AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第67回
ウィズコロナの下、早く活気のある社会に
2月に入って新型コロナウイルス感染症の新規感染者が急速に減少し始めた。政府が規制緩和を打ち出し、外国からのインバウンドを受け入れ始めたにもかかわらず、全国のすべての都道府県での新規感染者は減少傾向にある。
ただしコロナによる死亡者は減少していない。高齢者で基礎疾患を持った方の死亡者は高止まりしたままだ。感染者が低年齢まで広がり、無症状や軽症で学校や保育園、塾などで感染してそれが家庭内感染に、そこから企業内感染や家庭内の高齢者感染になっていくケースが報告されている。
政府は5月の連休明けからコロナ感染症を二類から五類に変更すると発表した。ほかのインフルエンザと同等の扱いにするということだ。しかしこのコロナウイルスはしばらく何回かの小さな波を作りながら続いていくのではないか。
100年以上前のスペイン風邪もウイルス感染症だった。この時のウイルスがH1N1亜型だとわかったのは1997年平成9年のことだ。その当時のウイルスが生き延びて、現在でもインフルエンザとして時に数多くの感染者を出している。
スペイン風邪当時の世界人口は約18億人。死者数は2000万人から4500万人とも、別の推計では6000万人から1億人とも言われている。当時は第1次世界大戦が1914年から始まって18年頃休戦、講和条約を結ぼうとした時期。戦場はヨーロッパ。18年3月にアメリカから起こったこの感染症はヨーロッパに飛び、各国に広まった。各国が感染状況を隠す中で、中立国のスペインのマスコミがこの風邪のような症状を書き立てたのでスペイン風邪と言われるようになったそうだ。当時はウイルスということはわからず細菌による感染だと考えられていて、治療方法が確立されていなかった。1920年頃ほぼ収束に向かったものの、その後も数回小さな波を繰り返して、H1N1型という言葉は現在のインフルエンザでもよく使われているようにウイルスはしっかりと生き延びているようだ。ジョンズホプキンス大学の発表では2月上旬の世界の感染者数は6億7000万人。死亡者は680万人を超えたという。
世界の人口はご存じのように1950年代の後半から、人口爆発と言われる急速な人口膨張が始まり、昨年80億人を超えたと言われている。スペイン風邪とほぼ同程度の死者数と考えれば、1%から5・4%で計算すると8000万人から4億1000万人の死者数になる勘定だ。
ウイルスに対する治療法、感染防止策も各国で行われ、ワクチンの接種も世界中で行われている結果がこの程度で収まっているのだろう。しかしウイルスはしぶとい。10年も20年も生き延びて、新しいインフルエンザの一種として何回もの波を作って襲いかかってくる。すっかり根治してしまうことは不可能だ。
さらに政府は密室や人混みの中を除いてマスクを外すことを推奨し始めた。諸外国ではマスク姿が見られなくなって来ているのに日本はほぼ全員がマスクをしている状況は異様だということらしい。学校では教師が率先してはずす。体育の時間などでは運動のあと、マスクを外して深呼吸をするなどの指導をするようだ。マスク社会からの脱皮、ウィズコロナの下、活気のある社会に早く戻ることが出来るのだろうか。