SRJ TERRACE 学びFES.『春期定例研修会』
「好機(チャンス)を掴め!―ポストコロナ時代の攻めの経営・教室運営術―」をテーマに開催
「好機( チャンス) を掴め!―ポストコロナ時代の“ 攻め” の経営・教室運営術―」。このテーマで株式会社SRJ(堀川直人代表、東京都中央区)の「TERRACE学びFES.『春期定例研修会』」が、会場参加とオンライン配信のハイブリット形式で5月16日(日)東京会場、5月23日(日)大阪会場で開催された。5月16日の定例研修会をお伝えする。 講演者は、株式会社ウィザス(生駒富男代表、大阪府大阪市)の執行役員であり、社長室事業戦略部の平井一将氏と、 A&AENGLISH HOUSE( 大阪府八尾市) 代表の諸木宏子氏。ICT活用を含めた今後の塾経営や、英語指導、自立学習型能力開発プラットフォーム「TERRACE(テラス)」の活用法などが語られた。
数字を見て、速い段階で対応するのが塾のあるべき姿
「価値共創―会員様とともに個別最適化を追求!」。まず、開会の挨拶として、(株)SRJの代表取締役と(株)ウィザスの取締役を務める堀川直人氏がこのテーマで語った。
「市場の動向は、私どもSRJを含めて学習塾にも民間教育にも追い風が吹いています。昨年はコロナ禍で危機でしたが、今、塾にとってはチャンスだと思います。一方、学校教育を取り巻く環境が非常に変化して、その中に課題が生まれています。それらを解決することで、この業界全体をさらに活性化ができると考えています」
堀川氏はそう述べて、個別最適化とともに生徒の意欲喚起にあふれた教室づくりが重要であると説いた。
「ゴールを明確にし、そこから逆算した動機づけを生徒にすることで『TERRACE』だけでなく、様々な塾のサービスがもっともっと活かせるのではないでしょうか。それが大学受験まで続けば、本当の意味での強い塾ができると思います」
続いて(株)ウィザスの執行役員で、社長室事業戦略部の平井一将氏が「ICT英語教育を基軸に塾全体のアップデートを」と題して講演した。
「今日は弊社の改革についてお話しをさせていただきます。ここにお集まりいただいている方々は、塾の規模や校舎数が違うので、すべてがご参考になるとは思いませんが、弊社の運営や課題をお話しできればいいと思っています」
まず、平井氏は、幹部の意識改革について、塾のあるべき姿を追求する必要性について述べた。
「これは弊社の実際の体験です。競合塾の進出により、ある教室で中1の生徒が3月に3名退塾しました。例年15名いるはずの生徒が12名に減ったのです。みなさんはこれをどう捉えますか? 『そんなに影響ないんだね』と考えるでしょう。私たちもそうでした、しかし、3名減は自分たちの持っていたシェアが20%も奪われていることになるのです。この教室が順調に伸びていき、この生徒たちが中3になった時は45名に成長しているとします。ところが、20%もシェアを奪われたと考えると、中3の時に45名から36名に減っていることになります。9名も減るのです。塾は合格実績によって評価されます。その重要な合格実績が9名も減って、その人数が競合塾の合格実績に行ってしまうのです。
ですから、最初に3名減という数字を見たときに、危機感を抱けるかどうかが問われるのです。塾が順調な時は、こうした数字に鈍感になってしまいます。中1で3名も減ったなら、5月や8月にイベントを積極的に実施するなど、早期に生徒数を取り返さないとなりません。これが塾のあるべき姿なのです。ボールが転がりだすと加速がついて止まらなくなります。そこで、弊社は数字を見て、早い段階で対応ができる組織に変えていくことを決めたのです」
ここだけは他塾に負けない譲れないというものを
さらに平井氏は政治・経済・社会・技術の4つの面から「外を見る、市場を見る」ことの重要性を力説。たとえば、政治の面から大学入試改革について次のように語った。
「学力の3養素に関しても、意外なことに塾の講師が知らないケースがあります。生徒は塾に4年間通うと、1000コマ以上の授業を受けることになります。授業で『なぜ、そう答えたの?自分の言葉で言ってごらん』と1000回繰り返して聞かれ、思考力や判断力を鍛えられた生徒と『とにかくこれとこれを覚えておきなさい』と言われ、暗記だけをしてきた子では3年後にどれだけの差が出るでしょうか。私たち講師は責務として社会の動きを知らないといけません。そういう意味で講師の研修を強化してくことが必要になるのです」
こうした塾としてのあるべき姿や数字の見方を分析し、理念や行動に落とし込んでいく第一ゼミナールの改革について平井氏は述べた。
「弊社では、他塾と違うもの、ここだけは譲れないものを全社員に徹底浸透させていきました。この点に去年1年間は徹底的に向き合いました」
そのため、全社員が常に同社のコンセプトブック「ViVi book」を携帯しているという。そして、同社は「第一志望に徹底的にこだわる」新指導システムを構築。その基軸となるのが「英語に強い第一ゼミナール」としてのICT英語教育だ。
「速読聴英語」や、灘中学高等学校で英語を教える木村達哉先生監修のオンライン授業や教材を多彩に用意している。
「私は24年前に塾の講師を始めました。その頃は生徒と向き合う時間が好きで、自分の時間なんていらないと思っていたほどです。しかし今、教える情熱だけで塾は生き残れません。みなさんも外や市場を見据えて、他塾にこれだけは負けないという強みをつくってほしいと思います」
多読や精読や速読に必要な養素が揃っている
続いてA&A ENGLISH HOUSE代表であり、同塾の授業に「速読聴英語講座」を活用している諸木宏子氏が講演。テーマは「なぜ、今、速読聴英語なのか? How to improve ourstudents’ English Skills?」である。
「私たちの思考言語は日本語です。相手が日本語で話していることや、日本語の文章をきちんと理解できるか。相手に理解してもらえるような日本語の文章を書け、話せるか。私はこうした日本語の4技能ができていないのに英語の4技能を学ぶことは乱暴だと思うのです。まず、日本語の下支えが必須です。そこで私の塾では『速読解・思考力講座』を導入しています。
では、英語は速読さえすれば力がつくのでしょうか。そうではありません。多読も精読もすべて必要です」
そう述べたあと、諸木氏は『速読聴英語講座』の良さを語った。
「多読や精読や速読に必要なReading、Listening、Writing の3技能が揃っていることです。特にListening は大学受験だけでなく、大学に進学したあと、特に重要となります。他の外国語を学ぶにも、基礎になるのはまず音声を注意して聞き、理解する姿勢です。私の塾では、このListeningで聞いた単語を、英語で書き取らせるDictationを生徒にさせています。
英語は同音異義語が非常に多く、例えば『運賃』を意味する『fare』と『公平』を意味する『fair』は発音が同じなので、間違えて書き取ってしまう生徒がいます。こういう生徒には『文法と意味で考えてごらん。ここに形容詞は来ないし、意味が通じないでしょう』と言っています。Listening やDictation には文法の知識や意味を考えることが大切なのです」
続いて諸木氏は「速読聴英語講座」を最大限に活用する方法について述べた。
「レシピ通りでも指導は可能です。しかし、指導者がどういう意識をもって、どのように調理するかによって、その効果は大きく違ってきます。まず、教材の研究のために実際に指導者が自分で『速読聴英語講座』を使ってみることが得策だと思います。
そして、英検の取得などを目標に決めて、そのゴールから逆算した授業づくりをすることをお勧めします」
次に諸木氏の塾で行っている英文のサマライズ(要約)や、英語を聞きながら真似して発音するシャドウイングなどについて解説。その後、「速読聴英語講座」で力を伸ばした同塾の高校生や卒業生の声を動画で紹介した。
「私は『速読聴英語講座』を英検のListening に役立てることができました。一つの単元が終わるごとに行われる単語復習テストも力がつきます」(女子生徒)
「様々なジャンルの文章を読むことができ、知識が増えていきます、先週はアメリカのアーミッシュについて学び、先生にその生活をiPadで見せていただいて、より理解が深まりました」(女子生徒)
「Reading は様々なトピックの中に英検対策や大学入試に必要な単語が多く含まれているので、本番の入試で活用できました。Listening は速さが調整できるので、ネイティブスピーカーが速く話しても理解できるようになります。Dictation では、細かいところまで学習することで、文脈から判断する能力がつきました」(卒業生)
諸木氏は「『速読聴英語講座』で学んでいなければ、この子たちはここまで成長できなかったでしょう」と結んだ。
最後に(株)SRJから夏期講座の提案や活用の案内、販促支援の案内などが伝えられ、この春の研修会は幕を閉じた。