変好評をいただきました。生徒・保護者の皆さんの考え方が昨今の教育改革の方向性に十分馴染むまで、こうした情報発信は今後も継続していきたいと考えています。
ココラーニングでより対面に近いレッスンへ
コロナ禍で生まれた『個別指導のオンライン授業(オンライン1to1)』というニーズにおいて、以前はZoomを使用していましたが、運用していく過程で『できれば対面に近い指導をしてあげたい』との想いからより高い双方向コミュニケーションを可能にするココラーニングを導入しています。先生は通塾型の授業における板書指導と同じように画面へ直接板書内容を書き込むことができます。先生・生徒それぞれの表情と板書が同一画面に表示されるので、対面授業のようなやりとりが可能になりました。
ココラーニングは、オンライン英会話で使用していたシステムと同じ使い勝手のまま他の教科の指導ができるため、生徒の受講管理・指導報告など塾が求める機能が備わっているというところにも魅力を感じております。できたてのシステムで、まだまだ進化をしていくという話も聞いており、期待しています。
オンライン英会話OLECO
ココラーニングのお問い合わせ
(株)スタディラボ
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