AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第70回
引き続き新型コロナ感染防止策を講じ、安全・安心な学習塾に
今年のゴールデンウィークの人出は久しぶりにすさまじかった。4月28日からゴールデンウィークの終わるまで高速道路、新幹線、各地のイベント会場の人の波が連日ニュースで報道され続けた。コロナウイルスから解放されて初めての連休。8月のお盆の時の雑踏以上に外国人のインバウンドの急激な増加も加わってホテルもほとんど予約が取れなくなっているという。弱毒化したとはいえ、コロナ感染者数はゴールデンウィーク頃には増加のピークが来ると一部では伝えられているのにだ。
新型コロナ感染症のパンデミックがほぼ終わりを告げた。弱毒化され2類からインフルエンザ並みの5類への移行も、感染しても大して心配ないという思いからだろう。
3月にマスクの着用の義務が本人の判断次第に変わり、ゴールデンウィーク明けに政府は5類に指定した。世界保健機構( WHO ) のテドロス事務局長も2020年1月以来の緊急事態宣言を解除すると発表した。
まさにコロナウイルスは終息したかのような行政の動きに、長い間耐えてきた人々の解放感が一気に爆発したかの感がある。
これは大変怖いことだ。特に学習塾経営者など若年層の若者が集まる業界が、手放しで無警戒になってしまった場合とんでもないことになる恐れがある。
世界各地ではコロナ感染者が増え続けている地域がいくつもある。日本も現在1万人以上の感染状況が若者中心に続いている。それがゴールデンウィーク明けから、毎日の発表がなくなり、気にしなくてもいいという共存状態になったのだ。現在若年層を中心に感染が続き、それが陽性であっても軽かったり無症状であったりして、隔離もされずに日常生活を続けるようになっている。感染した意識がないまま、自宅に帰り、家族間感染、あるいは職場感染が起こっても弱毒化されているから病院に行く人も行かない人もいて、危機感がなくなっている。最終的にはほぼ全員が感染して、体内に抗体を持って収まってくるということになるのだろう。しかしその間、高齢者や基礎疾患を持った人が感染すると、重症になる危険性が指摘されている。依然として政府は60歳以上と基礎疾患を持った人に対してワクチンの接種を呼びかけ続けているのだ。
経済が回り出した。飛行機や新幹線が込み始めた。イベント会場が活気を取り戻した。しかしそこには危うさが見えている。
塾の経営者はどのように対応したらいいだろうか。まずは従来通り、手洗いと消毒は続けるべきだ。マスクも密になる状態ではつけることも必要だ。熱のある生徒や体調不良の生徒は、休ませて何らかの方法で補講をするようにする。さらに家族に感染状態が起こっている生徒を常に監視して、ほかの生徒に感染拡大を起こさないよう努力すべきだろう。警戒しなくなってフリーの状態になることで一気に拡大する中に巻き込まれないようにしてほしい。これからの3カ月、半年程度をしっかり自塾が感染源にならないよう注意していただきたい。
今まで以上に感染しないような注意書きを掲示し、そこまで気を付けているのかと保護者が安心して我が子を通わせたくなる姿勢を見せてほしい。それぞれの地域で話題になるような、コロナに関してはあそこなら安心して通わせられるという評価を得られる塾の姿勢を持ちたいと思う。生徒や親、地域の安心安全を第一に行動してほしい。