第30回記念 興学社大学
君よ、創立50周年への輝ける旗手たれ!
9月1日(金)、2日(土)、3日(日)の3日間にわたり、(株)興学社【池田晃学園長・代表取締役社長)は東京都多摩市の多摩永山情報教育センターにおいて、第30回記念 興学社大学を開催した。テーマは、「君よ、創立50周年への輝ける旗手たれ!」。
コロナ禍により昨年はプログラムを1日に凝縮しての開催となったが、今年は4年ぶりに本来の形式で3日間連続での開催が実現した。ここでは1日目の研修を中心に、その様子をレポートする。
800名を超える参加者が結集!過去最高の感動と学び
「民間教育のあるべき姿」を一貫したテーマとして、1992年に始まった興学社大学は、今年、第30回の節目を迎えた。奇しくも興学社の創立40周年と重なり、同社の取り組みが長く評価されてきたからこそ迎えることのできた記念すべきイベントとなった。会社イベントを重視する理由として、池田社長は「企業文化の推進」を挙げる。イベントが社風を進化させ、それが文化として定着することで企業として成長、発展していくのだという。
この興学社大学は、民間教育こそ日本の人財育成の要であるという強い意志をもって30年にわたり開催され続けてきた。そして、社内スタッフのみならず広くその門戸を開き、同志となる民間教育、学校、そして取引先企業や金融機関まで、毎年、多くの社外関係者が参加する。今年は800名を超える参加者が集まり、過去最大規模となった。4年ぶりの開催とあってこの日を待ち望んでいた多くの参加者と、満を持して臨む運営スタッフ、そして情熱あふれる講演者によって、過去最大にして過去最高の興学社大学となった。
「夢」を語り尽くす 創立50周年に向かって
池田 晃 氏 (学園長/代表取締役社長)第1講座より
池田社長は、「あっという間の40年だった」と振り返る。「生徒のニーズに応えて事業を拡大、多角展開し、『全ては生徒の為に』、『全ての生徒の為に』との思いで、多様で本質的な教育の実践を追求し続けてきました。そして企業として存続し続けるために、40年間ひたすら追いかけてきたのが、〝全事業部黒字化〟です。それが今年、いよいよ実現できます」学習塾に始まり、パソコン教室、英会話スクール、大学受験予備校と多角化を推進し、現在は日本語学校、技能連携校、保育園、音楽教室など全15事業部を運営する興学社。今期(第40期)その全事業部の黒字化が現実のものとなったのだ。
「なんと感慨深いことでしょうか。本年、興学社学園グループは全100校舎に達しました。私は常々〝プラス1の斗い〟と言い続けてきました。全ての部門で生徒数増、黒字化を実現できることは、何より素晴らしいことです。
盤石な基盤を築いた今、私たちはさらに大きな挑戦が可能になりました。未来に向かって夢を実現するのは、次世代を支える若者たちです。今こそ、そのための礎を築いていく所存です」
池田社長は、未来の日本を支える民間教育に自らの人生を捧げると述べ、ぜひともみなの力を貸してほしいと訴えかけた。そして、実現すべき夢として学習塾部門全校舎の集団指導・個別指導のコラボ化、英会話スクール部門倍増計画、技能連携校の100校全国展開、日本語学校の関西校設立、海外校の展開、介護事業参入、専門学校運営などを掲げた。
現在15の事業部があるが、あと5つの事業部をつくりたいと池田社長は述べ、過去最大の成長期に備え、組織改革をすると発表。経営企画室、店舗開発室、情報システム部、採用戦略室、研修センターを設置し、技能連携校100校開校プロジェクトチームを設置することも発表した。同社の経営理念・教育理念である『興学思想』には、「一人で見る夢はただの夢。皆で見る夢は現実となる夢」とある。池田社長は「みなで夢を実現しよう」と力強く語った。
塾の未来を熱く語る次世代リーダーたち
1日目、池田社長に続き、第2講座以降は学習塾部門の次世代リーダーたちが次々と登壇し、塾の未来構想を情熱的に語った。興学社は今年の春、JR八王子駅前の商業ビル「八王子オクトーレ」に、集団指導の学習塾プリンス進学院の他、個別指導Wings、東進衛星予備校の3校を同時開校する大型プロジェクトに取り組んだ。巨費を投じて壮麗に仕上げられた学習環境は、多くの生徒に選ばれ、開校から半年で320名以上を集めた。プロジェクトリーダ―を務めた副学園長・取締役第一統括本部長の祢津修氏は、「未来は自分で掴むもの」と力強く語る。
「未来を切り拓くマインドは〝やる〟と決める覚悟だ。可能性を広げ自らの強みを活かし、チームで斗うこと。そして誰にも負けない情熱を持つこと。不足条件はいくらでもあるが、〝失敗するリスク〟よりも〝何もしないリスク〟のほうがはるかに大きい。もっともらしい理屈を述べて失敗を遠ざけていては、そこに成長はない。覚悟を持った人財こそ未来を切り拓く」と訴えた。
続いて、第3講座を担当したPRI事業部(集団指導塾部門)副部長の浅香光利氏は、「4年前に比べると体力は確実に増している。新型コロナウイルスによる全校一斉休校の際、〝学びを止めるな〟を合言葉に、幹部が毎日けんか腰で議論をした日々は、私たちを確実に強くしました」と語る。
「45期62校7200名を達成するために、興学教育の強みを活かした、尖った教育サービスをここから作っていく」と浅香氏は宣言。興学社学園は「どんな生徒でも必ず救ってくれる塾」であるべきだという。「〝私がやらねば誰がやる!〟の精神を全員が持ち、ビジネスモデルを陳腐化させずに、常に進化させていかなければならない」と語った。
次の第4講座で登壇したのは、集団指導・個別指導・そろばんのコラボで1教室に500名の生徒が通う若葉台校の塾長、山本一輝氏である。活性化する校舎運営の秘訣として「決して現状維持ではなく、高い目標を設定して挑戦すること。目標を宣言し、他人の目にさらすこと。〝今の自分はできていない〟という事実を受け入れること。そして〝結果が全てである〟と認識すること」と熱く語った。
コラボ戦略は、続く第5講座にてPKG事業部(個別指導塾部門)副部長の多田誠氏がより具体的な事業計画と未来構想を発表。今年の春に管理職として着任したばかりの多田氏は、半年を振り返り「大変ではありましたが、挑戦することが楽しいという気持ちの方が大きかった」と語る。これまで集団指導塾部門に比べて規模が小さかった個別指導塾部門だが、これからコラボ戦略によって拡大を図る。コラボ校は、それぞれの役割を明確にし、相互に理解することが最も重要だという。それぞれが役割を全うするためのプライドを持った集団であるべき、とのこと。「コラボによって、生徒のためのより良い学習環境が整備されます。10年後には生徒数4000名を達成することをここに誓います」と、多田氏は力強く語った。
〝学びをアップデートせよ!〟民間教育に力強いメッセージ
千島 克哉 氏 (株式会社 城南進学研究社 専務取締役執行役員COO)
第6講座 特別講演 民間教育の未来より
興学社と同じ神奈川県川崎市に本社を置く(株)城南進学研究社は、1961年の創業以来、塾業界を牽引してきた。千島氏は興学社大学の素晴らしさに魅せられて、2006年以来毎年、参加し続けているという。
城南進学研究社が考えるVISIONとは、「ワクワクする未来」のことだ。「ワクワクする未来が言語化できていたら、こんなに楽しいことはないだろう」と千島氏は述べる。背景には、今という時代と社会を表すキーワード「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性からなる頭字語)」がある。
「コロナもあったし災害もあったし、戦争もあるかもしれない。もう過去の延長線上に未来はない。このような時代の中で、では教育をどうしようかというとき、〝この時代に必要な教育を届けよう〟というのが私たちの考えです。こういう時代だからよかった、と言えるようなものをたくさん作ることができるかどうか。それは、作ろうと思えるかどうかであって、もし作れたらワクワクしますよね」と、千島氏は会場に問いかける。
様々な社会課題が山積する中、企業の使命は「社会課題の解決」にあり、企業は掲げた看板(理念やVISIONなど)に「いつわりなし」の経営をする必要があるという。そうでなければ社会的信用を失う。「興学社大学という研修を3日間に及んで実施する興学社は本当に素晴らしい。社会から支持されている。私もずっと参加させていただいて、大変得るものが大きく、とても感謝しています」と述べる千島氏。
そして、多くの社会課題が山積するからこそ、日本は課題先進国、さらには課題を解決して「課題解決先進国」になるべきだと述べる。課題先進国とは、世界に先駆けて多くの課題を抱え、その解決に向かおうとしている国を指す。
日本は諸外国と比較しても、国が教育のために支出する金額は多くはないという。「その分、各家庭は教育熱心で、自分たちの家計、お財布の中からお金を出してお子さんの教育をしています。そしてその期待に応え続けてきたのが我々民間教育です。この国の民間教育は本当にすごいのです。国がお金を使わなくても、我々の業界がそれをきちんと補っています。だからこそ、我々の力は、国づくりの一端を担うことができるのです」
講演の最後に、「足元の課題を乗り越えて、世界が誇る〝教育立国〟(=ワクワクする未来)をつくりましょう」と、千島氏は笑顔で述べた。
30回記念を彩った感動的な講演の数々
2日目・3日目はビデオ講座や新入社員代表の決意発表、シンポジウムなど多彩な講座が行われた。
第8講座は、WWK関西事業部(放課後等デイサービス・児童発達支援部門)副部長の保木彩美氏が、現在の公教育の枠組みでは居場所を作ることができない子供たちの悲痛な現実を訴え、続く第9講座では、興学社大学初の試みとなる、PEG関東事業部(英会話スクール部門)の外国人講師4名によるディスカッション形式の研修が行われた。テーマは「ここが問題!日本の英語教育の実態」。
ビデオ講座を挟み、続く第11講座では、株式会社サイラブ代表取締役の白井孝明氏が登壇した。国語、読解力をテーマとして、参加者が実際に問題を解き、それを解説する形式で講演が行われた。
続いて第12講座は伝統の「動機付けプレゼンバトル」。これは学生の時間講師が会場の参加者を生徒に見立て、学習への動機付けを行い、参加者の投票によって「誰が最も説得力があったか」を決めるものだ。その完成度の高さには、白井氏も絶賛したとのこと。第13講座のシンポジウムでは、各部門の代表者が第1講座の池田社長による「夢」を引き継ぐ格好で具体的な事業部ビジョンを語り、第14講座は興学社の経営理念・教育理念である『興学思想』をテキストに、池田社長が「興学社十訓」の解説を行った後に参加者からの質問に回答するQ&Aを実施した。
3日目はビデオ講座から始まり、続いて第16講座では新入社員2名(森田啓仁さん・三井美咲さん)による決意発表が行われた。
第17講座はコロナ禍の影響を最も大きく受けたSKK事業部(日本語学校部門)校長の佐藤英子氏が登壇、コロナ禍の苦闘とV字回復への軌跡を語った。第18講座は、2日目に続いて『興学思想』をテキストに、仕事観や人生観をPEG関東事業部部長の高田純恵氏が伝えた。第19講座の2名の体験発表では、初めにSBN事業部(そろばん教室部門)のパートスタッフである照屋利枝子氏が登壇、自身の闘病生活に重ねながら教育の魅力と尊さを訴えた。続いて興学社高等学院の在校生による体験発表が行われ、小中学生時代の壮絶ないじめと不登校の経験を経て、興学社との出会いで笑顔を取り戻すことができたと語り、会場を大きな感動に包んだ。彼女の夢は「興学社の先生になること」だという。
第20講座は大型プロジェクトが進むKHS事業部(技能連携校部門)部長の佐藤純平氏がその使命と全国展開への夢を語り、第21講座は30年のキャリアを持つ教務部長の大谷亮次氏が、その人生を振り返り、教育者の魅力と責任を訴えた。数多くの生徒・卒業生との交流を写真と共に紹介し、参加者の教育者魂を揺さぶった。現在、興学社は全スタッフの45%が卒業生で構成されているとのこと。教育者としての真剣勝負と魂の触発こそ成長への原動力であると語った。最終講座は池田社長が務め、3日間の興学社大学は幕を閉じた。