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サイタオープンカレッジ 親が知らない令和の入試事情

2022-02-01

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保護者コーチングで知られる株式会社サイタコーディネーション(江藤真規代表取締役、東京都新宿区)は、1月11日(火)塾関係者、学校・教育サービス関係者、保護者とお子様を対象に、オンライン形式でオープンカレッジを開講した。
第一部では、聖ドミニコ学園カリキュラムマネージャー 石川一郎氏が基調講演を行い、第二部では、石川一郎氏、関谷昴氏、前田智帆氏のスペシャルセッションが繰り広げられた。社会が大きく変わる中、より豊かに生きていくための学びについて、様々な気づきが得られるセミナーであった。
【ファシリテーター】(株)サイタコーディネーション 江藤真規 代表 【後援】(株)塾と教育社

[第一部] 基調講演
親が知らない令和の入試事情
石川 一郎 氏
(聖ドミニコ学園カリキュラムマネージャー・21世紀型教育機構理事)

入試の変化を皆さまと共有したいと思います。2021年度、私が注目した大学入試問題を挙げます。慶應大学SFCでは、世の中で不条理だと感じることを15個挙げ、不条理の内容と理由をそれぞれ1文で記述させる問題がありました。さらに、その中から3つ取り上げ、解決の方向性とカギになる技術革新・アイデアを含め、具体的、定量的、かつビジュアルで説明するというもの。東京大学では、発明や開発によって創り出されたものから、人類を特に豊かにしたものを2つ挙げ、理由を述べさせています。
早稲田大学の政治経済学部では、一般入試で社会と国語がなくなり、学部入試は日本語・英語の長文の要約と自説を述べる形式に変化。共通テストで数学は必修となり、一般入試の募集枠が300名になっています(定員は900名)。
福井県の公立高校入試問題(社会)では、観光客が増加した場合の地方自治体の対策を答えさせています。いずれも、読解力や資料を的確に読む力、分析する力、根拠を挙げて自分の考えを述べる創造的思考が問われています。
ブルーム・タキソノミー理論という教育指標があります。文部科学省が学習指導要領改訂にあたって取り入れており、独自にアレンジし生徒の評価に用いている学校も増えています。
中学受験で有名な「首都圏中学模試センター」も、ブルーム・タキソノミーを入試問題の出題傾向を分析するためにアレンジ。どの程度の知識が必要なのか、どの程度の思考の深さが必要なのかという二つの軸で学力を図る「思考コード」という新しい指標を設けています。

[第二部]「好きなことをやれば良い」って、本当?

教育とは『子どもたちが好きなことをやりながら持続可能な社会に貢献できること』。子どもの『大きな物語を紡いでいく』ことにほかなりません。「好き」をお仕事にされているお2人にご登壇いただき「好きをやれば良いって本当?」に迫ります。どんな物語が見えてくるでしょうか。

【スペシャルセッション】

●関谷昴 氏
東京外国語大学言語文化学部英語専攻卒業。在学中にフィリピンでの教育支援活動や世界一周の旅、世界青年の船などグローバルに活動。ローカルの重要性に気づき現在東京府中市でまちづくり会社や多文化共生施設の管理を行う。多角的な視点で街や学びの場を模索している

●前田智帆 氏
AO入試で津田塾大学学芸学部国際関係学科入学。卒業後JICAに入り2度にわたり(2年8カ月)セネガルに赴任。大学3年生でセネガルを訪れてからアフリカに魅了され数々の活動に従事。現在大阪の太平洋人材交流センター勤務。NPOにて途上国の人材育成事業に関わる

石川一郎氏(以下、石川氏) 今のお仕事に就かれた経緯を教えてください。
前田智帆氏(以下、前田氏) セネガルに行ったときに優秀な人材、多様な人材に出会いました。アフリカ人がアフリカ人の力で立ち上がるには政策が大事。その政策に関わる仕事に就きたいと思いました。
関谷昴氏(以下、関谷氏) 英語が好きで、教育支援活動などで世界を見てきました。グローバル人材って何なのだろうと考えながら37カ国旅をして、基本はローカルなんだと気づきました。帰国して、まちづくりの活動を始めたのをきっかけに現職に至ります。

江藤真規氏(以下、江藤氏) 勉強との関わり方はどうでしたか。
前田氏 曾祖父が貿易関係、母方が国際郵便局勤務だったこともあり、海外とつながり英語を使う仕事がいいと思っていました。進路について考えているときに学校の先生から「本当は国際協力を目指したかった」という話を聞き、小学校のときにテレビで見たスモーキー・マウンテンの映像が思い浮かびました。国際協力は英語が完璧にできなくても、コミュニケーションをとりながらできる仕事もあるということに思い至り、学ぶ意味をとらえ直しました。大学に入り本当にやりたかった勉強、点数に左右されない勉強、興味がある勉強ができるようになりました。
関谷氏 苦手な教科はありましたが、勉強が嫌だという感覚はありませんでした。僕自身は、自分が納得しないことはやらない性格。勉強が何なのかというのを自分なりに解釈しようとしていました。両親が中学の教師(父親は理科、母は国語)ということもあり、自宅周辺で自然観察や星の観望をすることなどが日常でした。勉強とはやらなければならないものではなく、楽しく、新しいことを身につけられたらいい。どんな面白さがあるのかという好奇心でアプローチしていました。模試を受けても点数が悪いと破り捨て(笑)プレッシャーを感じることもなかったです。
石川氏 好きなこと、得意なことがイコールならいいんだろうけれどね。
前田氏 好きな分野で得意なことをやらせていただいてる感じです。好きなことを発信していたら、好きな人が集まってきて、好きな人たちの中でも得意な分野が異なるので、それぞれ得意なことを持ち寄っています。いろいろな好奇心はあったほうがいいし、好奇心にチャレンジする経験が幼い頃からあったら、何かのきっかけで好きにスイッチが入ると思います。
関谷氏 学びの場で中高生と関わることが多いのですが、好きとか嫌いはやったことがなければ気づくことがない。情報があふれていて、やってなくてもこうしたらこうなると分かってしまうこともある。僕たちが重要視しているのは、実践してみること。好きかもしれない、やってみたいことを周りがサポートして、実際にできるようになるのが重要です。
前田氏 進路選択の際、親から「ここはどう? あそこはどう?」と提示され、思考がストップした経験があります。「どんなことをしたいの?」とサポートしてくれていたらよかったのに(笑)。私が親になったら、世界の情勢や教育の話を子どもとしながら、自分の道を自分で選択できるようにしてあげたい。私自身がロールモデルになりたいと思います。
関谷氏 知識的なことは調べられるので、自分の考えを聞いてくれる人の存在と、その先のロールモデルに出会うことが求められていると思います。
石川氏 対話しながら子どものいいところを伸ばせればいいですね。学校、塾、家庭…。親子関係だけでなくいろいろな方とつながることでロールモデルを見つけたり素敵な関係が広がる。子育ての登場人物を多くすることが大事。
江藤氏 英語を含め、コミュニケーション力を伸ばすことで大事なものは?
前田氏 自分と他人が違う価値観を持っていることを理解していることです。話さなくてもわかるではなく、実は違うでしょという経験を重ねていく。わからないことが恥ずかしいことではないとわかったらコミュ二ケーションしやすい。他人に聞いてみたいというところからコミュニケーションが始まるからです。
石川氏 自己肯定感を子どもは大事にしている。主体性って、自分のやっていることが否定されてなくて、自分という人間が何らかの役に立つというマインドができていればどんどん外に向かっていく。
江藤氏 イベントの価値は情報を受け取るだけでなく、多様な考え、多様な生き方、多様な経験に触れること。自分に合った情報を自分の責任として見つけ、自分の役割を考え、子育てに尽力していただきたいと思います。本日はありがとうございました。


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