「変化の年」にしっかり対応 「明日の学力」診断(「あすがく」)で、さらに学力UPを!
コロナ禍の急速な社会変化が、教育のパラダイムシフトと言われる今回の教育改革と相まって、学びの変化が問われています。学習の評価軸や、入試の変化に対して、どのように児童・生徒へ学力アップを提案していくか。
この教育改革の変化を見据えて、日本にこれまでなかった学習アセスメント「明日の学力」診断を2018年から実施している(株)文理のアセスメント事業部 編集長の西田康則氏に話を聞いた。
評価軸が変わるから登場したアセスメント学力を「見える化」して、別観点から学力向上
「明日の学力」診断(「あすがく」)は「学ぶ力・学んだ力」調査と「学ぼうとする力」調査の2つの調査で構成されています。
「学ぶ力・学んだ力」調査では、一般的な模擬試験の目的である「教科理解の達成度の測定」や「志望校の合格判定」ではなく、知識・思考力・判断力・表現力の達成度を診断します。結果資料では、総合得点、平均点、順位などの結果と一緒に、知識・思考力・判断力・表現力の達成度を得点率で示します。
「学ぼうとする力」調査は、生徒の学習意欲、学習習慣、学習方法、自己評価を測るためのアンケート形式の調査です。この結果は、「学ぶ力・学んだ力」調査の得点とクロス集計し、得点率上位層の回答を参考に、子どもたちが次の学びへ向かうためのアドバイスを示します。
この新しいアセスメント『あすがく』は、2020年度に小学校、2021年度に中学校で実施されている新学習指導要領に対応して開発しました。
新学習指導要領をスタートするにあたり政府は、「グローバル化や人工知能・AIなどの技術革新が急速に進み、予測困難なこれからの時代。子供たちには自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていく力が求められます。」と発信しました。端的に言えば、これからの社会では、指示された学習方法通りに行う受け身の学習から、自分自身で学び方を考えて実践していく力が求められるということです。
では、この力をつけるために、「あすがく」をどう活用するか。
通常、解けなかったり間違えた問題を解けるようになるためには、今の学力・考え方を「見える化」し、足りない力をつける指導をします。これは、理解度の確認という意味で大切な要素ですが、もうひとつ大切なことがあります。それは、現状の子どもの学習方法や学習意欲、学習習慣、自己評価をきちんと測定し、どのように学力をつけているかを「見える化」し、さらにアップデートすることです。つまり、学習方略を確認し、学習方略上で足りていない箇所を補完してあげることが大切です。これをおろそかにしてしまうと、子どもたちは、表面的には理解している気になっているが、実際は学習の基礎が身につかないまま次に進むことになりかねません。
学力を伸ばしたいけれども、「思うように学びが進まない」、「なかなか学力が上がらない」、「学習習慣・意欲があまり見えない」という悩みを解決するためには、生徒の学習方法、意欲、習慣、自己評価つまり、学習方略の指導がとても大切なのです。
高校入試の問題は大きく変化『あすがく』で、対応する力を見極めて、入試力育成
昨今よく出題される特徴的な入試問題について、「あすがく」で評価する9つの力で分析しました。
【2021年 宮城県立高等学校入試問題より】
●問題●
香奈さんは、北海道と札幌市の人口について調べを進め、資料を作成しました。 香奈さんが作成した資料は、1960年代後半から札幌市の人口が増え続けるとともに、道内で札幌市への人口集中が進んでいることを示すための資料です。
香奈さんが作成した資料として最も適切なものを、次のア~エから1つ選び、記号で答えなさい。
●解き方●
こういった問題の思考過程として、以下が考えられます。
【理解/把握】【分析】
まず、問題文を正確に理解し、香奈さんが作成した資料を選びます。
そして、資料に必要な要素は、1960年後半以降の札幌市の人口の推移と北海道全体に占める札幌市の人口割合になることを判断する。もちろん、この問題では、「札幌市とそれ以外の人口動態の統計資料があれば、わかりやすい」と【仮定/推論】して、解答に進むこともあります。
【比較/関連】
必要な要素を満たしているグラフを選択肢から選びます。解答はエになります。
●解答● エ
では次に、「あすがく」ではどのような問題を出題しているか見ていきます。
【2021年年春実施『あすがく』小6より】
正答率68・7%
●問題●
ゆうたさんは、日本人一人あたりの1年間の魚の消費量について、2000年と2020年を比べたいと考えました。 このときに必要な資料を、次のア~エからすべて選び、記号で答えましょう。
ア 2000年と2020年の日本の魚の輸入量
イ 2000年と2020年の漁業で働いている人の人口
ウ 2000年と2020年の日本の総人口
エ 2000年と2020年の日本の魚の総消費量
●出題のねらい●
調査内容に必要な資料を、選択肢から選ぶ問題。調査内容を理解【理解/把握】し、情報を関連づけて必要な資料を導き出す【分析】【比較/関連】ことができるかを測っている。
●解き方●
①問題の読解【理解/把握】
問われている内容をきちんと把握する。ここでは、2000年と2020年の2つの年に、日本人一人が年間に魚を消費する量を比べるために必要なデータを選ぶ。
→「日本人の年間の魚の消費量」÷「日本人の総人口」で求めることができる。
②選択肢を確認【分析】【比較/関連】
解くために必要な情報を選択肢、解答する。
問題文中の「日本人1人あたり」「1年間の魚の消費量」の部分がヒントになっている。
入試問題と『あすがく』の問題を見てきましたが、今回例に挙げた2問に共通するのは、「問題文を読み、必要な情報を正確に理解し、選択する」ということです。
形式は異なりますが、宮城県の高校入試問題も『あすがく』の過去問も、必要とする力は同じです。社会といえば、暗記教科の側面が強いですが、このように、調査するときに必要なものを思考する問題は各都道府県で出題されています。
こういった「解くための力」を項目別評価とは別に「見える化」して、学力の基盤となる力をつけるために『あすがく』では、9つの力に分け、結果資料でその状況がわかるようにしています。学力アップのために『あすがく』の結果資料で確認してほしいことをご紹介します。
得点からは、生徒さんの4つの力と9つの要素の到達度がわかります。
また、「学ぶ力・学んだ力」調査と「学ぼうとする力」調査をクロス集計の結果から、全体のなかでの自分の今のポジションがわかります。
ほかにも、児童・生徒に合った、児童・生徒の足りていない力を伸ばすための、明日の学習につながるアドバイスがあります。これらを活用し、指導に役立ててください。
「明日の学力」診断 2021年秋スケジュール(小1〜中2)
* 2022年度も小1~中2対象で、年2回(春・秋)実施いたします。
『あすがく』についてのお問い合わせ
教育アライアンスネットワーク(NEA)事務局
(メール)info@n-ea.jp (電話)03-6431-1311
(Web) https://www.n-ea.jp/
担当:千代延(ちよのぶ)、相原(あいはら)、柳(やなぎ)