
教育資源としての民間教育 第40回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
「公益社団法人」とは?
早いもので、私ども全国学習塾協会が「社団法人」から「公益社団法人」になって、8年余が経ちました。社団法人の制度改革で、公益社団法人か、一般社団法人かを選ばなくてはならなくなったとき、改めて公益の意味を考えたことを思い出します。
専門書を見ると、公益社団法人は、行政庁の監督の下、税制上の優遇措置を多く受けつつ、主に公益目的事業を実施していきたいという法人が選択するのに適している。
一般社団法人は、比較的自由な立場で、非営利部門において、可能な範囲で公益目的事業を含む様々な事業を実施していきたい法人が選択するのに適している。
とあります。
誤解を怖れず簡単に申しますと、公益社団法人は、
・内閣府によってチェックを受けます
・国民の税金も使いながら運営します
・事業の過半は公益を目的としたものでなければいけません
ということです。
でも、ひと言で「公益」といっても辞書を見ると「公共の利益」という説明しかありません。
そのとき、「公益」を知るヒントとして2つが考えられます。
一つは、2009年9月の鳩山首相の「新しい公共」とは何かの表明でした。
<「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、『官』と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようとする新しい価値観です。>
ここで言う「地域でかかわっておられる方々一人ひとり」には「学習塾事業者」が代入でき、「社会全体で応援しよう」とするプラットフォームに、「公益社団法人」が代入できるのではないかと考えられます。
もう一つは、内閣府公益認定等委員会の初代委員長の故・池田守男氏(当時、資生堂株式会社相談役)が「売り手よし、買い手よし、世間よし。この『世間よし』が公益です。」という意味のことを述べられていたことです。
例えば、看護師さんの公益社団法人は、東日本大震災のような国内の大規模自然災害発生時には災害支援ナースを派遣するなど、災害時の看護支援活動を行っています。
また、動物病院でつくる公益社団法人は、高齢者施設や学校などを訪問し、動物のもつ温もりや優しさに触れていただくアニマルセラピーと呼ばれる活動をボランティアで行っています。
学習塾であれば、平素の生業(なりわい)として、売り手よし・買い手よし活動の向上に専心しておられます。
一方で、看護師さんや動物病院の方々のような「世間よし」の活動を、皆様のお力をいただいて学習塾業界でもできるとすれば、それも公益社団法人のひとつの姿といえます。
皆さまにおかれましては、「公益」について思いを馳せていただき、ぜひ公益社団法人全国学習塾協会の活動にお力を合わせていただけますようよろしくお願いいたします。