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NEA学びの教育セミナートリロジー「探究」学習は、世界を変える

2021-12-01
モデレーターを務めた (株)サイタコーディネーション 大河香奈子氏

モデレーターを務めた
(株)サイタコーディネーション 大河香奈子氏

2022年から高校では新学習指導要領に沿った授業が実施される。新しい学習指導要領では、「子どもたちが自分で未来を切りひらいていけるように、生きていくための資質・能力を育んでいく」ことを重視しており、「探究」がキーワードとなっている。
NEA教育アライアンスネットワーク(下屋俊裕理事長)では、「2030年をどう迎えるか」という大きなテーマのもと、予測不能な現代に生きる児童生徒の「未来の学びを考える」教育セミナーを開催している。
10月17日(日)のセミナーでは、「探究」とはなにか、そしてその力を育み発揮させる非認知能力と保護者の関わり方について、知見を深める2つの基調講演とトークセッションが繰り広げられた。

基調講演1
これからの学びの中心「探究」を探る
森 弘達 氏

大妻学院 大妻中学高等学校主幹  国際バカロレアアドミニストレーター  森 弘達 氏

大妻学院 大妻中学高等学校主幹 国際バカロレアアドミニストレーター 森 弘達 氏

探究およびSTEAM教育、受験指導の第一人者であり、教育の最先端の場で活躍中の森弘達氏(学校法人大妻学院 大妻中学高等学校主幹、国際バカロレアアドミニストレーター)の講演が行われた。
来年から高等学校では、新学習指導要領により「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に名称が変わり、中身も変化する。大学入試における〝正解のない問題〟の出題例を挙げ、正解のない問題に自分なりの「最適解」「納得解」を見出していくのも探究であることを解説。「探究」学習が求められている背景についても言及した。これまでの予測可能な成長社会とは異なり、現在はコロナ禍でもあり、予測困難な日々が続く。社会に出れば正解のない問題に絶えず立ち向かわなければならない。受け身の学びではなく、能動的・積極的、主体的な学びが求められていることなどの具体例を示した。

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また、探求を通して身につける資質・能力として、知識・技能、思考力(深く考える力)、判断力(主体的に考える力)、表現力(対話的に考える力)、モチベーションやつながる力などを挙げ、森氏の手がけるプロジェクトや取り組みなどを紹介。「探究」とは、課題発見と課題解決を大切に、研究すること、自分と社会をつなげていくことである。人とのつながり、社会とのつながりを大切に、周囲の人と議論や協働しながら「探究」学習を進めていくことの重要性を述べた。

基調講演2
全米最優秀女子高生の母親にきく!保護者の関わり方!
ボーク 重子 氏

Shigeko Bork BYBS Coaching LLC 代表 ICF 会員ライフコーチ  ボーク 重子 氏

Shigeko Bork BYBS Coaching LLC 代表
ICF 会員ライフコーチ ボーク 重子 氏

『世界最高の子育て─「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』『「非認知能力」の育て方』などの著書により「非認知能力」を育むパイオニアとして活躍中のボーク 重子氏(Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表 ICF会員ライフコーチ)がアメリカから講演を行った。
ボーク重子氏が非認知能力を育む教育を始めたのは、娘のスカイさんが生まれたときに、自ら人生を切り拓ける主体性のある人になってほしいと願い、その能力を育む教育法に出会うことができたからだという。この教育法が、2017年にスカイさんが「全米最優秀女子高生」に選ばれた要因だと語る。
非認知能力は、自己肯定感、自制心、主体性、創造力、共感力、協働力、やり抜く力などの能力で、数値化は難しいが、自ら問題を発見して解決していくためには欠かせないものである。
この非認知能力を育む教育法について具体的に解説しながら、家庭で保護者がすぐにできる子どもとの向き合い方を取り上げ、3つの柱を紹介。1つ目は、安心・安全な環境。自己肯定感と言い換えられる。最も重要なのは、その子がその子であること。その子がそこにいるからこそ価値がある。
2つ目は主体性。人間にできてAIにできないことは、自らスイッチを入れること。そのためにはロールモデルの存在が大切。親や先生が、最高に楽しく生きている姿を見せることだ。
3つ目は、外に向かって行動すること。自分がどう社会とつながっていくのか。将来、どんな職業に就きたいかではなくどんな大人になりたいかである。

[トークセッション]
これからの学びに必要なことは?
セッション モデレーター 石川 一郎 氏
聖ドミニコ学園カリキュラムマネージャー

セッションモデレーターを務めた 聖ドミニコ学園カリキュラム  マネージャー 石川一郎氏

セッションモデレーターを務めた
聖ドミニコ学園カリキュラム マネージャー 石川一郎氏

2021年11月2日に最新著書『いま知らないと後悔する 2024年の大学入試改革』を出版した石川一郎氏。これからの学びを様々な視点で分析し、セッションをモデレートした。

石川一郎氏(以下、石川氏) 探究、非認知能力、教科学習、3つのワードの重なりが見えてくればと思います。ボークさん、探究はどんな面で必要だと思われますか?
ボーク重子氏(以下、ボーク氏) 探究って、自分で課題を選ぶわけだけれど、まず子どもが自分にとっての正解を見つけていいんだと思わないといけない。そのためには、家庭で親が子どもに正解を押し付けないことが大切。自分の考えや意見を自由に言える環境が探究学習には必要だなって思います。
石川氏 探究は、テーマを見つけるのが大変だと思いますがアドバイスをお願いします。
森弘達氏(以下、森氏) いろいろな切り口はありますが、どんな職業につきたいか、どんな大人になりたいか。職業は社会課題とリンクしているので、そういうところから問いを立てるのもいいと思います。
石川氏 世の中のことを知っていたり、いろいろな経験をする中でやりたいことができてきたりする。学ぶことは大事ですね。
森氏 学校には先生、家庭では親しかいない。大妻中学高等学校では、親や先生以外の人との交流を積極的に推し進めています。とがった研究者、とがったアーティストなどから刺激を受け、生徒たちにもスイッチが入るんです。
石川氏 いろいろなことを考えていいんだ、知っていいんだと、親子の対話の中で拾うこともありますよね。
ボーク氏 それがまさに安心・安全な環境です。親から否定されないことで、自分が受け入れられていると感じることができる。否定されると〝よい子の呪縛を生きる〟ことになります。自分の考えは自分でつくっていくもの。考えや意見をつくるためには、知識がベースになります。
非認知能力を育むために認知能力をどうすればいいか。それが探究学習なんではないのかな。探究学習でいろいろなことをやっていく中で、結果的に非認知能力が育まれ、認知能力が伸びていくのだと思います。
石川氏 大事なのは、自己肯定感ですよね。しかし、大人は子どもの自己肯定感を失わせるような言動が多い。
例えば80点とったときに、「もう少しで100点だったのに!」と言うのか「80点もとってすごいね!」と言うのか。自己肯定感のマインドを持たせられるよう、結果を褒めるのではなくプロセスを褒めるべきです。正解のない問いを自分で持ってみる。安心して考えていいよというのが非認知能力。
教科と探究と非認知能力は、うまく重なるところを考えていただければ、お子さんが育っていきます。自己肯定感を見つけながら、自分も幸せになるし、まわりも幸せにできるというモチベーションのもとに大学や就職を考える。本日の基調講演とトークセッションが、その一助になればと思います。


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