NEA 全国高校入試問題研究会
2022年 公立高校入試 変化と対策
教育改革真っただ中、詳細な入試情報が得られ、学習指導や進路指導、集客、ブランディングに役立つと大好評を博しているNEA教育アライアンスネットワーク主催「全国高校入試問題研究会」が、5月19日(木)NEA会員限定で開催された。
今年の入試は新学習指導要領で実施された初年度の入試。学習内容も増え、入試問題もかなり難化している。そこで今回は、公立高校入試5教科の入試傾向において、変化の核になるところを中心に、全国傾向、注目問題などの最新情報を塾関係者、教育関係者と共有した。
講師
株式会社 エデュケーショナルネットワーク
R&Dセンター チーフアナリスト 上野伸二 氏
<教科書改訂初年度の公立高校入試 5つのポイント>
《ポイント1》
90%以上の都道府県で新出内容を出題。応用レベルでの出題も散見される。自県の入試問題において、今回新出内容が出ていなかったら来年出る可能性が高い。
《ポイント2》
注目は「四分位範囲と箱ひげ図」(中2学習内容)。基本的には大問単位で出ることもあり、範囲が広いため得点もそれなりに高くなる。過去に出ていなかったので、しっかりと分析していきたい。「ダニエル電池」(中3学習内容)は4割を超える都道府県で出題。大問で正確な理解を確認する形式が目立った。
《ポイント3》
英語は部分的な文法的な追加ということになる。原形不定詞の中で、圧倒的に多いのはhelp の構文。現在完了進行形も部分的なものだが、長文中で出てきている。仮定法はかなり難しい内容。英語の新出文法内容は8割以上の県で出題。英語は確実に難化傾向にある。
《ポイント4》
共通テストに多くの県が追随、影響を受け、準じた入試問題が散見された。また、選択肢が多様化し、選択肢を組み合わせたり、選択肢が6個、8個に増えるなど、思考力・判断力をみるため工夫を凝らしている。資料や会話文・対話文の増加も顕著である。
《ポイント5》
レジ袋の有料化、フードロス、衣服の無駄、地方創生にからむものが社会に見られた。SDGs関連の問題は今年も散見されたが、昨年大半を占めた〝プラスチックごみ〟に関するものは減り、幅広いテーマが扱われている。
<2022年度公立高校入試 全国傾向>
【数 学】
◎今年の入試の特徴
注目の「四分位範囲と箱ひげ図」は22道県で出題。未出の県では対策は必須。来年出る可能性が高いため、夏期講習で対策していただきたい。関数は〝解く〟だけでなく〝読み取る〟〝活用する〟が重視されるようになった。
◎問題構成の変化
新傾向(会話形式・日常生活を題材等)の導入は県によって大きく異なる。共通テストの影響を受け、簡単なものから徐々に難易度を上げていく入試傾向。全体的な難易度は特に大きく変化してない。
◎その他注目したい点
関数は長文化と図形との融合に要注意。確率では〝考え方の説明(表現力)〟が増えている。
【英 語】
◎今年の入試の特徴
新出内容「仮定法」「現在完了進行形」「原形不定詞」は8割以上の都道府県で出題。大半は文中での使用となったが、語順整序や空所補充での出題も。文法形式、長文中に入っている県もある。
◎問題構成の変化
問題構成そのものに変化は見られないが、英文中の単語は難化。吹き出しなどを用いた対話形式も増えている。英語は年ごとに難化。
◎その他注目したい点
昨年出題しすぎた反動か、環境に関する英文は大幅に減り、技術革新やオンラインの活用に関する英文が目立った。英作文のテーマも教科書で扱われるような無難なものが多かった。SDGsの流れに沿って、英文の内容も固有名詞や特殊な単語が増えるなどの傾向も。
【国 語】
◎今年の入試の特徴
共通テストの影響もあり、複数テキストの採用は増加傾向。作文は〝言葉〟や〝コミュニケーション〟に関する内容が多かった。下線部についての説明選択肢を選ぶ記述問題、文学的文章、説明的文章など、共通テストと同じ流れをくんでいる。
◎問題構成の変化
問題構成は各都道府県でほぼ固定化。難易度にも大きな変化は見られない。
◎その他注目したい点
説明文の題材は哲学・思考・言語・生物学が目立つ。文章全体の構成・内容の理解に重点が置かれ、設問はメモやノート形式、まとめ文や会話の空所補充が主流に。
【理 科】
◎今年の入試の特徴
中3新出内容の「ダニエル電池」は15都道府県で出題。共通テストの影響か、〝完答で正解〟や〝組み合わせの選択肢〟の問題が10問を超える県も続出。
◎問題構成の変化
知識として覚えただけではだめな問題が多く出ている。会話やメモがなく、設問もほぼ一問一答の従来型の入試と、積極的に新傾向を採用している入試とがあり、県ごとの特徴の違いが顕著。
◎その他注目したい点
記号問題中心の県では選択肢の数で難化を図るケースが多く、6択や8択も増えている。問題の見せ方にこだわる入試もあるが、出題内容は正確な知識の定着を問うものが大半を占める。
【社 会】
◎今年の入試の特徴
昨年出題が見送られた「国際社会の諸問題」を多くの県で出題。SDGs関連の問題は今年も「二酸化炭素排出量制限」に関する記述問題が目立った。
◎問題構成の変化
問題構成に大きな変化は見られないが、歴史の近現代史と公民の比重が高まっている。
◎その他注目したい点
県によって大きく異なるのが資料の使い方。資料が解答のヒントになる場合と、資料についての知識を問う場合があり、後者は難度が高め。県ごとの特徴を踏まえた対策が必要に。
<2023年度入試への対策>
【数 学】
◇初出題「四分位範囲と箱ひげ図」
★夏期講習以降、過去問になる「四分位範囲と箱ひげ図」を重点的に整理!
◇公式への代入だけでは解けなくなった「関数」
★夏期講習では思考力系入試問題の前提となる「基礎力」を徹底的に磨く!
実際には入試定番の問題でも正答率が低い問題は多々ある。
★新傾向の読解型問題は、単元の融合型・複合型であることが多い。夏期講習で定番の問題をクリアしておくことが対策の第一歩
★共通テストに類似した長文会話形式を採用した問題★
・栃木 1次関数 電力会社の料金比較
・千葉 1次関数 円周上の2点間の距離
・兵庫 文字式 スポ―ツクライミングの採点方法
・岡山 確率 ゲームに必要なあめの数を予測する
・広島 1次関数 ドローンを使った宅配サービス
・徳島 1次関数 注文するTシャツ代金の比較
・愛媛 文字式 2数の差が9の倍数になることを証明
・沖縄 文字式 式を満たす自然数の組を考える
【英 語】
◇新出の文法事項の出題内容は?
・現在完了進行形 文中登場7県、直接設問7県
・原形不定詞 文中登場25県、直接設問12県
★夏期講習では入試最頻出の「不定詞」「動名詞」を徹底復習!さらに近年の入試問題でしばしば登場し注意が必要な文法表現は、①「前置詞+動名詞」②「助動詞+受動態」③前置詞が残る後置修飾
◇新出の文法事項「仮定法」は英作文でも!
・仮定法 文中登場9件、直接設問15県
★2学期以降の「後置修飾」「仮定法」さらに長文対策を考慮して夏期講習で入試頻出の既習単元を徹底習得させることが大事
◇高得点の決め手となる英作文いかにシンプルな単語で高度なことを伝えられるかに焦点を当てている。
★生徒たちは超難化した教科書によって文法的理解や単語力が不安定になっている!夏期講習では文法的な切り口で総復習することは学力アップの決め手に。準拠から離れた勉強の価値が上がっている。さらに単語力も講習テキストの使用単語に特化するだけでも効果絶大
【理 科】
◇初年度から内容充実の「ダニエル電池」
◇理科でも増えている「日常生活を題材」&「会話形式」
★文章量の多い問題は、出題のポイントとしては、意外とシンプルなものが多いダニエル電池は、ボルタの電池を改良(分極作用)したものとして、電子の流れ、イオンの動きを理解させれば問題自体は決して難しいものではない
◇最新の入試をまとめたENジャーナルvol/61の紹介
夏期講習のカリキュラム、講師の先生の指導、保護者生徒に情報発信
集客にお役立てください!
【社 会】
◇資料が圧倒的に増えた社会、問題によって難易度には大きな差が
◇増加する「課題解決の観点」を重視した問題
◇次年度以降要注意の時事内容は?
情報リテラシーの基本を身につけておく
【国 語】
◇共通テストの影響?増加傾向の〝まとめ〟形式
◇教科書でも重視される「情報リテラシー」について考える
一般社団法人教育アライアンスネットワーク(NEA)
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