教育資源としての民間教育 第58回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
全国学習塾協会は業界の「防波堤」
学習塾はこれまで通りの、自由に営業していくという姿勢ももちろん重要ではありますが、「国や行政も関係ない」といえる時代ではなくなってきています。全国学習塾協会は現状の世の中において、学習塾が健全に存続していけるように、ある意味での「防波堤」の役割を担っています。「防波堤」がなければ人は安心して海岸線沿いには住めないものです。
みなさまが自塾で授業をし「成績が上がった!」、「志望校に合格した!」等の子どもたちと講師の喜ぶ姿が嬉しくて塾を経営されている方も多いと思います。僭越ながらその裏には全国学習塾業界が、業界で唯一の公益法人として、国との折衝ができる団体であることで、健全に学習塾が営業できる環境を維持しようと役員一同精進しています。また当協会へ日頃、ご理解ご協力をいただいている全ての学習塾、企業様、個人様には改めて御礼を申し上げます。
今の日本の教育を考えれば、民間教育抜きには語れない現状があります。公教育だけではカバーしきれない分野を様々に補完して、子どもたちの学びを支えて伸ばしてきたのは、我々民間教育と自信を持って言える方々が業界には多いと思います。多様な人材を世の中に輩出し、また基礎学力も支えてきながら、日本の発展に寄与してきたことは言うまでもありません。
しかしながら、現状の公教育行政は「三重・四重行政」となっていて、民間教育と積極的に連携・協業し、参画させようという姿勢にあるかと思えば、そういった仕組みが十分ではないのが現状です。特に地方においては民間教育を重要な資源として認め、運用している自治体は、近年ようやく増加してきていると感じる程度です。
民間教育という産業は、国の基幹産業にもなり得るほどの社会的意義を持ちますし、その使命責任も、昨今の社会情勢からすればますます高まってきていると思われます。戦後、エネルギー産業が国の基幹産業になったように、教育は国の基幹産業になってしかるべき時を迎えているように思えます。
最後に、ぜひ全国学習塾協会と、学習塾( 民間教育) の国に対する影響力のために、そして全国の塾の教室現場と子どもたちの未来のために、全国学習塾協会の活動にご理解いただき、協会未加入の事業者の方はご加盟していただけますよう、毎号にわたり恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。