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2021年NEA後期学習会 保護者に国語力の重要性を!

2022-02-01

企業が求める力と入試問題、実情から考える

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教育改革の一環として早期英語教育が強化されている一方で、母語である日本語の力を育む重要性が問われている。入学試験はもとより社会人として、また実生活上でも、日々膨大な情報に接し、多くの必要な情報の中から本質をつかみ取ることや、断片的な情報を論理的に組み立て直すことがこれまで以上に求められているからだ。これらの基盤になるのは国語の運用能力である。
NEA教育アライアンスネットワーク(下屋俊裕理事長)では、受講数増加および集客に結びつく知見を深めるために「(公財)日本漢字能力検定協会」による学習会を開催。国語力向上の重要性を参加者と共有した。

企業が求める力と入試問題実情から考える

はじめにNEA事務局の柳裕樹氏が、新しい学習指導要領の方向性について、改訂の経緯および育成を目指す資質能力について改めて要点を解説。社会で起きている変化がさらなる産業構造の変化を引き起こしている中で、昨今、子どもだけでなく大人も言葉や文章によるコミュニケーションに支障をきたしているのではないかという仮説を挙げ、社会で求められている能力とは何か、また企業で課題になっているものを考え取り組む意義に触れ、学習会を開始した。

企業研修から見える今、社会で求められている能力とは
公益財団法人 日本漢字能力検定協会 普及第二部 山田 乃理子 部長

(公財)日本漢字能力検定協会 山田乃理子 氏

(公財)日本漢字能力検定協会 山田乃理子 氏

漢字検定協会というと漢字検定の印象が強いと思うが、実は日本語領域を広く担当しており、近年では、企業向けに論理的な文章を書くための研修を提供している。本日は、その研修や調査を通じて見えてきた企業のニーズをご紹介する。

【人事担当者の声】
協会が2020年1月に行った調査では、96%の人材育成担当が「ビジネスで文章力は重要」と回答しており、「昇格や昇給に影響する」と答えた割合も6割を超えていた。実際に様々な企業で研修を行う中でも「リモートワークが増えたことで、以前にも増して社員の文章力が重要になっている」といった声をよく耳にする。

【背景にある社会の変化】
以前よりも文章力が求められるようになった背景には、通信機器の発達によるコミュニケーションの変化が大きく影響している。ポケベルや携帯電話からスマートフォンへ変化したことで、SNSやメールでの文章によるコミュニケーションが増えるとともに、やりとりできる情報のスピードが上がり、量も増加している。このような社会の変化によって、企業における業務の中でも文章を通じたコミュニケーションが重要視されるようになったのである。

【ビジネスにおけるコミュニケーション】
プライベートでコミュニケーションをとる相手は家族や友だちなど、自分のこと(経歴、出身、専攻など)を知っている人で、同じ体験や経験をして共通認識を持っている相手であることが多い。しかしながら、仕事などを通じて接する相手は取引先や他部署の社員など自分のことを知らない人であることが多い。そのため、ビジネスでは、共通認識がほとんどない相手に対して、自分の意見を理解し、納得してもらうための、説得力のある論理的な文章を書くことが求められるのである。
コミュニケーションが変化し、ますます文章力が重視されるようになった企業としては、学生のうちからこのような力を身に付けてくれることを期待している。

入試問題で求められる文章力とは
一般社団法人 教育アライアンスネットワーク 柳 裕樹 主任研究員

入試問題においても、文章力が問われるようになっている。今年度から中学校の新課程が開始されたことにより、公立高校入試では思考力・判断力・表現力が求められるような問題が増えることが予想される。これにより、作文を新たに出題するようなエリアも出てくるであろう。また、大学入試でも各大学の個別試験や総合型・学校型選抜において、「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」や「それを的確に、さらには効果的に表現する能力」の評価を推進するという提言が大学入試のあり方に関する検討会議で示されていることから、文章力を育成することも学習塾の大きな課題となるのではないだろうか。その課題を解決するための一つの手法として、漢字検定協会の文章読解・作成能力検定をご紹介しておきたい。

文章読解・作成能力検定(文章検)のご紹介
公益財団法人 日本漢字能力検定協会 普及第一部学習支援一課 才賀 敦 課長

(公財)日本漢字能力検定協会 才賀 敦 氏

(公財)日本漢字能力検定協会 才賀 敦 氏

【文章検で育てる力】
論理的な文章には完成までのプロセスがあり、プロセスごとに必要な能力が異なる。文章検では、教材で学習することで論理的な文章を書くために必要な能力を個別に鍛え、効率的・効果的に文章力を向上させることができる。

【文章検で測る力】
文章検で測る力は大きく分けて3つある。
①基礎力…文章を読み書きする上で必要な、語彙・文法・表記などの力
②読解力…文章や資料(図表データを含む)を読み取る力
③作成力…書く材料をもとに文章を効果的に構成する論理構成力、それを具体的な表現に展開する語彙・表現力、作成した文章を推敲する推敲力。
【「高校生のための学びの基礎診断」に認定】 2019年度に文部科学省から「高校生のための学びの基礎診断」測定ツールとして認定されている。義務教育段階の学習内容に関する定着度合いを測定することを重視した「基本タイプ」。高等学校段階の共通必修科目に関する学習内容の定着度合いを測定することを重視した「標準タイプ」に分かれており、文章検4級が「基本タイプ」に、3級と準2級が「標準タイプ」に認定されている。
各級の「文章作成力」を問う問題では、左記のような条件を課している。
・文章検4級…100字程度の通信文の推敲、320字程度の意見文の作成(2段落構成)
・文章検3級…100字程度の通信文の推敲、450字程度の意見文の作成(3段落構成)
・文章検準2級…100字程度の通信文の推敲、550字程度の論説文の作成(4段落構成)

【塾での活用事例】
福岡県のとある塾では、一般入試はもちろんのこと、推薦入試の作文対策として文章力育成に力を入れている。塾担当者曰く「作文のテーマは様々なので、まずは文章作成の型を学ぶことが重要だと考え、文章検の導入を決めた」とのこと。中学3年の生徒全員に文章検3級へチャレンジさせるため、受検前には授業2コマを使って指導を行い、問題集にある作文問題を宿題にして提出させている。このような取り組みを進め、生徒たちが文章の書き方を理解したことで、国語の作文に限らず、他教科でも文章を書くスピードが上がったことを感じられているとお伺いした。

まとめ

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● 企業では
社会の変化とともにコミュニケーションの量や手段が大きく変化しており、それに伴い文章力育成が課題になっている。
● 大学入試では
記述試験が大学ごとの個別試験で重視され、共通テストでは教科問わず文章などの情報を正しく読み取る力が求められる。
● 高校入試では
新課程により、思考力・判断力・表現力を問う出題が増え、エリアによっては作文が追加される可能性がある。

今回ご紹介させていただきました問題文は文章検公式WEBサイトにて閲覧可能です。「文章検 問題」で検索してください。また、「講師派遣型企業向け研修」についてもEWBサイトをご覧ください。


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