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    教育支援フォーラム~子どもたちに夢を!~

NPO全国家庭教育支援センター 主催
教育支援フォーラム~子どもたちに夢を!~

2023-11-01

7つの分科会が研究内容を発表
後援:愛知県教育委員会・岡崎市・岡崎市教育委員会●公益社団法人全国学習塾協会● AJC全国学習塾協同組合

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2009年「教育の原点は家庭教育にある。」「親が変われば、子どもは変わる。」 をモットーとし、家庭教育の重要性を礎に「子育ての伝承」活動の深化を目指して設立された「NPO全国家庭教育支援センター」(理事長 山本チヨヱ氏)。2022年には、組織内にJPN(Japan Parenting Network)を立ち上げ、7つの分科会が発足した。去る9月23日(土)、分科会の研究発表会が開催された。
理事長 山本チヨヱ氏の開会の挨拶のあと、特別イベントとして(株)ディープ・ジャパン 浅井久仁臣氏が「戦争報道・徳川研究・そして子育て真っ最中」と題した講演を行った。来賓として、愛知県議会議員 中根義高氏、岡崎市議会議員 中根武彦氏が挨拶。分科会を代表して中村玉子氏が挨拶後、【第1部】7つの分科会のグループリーダーの発表。【第2部】公益社団法人全国学習塾協会 会長 安藤大作氏とAJC全国学習塾協同組合 理事長 森貞孝氏との基調講演が行われた。最後にトークセッションが繰り広げられた。大変内容の濃い充実した時間を共有し、終日会場は熱気に包まれた。第1部と第2部から概要をご紹介する。

■第1部 分科会リーダー発表■

第1分科会「幼児期の家庭教育の楽しさ」
株式会社サイタコーディネーション代表取締役 江藤 真規 氏

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子育てというと大変だというイメージがあり、データでも子育ての負担感が大きくなっているのがわかります。私たちはまず子育ての難しさを徹底的に洗い出しました。大きく分けると「自分軸がもちにくい」「コミュニケーションがなかなかとりづらい」ことでした。子育ては難しい営みかもしれませんが、子育てから生まれる喜び、子どもの存在によって自分が親にさせてもらった喜びなどがたくさんあることがわかりました。そのような言葉を外に発信していきたい。また、苦しいと感じてしまうことと喜びに感じることにはどのような違いがあるのか、勉強会を継続。
子育て支援で必要なものは子どもを預かってくれる場、子育ての相談に乗ってくれる場だと感じます。預かってくれる場はかなり広がっています。相談に乗ってもらえる場はどうか?子育て中の方が求めているのは、専門家に聞くほどではないけれどちょっと気になることを聞ける場だと思います。そこで予防的な取り組みで行動を起こしたい。各地域には、子育ての経験をしてきた人、悩み、悲しみのどん底から這い上がり喜びを得てきたたくさんの人々がいる。人という貴重な地域の社会資源を使って循環していく場づくりをしていきたい。行ったらクーポンがもらえる、地元の取れ立て野菜がもらえるなど私益につながるものをうまく活用して場づくりができるといいのではないか。
子育て真っ最中の方は先輩の意見が聞けて何かもらえる、振り返り子育ての人は自分自身を振り返ることで改めて自分軸を作っていく。1ミリの一歩でも未来を変えることにつながる。未来を変えるというのは創るという発想だと感じます。

第2分科会「自然の中での教育の実践」
根っこを育む自然塾 代表 谷 英樹 氏

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現在、愛知県の三河湾、日間賀島、篠島、佐久島で9歳までを対象にキャンプや釣り、夕陽を眺めるなどといった活動を通して人としての根っこを育むことに力をいれています。
子どもたちの現状、木に例えます。幹の太さが太ければ太いほど能力があるという認識です。苗木を庭に埋め、水と肥料を与えると、この木はどんどん成長します。さらに栄養と水を与え続けるとこの木はどうなるか。土から上は太い幹で枝葉も生い茂っていますが根っこは短いままです。塾や習い事はいっぱいある、食べるものも簡単に手に入る。これが今の子どもたちの現状なのではないか。
大雨や強風がきたら倒れます。幹が太ければ太いほど能力があればあるほど倒れたら起き上がれない。まずはしっかりした根っこを育まないといけないのではないか。生きていく上でとても大切な五感というものがあります。自然の中で遊んでいると自然に敵わないことにぶちあたる。日によって暑かったり寒かったり。だから新たな発見があり考える力がつきます。自然は五感を鍛えてくれます。それが人生を歩んでいくうえで大事なことだと思っています。
自分で考える、決める、行動する、こういったことを子どもたちにとことんやらせて見守ることが大事です。このような体験する場所、自然で遊ぶ場所が日本中に広がり、一人でも多く自然体験を通して自分を変える、知るきっかけになればと思います。内側から沸き上がる興味、やる気はどんどん育ちます。

第3分科会「よりよい教育を求めて」
萬葉学会会員 万葉集 まほろばの会主宰 布浦 万代 氏

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私たちの分科会では義務教育に焦点を合わせながら研究をしてまいりました。文科省によると義務教育の目的は「1人ひとりの国民の人格の完成と国家・社会の形成者の育成」とあります。人格の完成とはどこまでが完成なのか。こういった課題をひとつひとつ分析し4つの課題に絞りました。
①子どもたちの個性や能力が教育現場で引き出されているか。集団教育や受け身的授業に問題はないか。
②偏差値教育や暗記教育に偏っていないか。
③コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の拡充が不十分ではないか。
④小中学校の教員不足と志願者減少問題をどうするか。
詰め込み主義の教育では個性が育ちません。1クラスの生徒数を30名程度にし、教員が一人ひとりの生徒を見る時間が必要。そのためにも教員の働き方改革を早急に進める必要があります。
現在も続く偏差値教育や暗記教育は国民全体で考えていく必要があります。NIE教育や読書の必要性、親近感のある子どもクラブの拡充が必要です。また、コミュニティ・スクールを積極的に進め、学校運営に地域住民が携わることが重要。地域の声を生かし特色ある学校づくりの推進は必須です。また、小中学校の教員不足と志願者減少は学校教育の危機的状況につながっているため、国や自治体と早急に対策を講じる必要があります。
不登校生徒の保護者の心のケアの必要性など課題は多いですが、今後教育の予算を増額し、生徒たち自身が勉強は楽しく面白いと思える授業を創造していくことが求められています。

第4分科会「多様な教育」
大地の学校ロータス 施設長 今井 真央 氏

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岡崎市でフリースクールを経営しています。不登校児は現在25万人、右肩上がりの中、3つの課題を取り上げます。
まずは経済的支援について。普通の小学校に通っている子は年間80万、中学生だったら100万円も公的資金が投入されていますが、フリースクールや民間施設に通うと月平均4万円の負担がかかります。鳥取県では運営費の半分を県が負担、東京都足立区では学校へ行けない親に対してフリースクールや民間施設に行けるように全額自治体で支援しています。教育の経済格差を変えていく必要があると考えます。
2つ目は市が運営する「適応指導教室」。最大のメリットは無料で通えること。ただし、本人や親御さんが希望しても先生の判断次第。解決するために障害の程度や年齢にかかわらずどんな子でも受け入れる枠を作り、多様な職種の人を配置したいと考えます。
3つ目は情報提供不足、認知不足。フリースクールや居場所の案内を掲載したパンフレットを自腹で制作して配布したり、「machiスク」という東海地域のフリースクールや学び場に特化したサイトも構築しました。就学前検診とか保育園、幼稚園を卒業するタイミングで親御さんに前情報としてパンフレットを配りたい。居場所を必要としている親御さんに届くようにしたいのです。現場では、大人や先生が学校に戻したいという気持ちが子どもを追い込みます。大人の意識が変わらないといけない。その子が自分らしく人生を生きられること、社会的自立がゴールです。大人が常識をアップデートしていかなければなりません。

第5分科会「居心地の良い家庭の在り方」
家族が帰りたくなる家 Happy homing
全国ママコミュニティ「ママノユメ教育部」主宰 小田中 美穂 氏

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女性は子育てを通じて大きな変化が訪れます。どんなことに困ったか。ワークライフバランスの難しさ、保育所が見つからなくて、はしごして預けなければいけなかったなどママの苦悩が浮き彫りになりました。育児バランスが難しい。SOSを出せる相手がいなかった。日々のちょっとした疑問が自分を追い込んでしまう。2人目のときミルクで育てて大丈夫かなとか、子育てのやり方がこのままでいいのか不安だったなど。居心地のいい家庭を作るには、小さなSOSが出せる場所や気軽に助けてくれる環境が必要だと感じました。
子育てという文化を伝承する場も必要です。時代とともに社会や女性の働き方が変化しているので、ママ友やご近所のつながり、家族との連携により孤立しないことが最重要。自分の子どもを自分と同じように愛してくれる人を増やしていけば、仕事やいろいろな活動ができます。
晩婚化が進んでいるので出産と同時にお母さんの介護が始まった人もいます。そのためには子育ても介護もチームで乗り切ることが大事。実際に、介護付き次世代シェアハウスなどがあります。子育てや介護について家庭科の授業で学んだり、企業内や行政など社会全体で学ぶ環境づくりが求められています。
子どもを見てほしいという世代と見てあげたい世代をつなぐことも必要。安心して、経済的・心理的支援を当事者目線で。こんな日本で子どもを産みたくないと思わない社会をつくっていけるよう頑張ります。

第6分科会「家庭の健康教育」
医療と教育を考える会 仲田 恭子 氏

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生活習慣病と鬱は、食事、睡眠、運動との相関関係は多くのエビデンスがあります。家庭環境の生活習慣が食事、睡眠、運動にどのような影響を与えているか。
幼少期からの健康習慣は、健全な心と身体の土台として大切です。メンタル疾患が増加している現代において、身体からのアプローチが重要であり、生活習慣の見直しが鬱の予防につながります。
朝起きられないお子さんに対して、身体を暖めることで自律神経が整い、朝起きられるようなケースもあるんです。心と身体を元気にするセロトニンは、朝、太陽を浴びることで分泌されます。これが増えると良質な眠りを誘導するメラトニンが増えるため、ぐっすり眠ることができます。朝、カーテンを開けて日の光を入れてあげる。自律神経を整える中でメンタルの部分の改善もできるのではないか。
「e─ヘルスネット」によると、小児の睡眠不足や睡眠障害が持続すると肥満や生活習慣病、鬱病などの発症率を高めたり症状を悪化させる危険性もあります。環境要因として共働きの増加で、保護者の生活リズムに巻き込まれていることが予測されます。
セロトニンは朝の時間帯に吸収が高まるので朝食の時間に納豆お味噌汁などのセロトニンを作る良質なたんぱく質を摂るのもお勧めです。
医療者がサポートできることは、青少年の健康教育の推進です。家庭と学校、地域社会が協力して取り組んでいく過程で、教育関係者とともに医療者の立場で関わる道筋ができればと思います。

第7分科会「人間力」
一般社団法人ISD個性心理学協会 さいたまの支部長  長島 由美 氏

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未来の子どもたちが安心・安全に過ごせる環境を作るということで、大人が変わらないと子どもは変わらない。子どもが変われば未来が変わります。
日本は素晴らしい国なのに、なぜ日本人は自己肯定感が低いのか。理由は、本来持っている力を認識してないからではないか。本当にすごいものを持っているのに「あなた本当にすごいよね」ってお子さんに言ってあげていますか。
脳は胎児の初期から3歳までにその基礎がほぼできあがります。特に1歳2カ月から半年間は人間の運命の急騰期であるため、この時期にたくさん覚えたものは忘れません。このときにどんな環境に置かれたか、どんな接し方をしたのかが大事。愛情が注がれないと17~18歳の頃に親の愛情を求めるようになります。
じゃあ何をしたらいいのか。親子で関わることを毎月やればいいのです。日本の伝統文化、お雛様ひとつとっても心に影響を与えます。ぜひ年中行事を月1回、子どもたちに話してあげてください。これは人間力を高める一番基本的なことです。四季折々と触れ合い、自然界の法則の中で五感が育まれる。春先に芽吹くのを発見するのは子どもです。子どもの目線で見たものを親が気づいてあげることが重要。誰もができるこうした関係を作っていくことで日本の心を伝えることができると思います。
古くからある行事は子どもの心を強くし生きる力を育みます。今の子どもたちの20年後の未来を創造し、今できることを大人が考え実践するべきです。

■第2部 基調講演■

公益社団法人全国学習塾協会 会長 安藤 大作 氏

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今までの教育は能力をあげることに重きを置いてきました。いろいろなデータで見ますと子どもたちは将来に夢が持てない、自己肯定感が高くないと言われます。
先行き不透明な時代、今まで以上に重要なのは心を育てる、感性を育てることです。自己肯定感が高いから踏ん張れる、乗り越えられる。家庭も含めて皆で考えていかなければならないのは、子どもたちにどう勇気を持たせていくのか、自己肯定感を上げていくのか。奥底のところで、親子のつながりや地域のつながりを感じ、優しさに触れる機会や愛を感じることで自己肯定感が育まれるのだと思います。
まず親が子どもの自己肯定感を上げるために、私が思う一番大切なことは、自分の親に感謝すること。その心の姿勢を持つことで子どもはそれを感じとります。自分が今、親である道筋の中で自分の親に感謝する、親切にする、お墓参りをする。「いつもありがとう」と声をかける。その姿を見せることで子どもは親に感謝して親切にする。そういう循環があると思います。
子育ては人間をつくっていくこと。人間は人の間で人間になる。人間関係に感謝する、今自分があることに感謝する。自分が生きている環境が安全・安心、温かい場所だと心から思えたら、「よし!自分も人のために頑張ろう、役に立とう!」と志を持つようになります。
「あなたなら大丈夫、あなたはすごい可能性がある」と信じてもらえたこと。それは一生役に立つ財産です。親とは子どもの「宇宙一の愛の深い応援団長」。明るく照らし信じて認める。それは目に見えない相続です。

AJC全国学習塾協働組合 理事長 森 貞孝 氏

教育の無償化の現状についてお話しします。今年4月、「こども家庭庁」ができ、現在進行形で進んでいる話がいっぱいあります。大変な勢いで少子化が進んでいます。一番の原因は出産適齢人口の急減。男女、21歳から32歳までの人口のトータルを出すと15年前は1861万人、昨年は1419万人。毎年30万人ずつ減っている。少子化対策の3本柱は、児童手当など経済的支援の強化、幼児教育・保育の通学サービスの拡充、働き方改革です。
現在の教育の無償化の進捗状況です。0歳から2歳までは無償化の対象ではない。民間保育園では自治体が独自に国の基準の1・5~2倍程度をそれぞれ定めています。
「誰でも子ども通園制度」が始動。生後6カ月から3歳まで、親が働きに出ていてもいなくても保育園に預けられる制度です。週に2回、1日2時間預けて保育園の人と話すことでストレスも軽減。すでにモデルケースとして31地方自治体50施設でスタートし、大変な人気です。1日1000円1週間で2回預ければ、のんびりでき相談もできます。子ども誰でも通園制度に対しては生活保護世帯と非課税世帯は無料。3~5歳までは完全に無償化の対象。小学校入学まで幼稚園、保育園、認定こども園を利用するすべての子どもたちの利用料が無償化。ただし幼稚園については月額上限があり、送迎日、食材料費、行事費等は対象外です。
小学校1年から中学校3年までの授業料は無償化。教科書は「教科書無償措置法」により現在は国公私立ともに無償化。給食費は一部の自治体が無償化しており、ここ1、2年無償化するところが増え(現在3割超)ました。
高校1~3年生、高等教育無償化は2010年にスタート、2014年には授業料が親の収入によって無償化。給付型奨学金、児童手当の拡充、出産時の経済的負担の軽減が3種類、いろいろと進行中です。

その後、山本チヨヱ氏、森貞孝氏、安藤大作氏によるトークセッションが繰り広げられ、熱気に包まれながら教育支援フォーラムは幕を閉じた。

NPO法人 全国家庭教育支援センター
2009年設立。「親が変われば、子どもは変わる」をモットーに、家庭教育の
重要性を多くの方に認識していただくための活動を行っている。教育機関・保
護者・各団体を対象に、ニーズに合わせた家庭教育講演会を過去70回開催。
https://www.kateikyoiku.net/


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