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    チョーク1本で教育改革を

開倫塾 主催 全国模擬授業大会 第15回 記念大会
チョーク1本で教育改革を

2022-07-01

「チョーク一本で教育改革を」。この言葉をスローガンに日本一の教師を決める「第15回全国模擬授業大会」が5月29日(日)に栃木県佐野市で開催された。15分間の模擬授業を展開して「教え方日本一」を目指す大会だ。コロナ禍のため、今回は3年ぶりの大会となった。
主催は栃木県足利市に本社のある開倫塾。エントリーした塾は12団体。教師は37名だ。各部門の予選はコロナの感染防止対策により、4月23日(土)・24日(日)に動画で行われ、勝ち抜いた10名が佐野市文化会館で部門別決勝と本戦決勝に臨んだ。

生徒本人の自覚を促す 内容も含めた模擬授業を

開会式で主催者 挨拶を述べる 開倫塾 塾長 林明夫氏

開会式で主催者 挨拶を述べる 開倫塾 塾長 林明夫氏

「全国模擬授業大会は、今から17年前に始まりました。主要5教科の授業で最も難しいといわれている導入部分の教え方の技術を競うものです。毎年5月の最後の日曜日に栃木県足利市で開催させていただいています。一昨年と昨年はコロナ禍のためにやむなく延期し、今年は2年間の空白を経て、会場を白鷗大学足利高等学校から、ここ佐野市文化会館に変えて開催させていただくことになりました。ご協力いただいたすべてのみなさまに心から感謝申し上げます。

来賓を代表して挨拶を述べる、(一社)みらい教育総研 代表理事 小川英範氏

来賓を代表して挨拶を述べる、(一社)みらい教育総研 代表理事 小川英範氏

さて、教育の成果を決定する要因は、生徒本人の自覚と先生の力量であると考えられます。本人の自覚が不足すると、いくら力量のある教師が教えても、教育の成果は十分に期待できないでしょう。そこで、今回の大会では、本人の自覚を促す内容も含めた模擬授業を展開するように先生方にあらかじめお願いしています。こうした観点から『教え方、日本一』を目指す授業をご覧になっていただき、明日からの授業に活かしていただけたらと思います」
主催者を代表して開倫塾塾長の林明夫氏が開会式でこのように挨拶した。続いて来賓の挨拶。一般社団法人みらい教育総研代表理事の小川英範氏が次のように述べた。

来賓の方々

来賓の方々

「私は若い頃、現在の学究社の代表取締役でおられる河端真一先生の薫陶を受けました。川端先生は、授業の最も重要なポイントは『楽しくて、ためになる』ことだとおっしゃっていました。その言葉に感動した私はその言葉を今も胸に刻んでいます。『今日の授業は楽しかったよ』『勉強の大切さがわかった』『成績がこんなに上がったよ』…。こんな子どもたちの声が聞こえる授業が毎日行われれば、日本の教育は今まで以上に発展していくことでしょう。ぜひ、その模範となるような授業展開を、今日の出場者の先生方に期待しています」

部門別決勝進出者10名が登壇

部門別決勝進出者10名が登壇

続いて、審査員が紹介されたのち、第14回の団体優勝旗が野田塾から返還された。なお、今年の大会は、コロナ禍により例年と開催方法が異なるため団体戦は行われない。
開会式終了後、部門別決勝へ。英語・数学(算数)・国語・理科・社会の部門ごとにホールや会議室に分かれ、部門別決勝進出者10名による模擬授業が行われた。この授業を栃木県内の中学や高校の先生、全国の塾の代表などが審査。その結果、本戦決勝進出者(部門別優秀賞) に選ばれた5名が、全員、野田塾の教師だった。

本戦決勝進出者5名が質の高い授業を繰り広げる

[左] 部門別決勝の様子。NEVER TOO LATE の岡本澄香先生(算数) [右] 部門別決勝の様子。洛西進学教室の戸田有香先生(国語)

[左] 部門別決勝の様子。NEVER TOO LATE の岡本澄香先生(算数)
[右] 部門別決勝の様子。洛西進学教室の戸田有香先生(国語)

いよいよ、本戦決勝がスタート。5名が大ホールを舞台にして、入念に準備された質の高い授業を熱く繰り広げた。英語部門の鈴木康太先生のテーマは中2の「未来表現」。人気アニメの主人公のセリフを用いて「begoing to」と「will」が同意表現であるのに、なぜ2つの言い方があるのか違いを考えさせた。そして、時間軸による未来表現の使い分けができるように促したのである。
社会部門の井上淳司先生は中3の「さまざまな国際問題」だ。この20年で極度の貧困層が激減した原因を考えさせた上で、貧困層をゼロにすることを目標に掲げたSDGsの意義を紹介。広い視野を持ち、世界の現状を理解することを勧めた。
国語部門の近藤慎之介先生は中1の「漢字の音訓」である。まず、浅草( せんそう) 寺と浅草( あさくさ) 神社の読みの違いを導入に活用。音読みと訓読みの由来を知ることで、語学につきものの例外を限りなく減らし、2つの違いを論理的に理解できるように説いた。

[左上から] 野田塾 近藤慎之介先生(国語)/野田塾 井上淳司先生(社会)/野田塾 鈴木康太先生(英語)/野田塾 鈴木崇先生(理科)/野田塾 松下佳史先生(数学)

[左上から] 野田塾 近藤慎之介先生(国語)/野田塾 井上淳司先生(社会)/野田塾 鈴木康太先生(英語)/野田塾 鈴木崇先生(理科)/野田塾 松下佳史先生(数学)

理科部門の鈴木崇先生は中1の「鏡」だ。冒頭で鏡の歴史について紹介。その後、ボールを鏡に写した時の見え方を考えさせ、入射角と反射角が同じであると説き、合わせ鏡における光の作図ができるようにした。
数学部門の松下佳史先生は中1の「素数」だ。まず、2と3以外の素数は6の倍数の前後にしかないことを強調。そして、なぜ、素数という名前なのか、その謎を解く鍵が素因数分解にあり、素数が無限にあることを理解すれば、問題が簡単に解けると伝えた。

伝わってきたのは人間力の素晴らしさ

講評を述べる(株)マグマ トーゼミ  代表取締役 大森登希義氏

講評を述べる(株)マグマ トーゼミ 代表取締役 大森登希義氏

決勝戦の終了後、審査へ。結果の発表を待つ間にバイオリンとピアノによるクラシックコンサートが開催され、緊張に包まれた会場の雰囲気が和んだ。
発表はまず、学生ボランティア審査員による「私の教わりたい先生 特別賞」から。受賞に輝いたのは、英語部門の野田塾・鈴木康太先生である。
そして、いよいよ、最優秀賞の発表へ。なお、最優秀賞は、学生ボランティア審査員の票数に審査員票数を合わせ、最も得票数が多い教師に与えられる。この栄光を手にしたのも、鈴木康太先生だ。野田塾は5年連続して最優秀賞者を輩出する快挙を成し遂げた。

[上] トロフィーを授与される最優秀賞 鈴木康太先生 [下] 本戦決勝進出者全員に賞状を授与

[上] トロフィーを授与される最優秀賞 鈴木康太先生
[下] 本戦決勝進出者全員に賞状を授与

表彰式のあと、審査委員長を務めた(株)マグマ トーゼミ代表取締役の大森登希義氏が次のように講評を述べた。
「先生方全員の授業には、はちきれんばかりの力があり、教育にかける熱い思いが感じられました。特に最優秀賞を受賞した鈴木康太先生の授業に、みなさんはぐいぐいと引き込まれたことと思います。教師が良い授業をすることは当然のことです。でも、それ以上に大切なことは、子どもたちを楽しませて、心を開放してあげることだと私は考えています。鈴木康太先生の授業を見ていて、その確信が揺るぎないものになりました。

本選決勝結果発表

本選決勝結果発表

また、全員の授業から伝わってきたのは、人間力の素晴らしさです。この力を磨くことの重要さも改めて痛感しました」 
最後に映画のエンディングロールを模して、参加した教師などを紹介した動画がスクリーンに映し出されたのち、第15回記念大会は幕を閉じた。
なお、野田塾主催の「全国模擬授業大会」は、今年10月23日(日)に愛知県名古屋市で開催される予定だ。

全国模擬授業大会 第15回記念大会
(主催・開倫塾)

■各賞受賞者(敬称略)■

【最優秀賞】
野田塾 鈴木 康太(英語)

【部門別優勝】
野田塾 井上 淳司(社会)
野田塾 近藤 慎之介(国語)
野田塾 鈴木 崇(理科)
野田塾 松下 佳史(数学)
【私の教わりたい先生 特別賞】
野田塾 鈴木 康太(英語)


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