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すららネットFORUM 2023
立場を超え、教育の今と未来を考える

2023-12-01

AIを活用したアダプティブな対話式ICT教材の開発と提供を行う株式会社すららネット(湯野川孝彦代表取締役社長、東京都千代田区)は、2023年10月18日(水)から21日(土)の4日間、全16テーマで教育の今と未来を考える「すららネットFORUM2023」をオンラインにて初開催した。
学校、学習塾、家庭学習などの業界、政策立案や教材開発、現場での教務、保護者サポートなど、教育の最前線で活躍する34名を招聘。教育課題を多角的にとらえ、子どもたちの未来のために私たち大人ができることを共に考える機会にするための議論が行われた。16テーマから3テーマをご紹介する。

「すららネットが考える教育の未来」
株式会社 すららネット 代表取締役 湯野川 孝彦 氏

データから読み解く国内外の教育の現状と我々の目指す社会

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ご存知の通り15歳未満の人口は減少の一途。2020年対比で2030年は17%減、2040年は26%減、2050年は36%減と半分になっていく推計が出ています。これに呼応して学校数も減。小学校は直近20年で約2割の減少、中学校は1割の減少、教員数も減り、大きな課題となっています。
一方で子どもたちの多様性の問題がより顕在化しています。いろいろな教育機関、学校や学習塾で定員を維持しようと思うと、これまで入塾させていなかった学力の生徒をとっていかざるを得ません。つまり少子化では、低学力の対応が非常に重要です。教育リソースが減っている中で多様性およびインクルーシブ教育に適切な支援と配慮をしなければなりません。
子どもたちの社会的スキルやコミュニケーション能力育成の問題も挙げられます。最終的には社会に出て活躍できる大人を育てるために、モチベーションや子どもたちのマインドセットを考慮しなければならない時代です。
また、国際的視野やグローバル競争力向上を図るために、他国に比べて低いと言われる日本の若者の自己肯定感、学習モチベーションの向上を「すらら」でカバーできないかと考えています。次に先生の問題。いろいろな多様性に対応していかなければならないので教師の質や能力の向上を図る必要があり、DXをいかに進めていくかが大きな課題だと思います。 
オンラインでコストをかけずに国際交流もできる世の中になってきました。そのほか、いじめ、不登校、特別支援教育、家庭の貧困、外国児童生、いずれも重要度が高く、個別の対応をしなければならないがリソースが足りません。
海外に目を転じますと、およそ2億4400万人の児童生徒(6~17歳)が学校に通えない状況。日本としても支援しなければならないと思います。

●課題のまとめ

① 個別最適化による多様性への対応
ICT、AIの個別最適化の技術を活用し、児童の特性に合った学びに貢献。「EdTech」で多様化への対応はサポートできるのではないか

② 教員の養成とDX推進による負担の軽減
先生方のデジタルのリテラシー、マインドセットの啓蒙、教育、サポートに力を入れている。EdTech業界全体でやっていくべき

③21世紀型スキルの習得
これもデジタル化が進みつつある

④ 国際化への対応
インドネシア、スリランカ、フィリピン、エジプトなどの生徒もオンラインで参加できる国際交流イベントなどを実施

⑤ 公教育と民間教育の連携
共通の未来を見据えて学習ログを通じた情報連携により学習者への重層的な支援を実現。一つひとつの課題について4日間を通してセッションを繰り広げます。

「不登校29万人時代の学びの場として、メタバース・フリースクールの立ち上げで見えたもの」
株式会社 成基 代表取締役 佐々木 雄紀 氏

オンライン(メタバース)フリースクール立ち上げの背景・経緯

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教室勤務時代に不登校のお子さんやご家族に対する自社の支援不足を痛感したことがきっかけとなり、不登校の小中学生を対象としたオンラインフリースクール事業「SINGAKU」(シンガク)を2023 年6月に開校しました。学校に通うことが難しい小学生・中学生に新しい学びの機会とオンラインを通じた人とのつながりの場を提供。自己肯定感の醸成と社会的な自立を支援することを目標にしています。
背景として、不登校児童・生徒数の増加(1991年から2022年)が挙げられます。2022年時点で中学生は19・4万人、小学生は10・5万人、合計29・9万人が不登校と報告されており、過去最大。
小学生の不登校の割合が7年で4倍以上に増加。中学生は2倍、急激に増えています。

オンライン(メタバース)フリースクール〝SINGAKU〟6つの機能

① メタバース世界での疑似的な学校空間
平日の月曜から金曜(10時から18時の間に常時メタバース教室を開講し居場所を提供)毎朝の朝礼・集まって昼食・1日1時間から1・5時間みんなで勉強。雑談や面談、個別指導などをメタバースで実現

② オンライン個別指導を通じた対人フォロー
週に1回、1対1のオンライン個別指導(60分)を提供。わからない問題などへの回答や家庭学習のモチベーション維持、コミュニケーション力の向上が目的

③ グループチャットにおける生徒間の交流
連絡や案内は生徒とSINGAKUの先生のみが参加するチャットツール上で実践。チャットでお互いの好きなものを通して交流する

④ ゲーム世界での学習体験
楽しく学べる新しい教育の機会を提供するためゲームを有効活用例)マインクラフトの世界で歴史を学ぶなど

⑤ 無学年教材「すらら」提供と学習管理
出席扱い制度の認定教材としての実績がナンバー1出席扱い制度適用7つの要件をすべて満たす(IT教材である)

⑥ 出席扱い制度の積極的活用
出席扱い制度とは、文科省が定める不登校支援に関する制度特定の条件をもとに小学校中学校の校長が生徒ごとに認定すると家庭学習を出席扱いとして成績評価が可能に

オンライン(メタバース)フリースクールの立ち上げでみえたもの

令和元年、文科省により不登校児童・生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指すことが明言された。学校に限定せず、様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うという方針です。
学校の先生は忙しすぎて文科省の方針は浸透しておらず、不登校児童・生徒の個別サポートには限界があります。保護者は、勉強の遅れや将来・進路が気になりますが、誰に相談したらいいのかわからず、サポート体制が社会的に不足しています。
教育支援センターや不登校特例校は、「学びの多様化学校」に名称が変わり、国は300校まで増やすことを目標にしています。日本の現行法では、義務教育である中学校段階において通信制の中学校は認めておらず、あくまで一条校(地元の公立の学校や私立)に在籍しながら塾的に通うことになります。民間のフリースクールも同様です。
「学校に無理に行かなくてもいいよ」「フリースクールに行けばいいよ」。本当にそうなのか、これでは問題の本質は変わりません。子どもへの適切な教育の機会と社会的自立の支援を国、行政、民間、我々大人、社会全体で真剣に考えていかなくてはいけないフェーズに来ていると思います。全国の塾の皆様と連携して不登校支援の輪を広げていけたらと思います。

特別セッション
「少子化、DX時代における学習塾の新たな役割とそのための人材育成」

進館 株式会社 代表取締役社長 筒井 俊英 氏
株式会社 プロジェクトリーズ 専務取締役・塾長 石田 栄治 氏

[モデレータ]
株式会社 すららネット 代表取締役社長 湯野川 孝彦 氏
※以下、敬称略。

学習塾を取り巻く環境の変化

湯野川 少子化についてどのように捉えていらっしゃいますか?
筒井 創業から43年、私たち英進館は少子化が続く中でも幸い売上げが前年割れしたこともなく、生徒数も堅調に推移してましたから、以前は正直大丈夫だと楽観視していた部分もあったのですが、加速する少子化の実態について、統計上および肌感覚でもここ数年は危機感を感じています。
英進館は1教室あたりの生徒数が平均で500名と他の塾さんよりも多めで、中には1000名を超えている教室もあります。多くの塾がこの30年間、少子化といういわば氷河期にしっかり対応すべく、体を小さく適応させて耐え抜いてきた中で、気がつけば英進館だけがマンモスのままなのではないか。という危惧が湧いて来ました。そこで今後大きな環境の変化が起きたときのことを考え、そんな英進館を変えるために、今春、新ブランドの少人数制個別指導「ミラクル英進館」を開校しました。
石田 今後、2027年に向け超少子化が進む中、逆らえないほどの波が来ると思っています。ハンガリーでは2011年に1・23にまで低下した出生率が2020年には1・56まで上昇。3人目が生まれたら住宅ローン帳消し、4人目が生まれたら所得税の免除という少子化対策によるものでした。日本は現在1・26。異次元の少子化対策が、今の子育て世代だけではなく、これから結婚をして子どもを生みたいという世代への支援や政策が増えていくなら期待したいが、
待っていても状況はよくならない。私は第二次ベビーブーム世代、毎年200万人以上生まれた世代です。日本は2022年の出生数が80万人台を割り、2023年も80万人台を割ると思われます。200万人が80万人になるというのは大都市が消滅するのに匹敵します。校舎展開をしなければ既存の校舎の目減りは避けられない状況になっています。
筒井 英進館では、「ミラクル英進館」のほかに「官民連携」を推し進めています。自治体や教育委員会から話が来たら、できる限り受けるようにしています。学校での出張授業、保護者様団体を対象にした講演、教育委員会からの依頼で教師の研修用として英進館公開テスト問題の提供、教育改革に関する講演、校長会での講演や模擬授業の実演などです。自治体、学校と協力体制をとることで将来、少子化への対抗策につながることも視野に入れつつ、一つひとつを積み上げています。
石田 少子化により、これから地域のインフラが維持できなくなったり、労働力そのものが希少化するなど、教育業界も二次的な問題が出てくると思っています。
筒井 AIが発達して人間の仕事にとって代わると言われていましたが、蓋を開けてみると大変な人手不足。教師が採用できなくて閉鎖に追い込まれる…なんて塾も今後出てくるのではないでしょうか。

変化する環境の中、学習塾の新たな役割、戦略とは?

[上] プロジェクトリーズ(株)専務取締役・塾長 石田栄治氏 [下] 英進館(株)代表取締役社長 筒井俊英氏

[上] プロジェクトリーズ(株)専務取締役・塾長 石田栄治氏
[下] 英進館(株)代表取締役社長 筒井俊英氏

湯野川 テクノロジーの進化について、AIによる予想、メタバース、今は生成AIの話題で持ちきりです。新しい学び、21世紀スキルが資質・能力に置き代わり、コンピテンシーという概念に変わってきていますが、これも進化するのでしょうか。
石田 学力観は変化しているし推薦入試が主になってますが、目の前の定期テストの成績をあげてほしいという思いは変わっていないと思います。
筒井 個別、集団、オンラインであれ、入試または定期テストの成績を伸ばすという実績がないと、どんなに素晴らしいことをやっても評価されません。我々、塾の役割として、各教科・科目の基礎学力を目に見える形で伸ばすのはやはりマストですよね。
石田 AI、メタバース、生成AIなどで我々の一部の労働を置き換えるのは可能なのかなと。英語・数学の複雑ではない問題生成、基幹システム的な間接業務、文章作成などの負担が減ると思います。新しいワードが出てくるとそれをビジネスチャンスとして動かれる方が大勢いますが、何をテクノロジーとして生かすかを見極める必要があります。
子どもたちは通塾する形に戻ってきています。それは場の力が我々にあり、オンラインやネット上にどんなに優れた授業が落ちていても、子どもがそれを自分で選んで続けることが難しいからです。場に通い、競い合う仲間がいて、我々が感情的モチベーションを上げる仕事をすることで、子どもたちが「この塾に通いたい」という気持ちが出てくると思うので、弊社はオンラインだからできる第3のサービスを残しながら、ライブでないとダメだよねというのをセグメントしていきたいです。
湯野川 新しい取り組みを推進し成功させる組織を作るためのポイントとは?
石田 これからはいろいろなコンテンツを駆使して最適化していかなければならない時代です。コンテンツ導入時の思いや目的設定は上層部が詰めて、興味のある人、若い層を抜擢し決裁権を与え見守ることが大事です。
筒井 新しいコンテンツを採用するとき、英進館では経営、教務面は勿論、現場で実際に運用できるのか、10~20人が参加し、いろいろな視点で意見を聞きます。いいコンテンツが増え、あれもこれもと導入するなら引き算も必要。新しいものを導入する場合はトップ自ら関わり、現場で活用できていれば褒めるし活用していなければ指導することもあります。軌道に乗るまでは現場のトップが見守ることが大事です。
湯野川 最後にオーディエンスの皆さまにエールをお願いします。
石田 自塾が生き残っていくことを考えたときに、たくさんの人からいろいろな意見を言われて様々なコンテンツを導入し、本来の主業が細っていき従業員に還元できなくなったら本末転倒です。地域の教育インフラの地位を保つためにも成功体験にすがることなく、かつ新しい取り組みにチャレンジする両方の気概が大事。知見は広げるが本業・本質は見失わないようにしたいものです。
筒井 仕事をしていく上で一番のストレスは人間関係です。経営者なら採用、社員間のトラブル、生徒と社員……。規模が大きければ大きいほどストレスが増え滅入ることもありますが、同時に喜びや生きがいもまた、人と人との関わり、教師と生徒との交流から生まれます。私自身、授業前は準備にも時間を取られ、「この教え方で生徒に伝わるだろうか、理解してくれるだろうか」と常に胃が痛くなる思いです(笑)。ただ、いざ授業が始まるとすごく幸せな気分になり、授業が終わると教育というのは本当に素晴らしい仕事だといつも感じます。どんなに豪華な食事をし、立派な車に乗るなど贅沢な瞬間を味わうよりも、授業が終わったときの子どもたちの笑顔を上回る幸せはありません。この上もなくいい仕事に就いていると日々、心の底から実感しています。


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