「カード型プログラム」を使って楽しく、わかりやすく課題解決力が身につく、
(株)プログラぶっくの「プログラ道場」
プログラミング的思考力とは、目的を達成するための課題や問題点を見つけ、それを解決するための手順(アルゴリズム)を考え、実行する力のこと。
今後どんな分野や職業においても必要とされる「プログラミング的思考力」を、「カード型プログラム」を用いて身に付けられるのがプログラ道場だ。しかも誰でも教えることができ、リスクを少なく、低コストでプログラミング講座を導入できるという。
株式会社プログラぶっく 大木章 取締役(以下 大木氏)、飛坐賢一 代表取締役CTO(以下 飛坐氏)、大木奈美 代表取締役(以下 奈美氏)にプログラぶっくの開発の経緯と特長などについて話を伺った。
「地域格差」「経済格差」「講師不足」の課題を
解決するプログラミング教室
株式会社プログラぶっくが設立されたのは2018年12月だが、2016年末には大木氏と飛坐氏でプログラぶっくプロジェクトをスタートさせていたという。当時、大木氏はテレビ番組やイベントなどのプロデュースを行っていて、飛坐氏はゲーム制作会社でプログラマー・ディレクターとして数多くの有名タイトルのゲームをリリースしていた。飛坐氏は2020年度から始まる小学校でのプログラミング教育に関して何か提案してほしいとある企業から頼まれ、それを大木氏に相談したのがこのプロジェクトを始めるきっかけになったという。
「ゲームのようなストーリー性、物語の世界を活かしたもので誰でも簡単にプログラミングが学べること、また環境や指導者のプログラミングスキル、費用等のハードルをクリアできること、それらをどう解決するかを考えてプログラ道場を設計しました」と大木氏は語る。
仮説・実験・確認・考察の繰り返しで論理的思考力を育成
これらの課題を解決するために生まれたのが「プログラ道場」だ。
まず、①テキストの課題文をよく読んで、動きを予測し、フローチャートを作るようにカード型チップを並べる。②次に、スマートフォンまたはタブレットで課題文のQRコードと、カード型チップを読み、プログラミングを試してみる。③すると、キャラクターが動き出し、結果が表示される。④うまくいかない場合は、どう修正すればよいかを考え、成功した場合は、どのように考えたのかを説明する。
このように、①仮説→②実験→③確認→④考察→①仮説…という具合に繰り返すことによって、論理的思考力を育成することができる。
また、教師用管理画面では生徒の学習記録が作成でき、一人ひとりのバインダーに学習記録をファイルして面談に活用することもできる。
カードを並べてプログラミングをする利点がいくつかある。①課題文をよく読み、文意を考えカードを並べていく。感覚ではなく思考して作業することを重視する。②指導者はプログラマーでなくても教えることができる。③パソコンの台数など環境に影響されることが少なくプログラミング学習ができる。塾の普段の指導にできるだけ近づけることを最優先に開発したのがプログラ道場である。
プログラ道場の大きな要素は課題文にある。今まで制作した様々な課題文には楽しい物語からSDGsをテーマにしたもの、すべて英語で書かれているものなど様々だ。こういった物語や課題文の世界観を楽しんでもらいながらプログラミングを作っていくという国語的な要素がかなり盛り込まれているのも特徴だ。
覚えるのではなく、自発的に考える力を養う講座
「プログラミングの入門としてはとにかく極力簡単にして、子どもたちには〝なんだ、プログラミングって簡単なんだ〟と思ってもらい、教える先生も〝これなら簡単に教えられる〟と思い、もちろん保護者も〝わかりやすくて簡単〟と思ってもらえるようなシステムにしました。アプリのインストールも不用で、スマートフォンでQRコードを読み込むだけでOKです」と語るのは、プログラ道場を開発した飛坐氏だ。
飛坐氏によると、「プログラミング的論理思考」とは、平たく言えば「とことん考え抜く力」のこと。もう少し具体的に言うと、「的確な指示を出す力」だ。コンピュータ自体に「判断能力(考える力)」はない。高速で計算をすることは得意だが、与えられた命令を愚直に実行することしかできない。そのため、どれだけ例外的なことであっても、「AのときはBをしてね」「CがDに変わったら、Eをしてね」と、あらゆる状況を想定して明確な指示を書いておかなければならない。「プログラミング的論理思考=とことん考え抜く力=的確な指示を出す力」というわけだ。
一般的にプログラミングを学習するには、パソコンの操作方法、アプリ・ロボットなどの使い方、使用するプログラミング言語の仕様など、多くのことを覚える必要があるが、言い換えると、本来学ぶべき「プログラミング的論理思考」を学ぶ前に様々な〝挫折ハードル〟がいくつも存在するのが現状だ。だからこそ簡単に取り組めて、考えることに注力を注ぐプログラ道場を開発したというわけだ。
「プログラミングとは〝コンピュータに指示を出す行為〟に過ぎず、その結果として何か大きな目的を達成することがゴールです。だからこそ、〝プログラミングを学ぶこと〟を目的とせず、〝課題解決の手段としてプログラミングを学ぶ〟という姿勢が先生も保護者も必要です」と飛坐氏は述べる。
また飛坐氏だけではなく、プログラミング教育やDXの専門家が必ず言うことは、「失敗(間違い)を責めてはいけない」。むしろ失敗するのは当たり前という感覚を植え付け、「失敗に気づくことは正解に近づくための大事な1歩である」という感覚を子どもたちに伝えてほしいとのことだ。
プログラ道場は小学校低学年からでも、初めてプログラムを体験する中学生でも学ぶことができる。読み解く課題文によってレベル分けをすることができるからだ。「プログラミングをきっかけに国語や算数・数学がやっぱり大事だよね」という流れで、ぜひ本科生を増やしていただきたいというのがプログラ道場のコンセプトである。塾へ通う入口づくりに考えてみてはいかがだろうか。
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